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ごみ箱×インバウンド対応で私が提案したい2つのこと



1.昇仙峡ロープウェイ山頂駅にて


紅葉が色づき始めた昇仙峡へ行ってきました。


ロープウェイに乗って、標高1,058メートルの山頂駅に到着。改札を出た正面になんだか不思議なハコが。どうやらゴミ箱のようです。

近づいてみると、箱の上部はソーラーパネルになっていました。


これは、IoT技術を活用したスマートごみ箱「SmaGO」。

観光地の観光客受入環境整備とSDGs推進をするプロジェクトの一環として、10月18日(水)~2023年12月17日(日)(つまり紅葉で観光客が増える時期ですね)に設置されているのだそうです。


SmaGOとは

上記JTBのリリースには「SmaGO」の説明が書いてありました。

IoT技術を活用したスマートごみ箱で、通信機能を通じて、ごみの蓄積状況をクラウド上でリアルタイムに把握できるとともに、ごみ箱が満杯になると自動的に圧縮され、通常の約5~6倍の容量を収容することが可能です。

これにより、ごみの収集作業を効率化でき、ポイ捨て対策及びCO2排出量削減効果が期待されます。

【SmaGOの特徴】
・ソーラーによるクリーンエネルギーでの発電
・赤外線センサーでごみ量をリアルタイムに感知
・溜まったごみを自動で約5倍に圧縮し、約600Lのごみを収容
・クラウド通信機能でごみの量を遠隔監視、ごみ回収業務を効率化

出典:JTBリリース

なるほど。ごみ箱上部のソーラーパネルは、たまったごみの圧縮やクラウド通信のエネルギーを作り出すのですね。


「海をゴミ箱にしない。そう決めたゴミ箱。」

「SmaGO」を展開している株式会社フォーステックのホームページを開くと、最初に現れるのはこのメッセージです。

海のゴミを、街のゴミから減らしていく。

[ 海洋汚染をゼロへ ]
年々深刻化する、海洋プラスチックゴミ問題。
2050年には魚よりゴミの量が多くなるとさえ言われています。
そして驚くことに、海洋ゴミのおよそ8割※が
街から流れ着いたゴミである、
というデータがあります。
これ以上、海を人間のゴミ箱にしない。
街から海をきれいにしていく。
そのために生まれた、新しいゴミ箱。それがSmaGOです。

出典:株式会社フォーステックホームページ


標高1058メートルの昇仙峡ロープウェイ山頂で、海のゴミを減らすための取り組みに出会えるなんて、なんだかちょっと嬉しくなりました。


2.海外での導入と日本のごみ箱事情

ごみ箱が少ない日本では普及しづらかった

さて、SmaGoは、米BigBelly Solar社が開発したスマートゴミ箱「Big Belly」なのだそうです。株式会社フォーステックのホームページには「世界60ヵ国 80,000台以上の導入が進んでいます」と書いてあります。

日本への導入は、2020年10月の表参道への設置が初だったようなのですが…その後、現在(2023年10月)に至るまでそれほど大きな動きになっていないのはなぜ?と不思議に思って調べたところ、こんな記事を見つけました。

海外では北米やヨーロッパを中心に50カ国で導入されており、自治体での導入が8割を超えているという。

NSWは、日本でも同様に自治体での導入から展開をしようとしたが、日本では海外と状況が異なるため展開ができなかったという。海外では、街にゴミ箱が設置されていることが多く、ゴミ箱が満タンになり、ゴミが外に溢れてしまうという問題が多くあるという。しかし、日本は街にゴミ箱があまり設置されておらず、「BigBelly」を導入しようとすると、新規設備投資がかかってしまい投資対効果が出なかったそうだ。

今回の表参道での導入でも、最初に導入を検討した際は金額面があわず、導入を断念した経緯があるという。今回導入できた背景には、広告費によって初期費用をまかなえているということがあるという。

大島氏は、「日本国内では、自治体での導入よりも、表参道の事例のように広告費を利用した導入や企業のCSRの予算を利用した導入が今後増えるのではないか」と語る。

IoT 2020年12月15日「表参道で運用開始されたスマートゴミ箱「BigBelly」、
街のゴミ箱からスマートシティのきっかけに

ああ、確かに。日本は街中のごみ箱が少ないですし、どんどん撤去されていきましたものね…。


インバウンド対応で街にごみ箱が戻って来るかも

ただ、その状況にも変化がみられるようです。数日前の日経にこんな記事が載っていました。

新型コロナウイルス対策緩和の影響でインバウンド(訪日外国人)など観光客が戻るなか、街角にゴミ箱を再び設置する動きが観光地などで広がる。国内のゴミ箱は過去30年で撤去が進み、訪日客もその少なさを指摘する。背景に浮かぶのは「置いたら負け」とも指摘されたコストと管理の難しさ。各地の関係者は新技術を駆使したゴミ箱などを武器に課題と向き合い、街の美化に挑む。

日経電子版 2023年10月25日
ゴミ箱置いたら負けか、「少ない日本」で脱却の動き

訪日客数がピークだった2019年に国(観光庁)が実施した調査で、訪日客の困りごとのトップが「ゴミ箱の少なさ」(複数回答で23%)だったこと、それを受けて群馬県渋川市の伊香保温泉がゴミ箱を設置した話が紹介されていました。

今回私が見かけた昇仙峡のSmaGoも観光客対応でしたし、これからはこの切り口で街中へのごみ箱設置が増えて行くのかもしれません、


3.ごみ箱×インバウンド対応で私が提案したい2つのこと

(1)ペットボトル専用回収機の普及

今回見かけたSmaGo、ペットボトル用のものが置いてあったのですが、入れ口が大きめなので、他のものも突っ込むことが(物理的に)可能だということが気にかかりました。

というのも、私、駅のホームでよく見かけるんです。自販機の横についているペットボトル専用のごみ入れに、アルミ缶が入っていたり、果てはムリヤリ食べ終わったお弁当が入っていたり…という光景を。

せっかく自動圧縮ができるスマートごみ箱、海洋プラスチックごみを減らす上で特に重要なペットボトルごみについては、「ペットボトルしか入れられない」ようにできるともっといいのではないかな…と思いました。

オーストラリアのフードコートには、バーコードでスキャンし、リサイクル対象の製品(ペットボトル、瓶、缶、紙パック)であることが確認できないとふたが開かないごみ箱があるのだそうです。これなら、分別がきちんと守られそうです。


そしてこの記事には、もうひとつ気になることが書いてありました。

Smart binの目的は、単なるフードコートにおけるリサイクル率の向上だけではありません。

子どもに正しいリサイクルの知識を教育すると同時に、リサイクルに関心を持ってもらうためのきっかけ作りとしても役立っています。

バーコードをスキャンすると投入口が開くSmart binは、子どもの興味をそそるゴミ箱です。

お店屋さんごっこの延長やゲーム感覚で利用できるので、家族の分のリサイクル製品を積極的に投入する子どもの姿も見られます。

そうですよね、バーコードでスキャンしたらランプが光って投入口があくなんて、子どもは絶対楽しいですよね!


ここで私、セブンイレブンのペットボトル回収機でのことを思い出しました。


これ、うちの近所のセブンイレブンにも設置されているのですが、子どもに大人気なんです。小さい子から中高生まで、喜んでペットボトルを投入機に入れている姿をよく見かけます。

コストがかかることだとは思いますが、こういうのがもっと普及していくといいなあ。これが一つ目の提案です。


(2)給水スポットを増やし、マイボトルを推奨

昨年の夏、ウィーンに行った時に一番驚いたのは、街のあちこちに水飲み場が設置されていたことでした。40度近い暑さが続く日差しのなか、気軽に立ち寄って水を飲み、マイボトルに水を入れることができる水飲み場にどれだけ助けられたことか。観光客と街の人々でにぎわっていました。


こちらの素敵なnoteには、ロンドンやオランダの事例も紹介されています。


先ほどの提案(1)ではペットボトルをリサイクルするための内容を書きましたが、そもそも、リサイクルしなければならないペットボトルを減らすことにもっと力を入れたほうが良いのではないでしょうか。

今日訪れた昇仙峡やその近隣にも、本当に数えきれないぐらいのペットボトル飲料を売る自販機が立ち並んでいました。コンビニにもキオスクにも、たったひとつの店の中にいったい何本、何種類あるの?!と目を白黒させてしまうほどのペットボトルが。

でも、のどの渇きをうるおすだけなら水で十分なはず。まして、日本の水道水は安全で飲用に適していることで有名です。

水道水を外でももっと飲めるように、観光客の方がたにも飲んでもらえるようにできると良いのではないでしょうか。無印良品さんは給水器を設置していますが、こうした取り組みが自治体でも(それこそ企業とのコラボででも!)進むと良いなあと思っています。



以上、サステナビリティ分野の仕事についたばかりの私の「1000日連続note更新への挑戦」20日目(Day20)でした。

それではまた明日。


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