エクスプレインの好事例って少ないのかもと思った話
明日の午前中にサステナビリティ・オフィサー試験を受けるというのに、まだ試験範囲の問題集を解き終わっていないという残念な状況のため、本日のnote更新は短めにいきたいと思います。
2023年4月26日発表の「コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクション・プログラム」(以下、アクション・プログラム)について、特に企業のサステナビリティ担当者として自分自身が気になる内容を見て行くシリーズ、第3回です。
本日のnoteでは、アクション・プログラムの「B)対話の基礎となる情報開示の充実」施策のうち、「投資家との対話の実施状況やその内容等の開示」に関する資料(資料名:「建設的な対話に資する『エクスプレイン』のポイント・事例について」)(注1)を読み、気になったことを書きます。
資料の趣旨
この資料は、「コンプライ・オア・エクスプレインが形骸化している」との懸念を踏まえて作成されたものです。
何がなんでもガバナンスコードが掲げる施策にコンプライするのではなく、「自らの個別事情に照らして実施することが適切でないと考える原則があれば、それを”実施しない理由”を十分に説明すればいい(むしろちゃんと説明してほしい)という趣旨なのですが、なかなか企業側にはそうは受け取られず(まあ、わかる気がしますが…)形式的なコンプライや、「検討中」のまま何年も放置、という実情があることに対してそれはダメだよ!!と伝える資料になっているようです。
エクスプレインのダメな(不十分な)事例と好事例を両方掲載することで、「上場会社に自主的な点検をしていただくための材料」とすることがねらいなのだそうです。
これでいいのか?エクスプレインの「好事例」
が、この資料で挙げられているエクスプレインの事例、少なくとも私から見ると…どうもぱっとしない(すみません)ような…。
資料p8「自社の考え方や実施に向けた具体的な検討状況を記載している事例」から拾ってみますね。
事例1
事例2
この2つは「実施しない理由について、自社の考え方を事業特性等も踏まえて説明しています」と、好事例として紹介されているのですが…これってどうなんでしょうか。
事例1は「当社はITサービスの提供を社業としており、物品の製造など環境負荷の高い事業は行っておりません」と書かれていますが、ITサービス=環境負荷が高くないって…本当に?デジタル分野の環境負荷についてはすでに色々なところで指摘されていると思いますが…(例)。実際の数値がどうあれ、このような認識を開示資料に記載してOKとしている経営陣の方々が心配になってしまいます。。。
事例2は「経営システム及び経営ノウハウのサービス提供を主たる事業として」いるから「気候変動問題が現在のところ、当社の事業に重大な影響を及ぼすことは想定されない」と記載していますが…本当に??クライアントの事業が気候変動の影響を受けて、あるいはその影響を緩和するための対策を通じてどのように変化していくのか、その影響を受けないはずはないと思うのですが。。
本当の「好事例」がないことこそが課題
あらさがしをするような書き方になってしまい恐縮ですが、上2例のようなツッコミどころ満載の例を「好事例」として載せざるを得ない事情にこそ、本当の問題があるのではと思います。
エクスプレインに関する取り組みが今後、どのような方向を向き、どんな施策を実施することになるのか、引き続き注目していきたいと思います。
以上、サステナビリティ分野のnote更新1000日連続への挑戦・64日目(Day64) でした。それではまた明日。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?