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生活必需品業界のEスコア(環境スコア)優良企業

本記事では、AIとビッグデータの活用で企業のESG/SDGs貢献度を可視化する国内最大級非財務データバンク「TERRAST」を開発・提供するサステナブル・ラボが、企業のサステナビリティ貢献度を分析・数値化したランキングを用いて、各社の取り組みを紹介します。

今回は生活必需品業界に焦点を当て、「Eスコア(環境スコア・環境貢献度)ランキング」、「GHG排出量が少ない企業ランキング」、「廃棄物量が少ない企業ランキング」の上位企業を紹介します。(生活必需品編/GIGS分類)

共同マガジンを共に運営するSMBC日興証券「Money for Good」による記事「身近な企業の環境問題への取り組み」も是非お読みください。


■ 生活必需品業界の環境課題

生活必需品業界には、以下のような環境課題があります。

輸送問題:生活必需品の輸送・配送に伴う石油系燃料使用によるGHG(温室効果ガス)の排出が気候変動に影響を与える問題
廃棄物問題:食品や日用品の製造や販売において、多くの廃棄物やロスが生じる問題
包装問題:過剰な包装や難分解性の包装材料の使用によってごみの増加や環境汚染の原因となる問題
プラスチック問題:多くの生活必需品に使われるプラスチックは非生分解性であり、適切に処理されないと海洋や陸地に長期間残留するため環境に悪影響を与えてしまう問題。またプラスチック生産には石油が必要であり、CO2排出量が多いことも懸念事項。

生活必需品業界の環境課題改善に貢献する取り組みを行い、社会によいインパクトを生み出している企業をさっそくデータで照らしてみましょう!

■ 生活必需品業界のE(環境)スコアランキング

出所:TERRAST (2023年4月9日時点の2022FYデータ)
ユニバースはTOPIX構成銘柄で、GICS区分生活必需品に属する企業群

1位の伊藤園のEスコアは87.0でした(業界平均は57.7)。GHG排出量(全体およびスコープ1・2・3、および対売上高)、ISO14001認定施設数、エネルギー消費量、電力使用量、水使用量、取水量合計、水使用量/売上高、廃棄物量などの環境に関する指標がEスコアの評価に強く影響しています。とくにGHG排出量/売上高は業界平均と比較し低い水準で、スコアに好影響を与えています。同社はGHG排出量削減の取り組みの一環として2022年4月に新たな数値目標を発表。ハイブリッド車や電気自動車などの積極的な導入や、自社工場及び事業所における使用電力の再生可能エネルギー比率100%に向けた取り組みを強化し、2050年度までにバリューチェーン全体でのCO2排出量の実質ゼロを目指しています。

2位・極洋のEスコアは85. 4でした。とくに水使用量、取水量合計、水使用量/売上高など、水資源に関する指標が他社と比較して高い水準にあり、スコアに強く影響しています。同社の水使用量(原単位)は2017年から2020年まで前年比で改善。またグループ排水処理施設の能力をバクテリア活性化技術によって確保するなどして環境負荷低減を進めています。水産事業を行う同社は、水産資源保全の取り組みにも注力。海洋管理のための水産事業SeaBOS(Seafood Business for Ocean Stewardship)に参画するほか、海洋プラスチックごみ問題を根本から解決することを目指し、プラスチック使用量削減(2030年までに2019年比30%削減)にも取り組んでいます。

3位のマルハニチロのEスコアは83. 4でした。それぞれGHG排出量、ISO14001認定施設数等、気候変動や環境管理に関する指標がEスコアに強く影響しています。同社は2018~2021年度のサステナビリティ中期経営計画で掲げた「2021年までにCO2排出量を売上高原単位で2017年度比4%以上削減」が未達であったと総括していますが、その一方で物流拠点での脱フロン推進、ボイラー機器修繕対応、運転時間調整によるA重油の使用量削減などに取り組んできました。マルハニチログループは、各社で削減目標を設定の上、高効率なボイラーや冷凍機、エコカーやLED照明などの設備導入を進め、2022年3月期国内グループ全体の売上高原単位CO2排出量32.8トン/億円、前期比で0.6トン/億円(1.7%)の減少となっています。

■ GHG排出量が少ない企業ランキング(生活必需品業界)

*売上高あたりのGHG排出量が少ない企業をランキング化
出所:TERRAST (2023年4月9日時点の2022FYデータ)
ユニバースはTOPIX構成銘柄で、GICS区分生活必需品に属する企業群

1位のアインホールディングスのEスコアは75.3、GHG排出量/売上高(t/百万円)は業界平均3に対し0. 07の数値でした。同社はGHG排出量のスコープ1・2・3(15のカテゴリ)をESGデータブック上に掲載するなど積極的に非財務情報を収集・公表しています。2050年カーボンニュートラル実現に向け、「CO₂(GHG)排出量(Scope1・2)2021年度比 30%削減」、「再生エネルギー由来電力への転換率 30%」を2030年目標に設定。環境負荷低減のため事業所社用車の約70%でハイブリッド車を使用しているほか、Scope3の排出量削減に向けては、適切な在庫コントロールによる医薬品配送回数を削減・適正化する医薬品流通モデルの構築に卸会社と共同で取り組み、配送時のCO2削減を推進しています。

3位のエステーのEスコアは73.1、GHG排出量/売上高(t/百万円)は0.08の数値でした。同社は購入電力の再生エネルギー化を推進しており、2022年3月時点では国内グループ全体の32%が再生エネルギー由来の電力となっています。社用車はハイブリッド車を積極的に使用し、輸送面ではトラック輸送から環境負荷の低い鉄道や船舶輸送へ転換する「モーダルシフト」を推進するとともに、トラック輸送の積載効率向上、工場から倉庫への直送や他社との共同配送にも取り組んでいます。

■ 廃棄物排出量が少ない企業ランキング(生活必需品業界)

*売上高あたりの廃棄物排出量が少ない企業をランキング化
出所:サステナブル・ラボ(2023年4月9日時点)
ユニバースはTOPIX構成銘柄で、GICS区分生活必需品に属する企業群

1位トーホーは業務用食品最大手企業で、Eスコア67.2、廃棄物量/売上高(t/百万円)は0. 003と業界の中でも最も低い数値です。食に関する事業を展開する同社は、食品廃棄物の発生抑制に注力しています。在庫管理支援システムによる在庫の見える化・ロス管理を強化したり、恵方巻やクリスマスケーキなどの予約販売で売れ残りによる廃棄の削減を推進するほか、品質に問題はないものの自社出荷基準日を超え販売できない商品の一部をフードバンクへ引き渡すなど、食品の有効活用を進めています。

2位のファンケルはEスコア58.4、廃棄物量/売上高(t/百万円)は1位のトーホーに次いで低い0.01という数値です。同社はプラスチック使用量の削減を目指し、2030年度までにプラスチックを使用した容器包材における4R対応100%という目標を掲げています。化粧品容器本体を捨てずつめ替えて使用できる商品を広め、容器プラスチックの使用量を削減しているほか、店舗で使用済み容器を回収する「FANCL リサイクルプログラム」を実施。自社顧客とともにリユースやリサイクルに取り組む活動を展開しています。

分析方法

  • 各スコアは東京証券取引所に上場する3,844社(2022年10月31日時点)のESG/SDGsに関連する400超の項目(CO2排出量や女性管理職比率、独立取締役比率など)を集め、分析したものです。

  • スコアリングに使用したデータは、企業の統合報告書などの開示資料やWEBコンテンツ、その他のオープンデータなどから抽出した情報(客観的事実)をもとにAIを活用し数理モデリングした、ファクトベースの中立、客観的な数値となっています。またサステナブル・ラボは第三者機関として、"説明可能かつ非・属人的な数理モデル"により対象を公正中立に評価するべく努めています。

サステナブル・ラボ株式会社

データサイエンス × サステナビリティ × 金融工学領域の出身者による、日本で唯一のESG/SDGsに特化した非財務ビッグデータ集団。「あらゆるサステナビリティを認め合える世界に / Towards the world appreciating all sustainabilities」をビジョンに掲げ、定性的に語られやすい企業の環境・社会貢献度をビッグデータとAIを用いて定量化する非財務データプラットフォームとして、金融機関やコンサルティングファーム向けに日本最大級のESG/SDGsデータツール「TERRAST(テラスト)」を、また事業法人向けにESGのスマートな開示と改善ツール「TERRAST for Enterprise」を展開。また、これらのエントリーモデルとして、企業のESG/SDGsデータがランキング形式で見られる「TERRASTエントリー」を無償公開しています。

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