見出し画像

~サステナビジネスNY~【SDGsNY×次世代×事業再生-企業価値】ピボット戦略やサーキュラーエコノミー(循環経済)で事業再生を目指す米企業たち(2021/1/15)

コロナ禍の中、持続可能な社会再構築に向けて今、考えること
(2021/1/15) 

(1)SDGsとは 
(サステナブル・デベロップメント・ゴールズ)
SDGsという言葉を聞いたことがあるだろうか?



日本では、朝日新聞社が2017年から年2回実施している調査で、「SDGsという言葉を聞いたことがあるか」という質問に対し、「ある」と答えた人は前回より5.6ポイント増の32.9%に上ったことがわかった(2019年3月朝日新聞調査)。認知度は前回までの調査でも伸び続けており、今回初めてほぼ3人に1人が「聞いたことがある」という結果となった。

その一方で、米国(ニューヨーク拠点)の企業や個人の間では、SDGsという言葉を未だ聞いたことがないとする人が多く、実際の理念も意味も浸透していない。この点についてはまた別途、弊社の方で調査実施をしたいと思う。

さて、この日米の認識の差は、また後日の号で述べるとするが、今回第1回目の投稿として、SDGsとは何ぞや?という概念を、さっくりと述べておきたい。

「SDGs(エスディージーズ)」とは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であり、2015年9月に国連で開かれたサミットの中で世界のリーダーによって決められた、国際社会共通の目標である。

このサミットで2015年から2030年までの長期的な開発の指針として、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択された。その中核理念の「持続可能な開発目標」をSDGsと呼んでいる。

SDGsは、地球社会が持続可能な成長と発展を続けるために、17のゴールと169のターゲットを掲げており、誰ひとり取り残さないことを目指し、世界各国が一丸となって達成すべき目標として構成されているのが特徴。


(2) SDGsとESG投資:グローバルな視点でSDGsに取り組む企業が話題になっている理由とは:

世界ではそれに先駆けた動きがあった。きっかけは2006年、当時の国連事務総長であるアナン氏が金融業界に向け、責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment)を提唱したことである。これは、大規模な投資を行う企業・金融機関などの投資家が、プロジェクト案件や企業に対し投資をする際にESG [E: 環境(Environment)、 S:社会(Social)、G:ガバナンス(Governance)]を課題として反映させるということを指している。
つまり、投資家は企業への投資をする際に、その会社の財務情報だけを見るのではなく、環境や社会への責任を果たしているかどうかを重視すべきだという点を国連が指摘したという点で大きな前進となった。これによって投資を受けるグローバル企業の間にも、もっとSDGsに沿ったESG投資を考慮しようという動きが広まっている。

SDGsはいまや、グローバル化を目指す欧米企業にとって、サステナブルな企業価値とESG(環境・社会・ガバナンス)を掛け合わせて考える上での大きな指標になっている。

(3)2020年のコロナ(COVID19)で各国ロックダウンから2021年の今、多くの欧米企業が倒産する中、SDGsを取り入れた「企業の事業再生」が急務

コロナ感染に世界が襲われている2020年~2021年現在、今後の企業存続とその価値を目指す共通認識のキーワードとして、サステナブルなITデジタル(オンライン)化と、SDGs(17項目のうち特に環境・社会貢献・ 人と働き方)へ配慮という取り組みが注目されてきている。

これからの企業は「変化を非常事態」とするのではなく「常態」として取り組む変革力が必要であると名和高司客員教授(ハーバード・ビジネススクール卒。一橋大学ビジネススクール国際企戦略専攻・東京大学法学部卒)は指摘する。

<代表する米企業の動き>

NY5番街のフラッグ店をもつ日本を代表するユニクロ(ファーストリテーリング)の柳井正社長が「Change or Die」(変革力か倒産か)という経営方針を掲げていること、
●米企業のSDGsに取り組む事例では、パタゴニア(スポーツ用品)リーバイス(ジーンズメーカー)カーギル(食品生産)コカ・コーラ(飲料・米)などが、ピボット戦略やサーキュラーエコノミーを打ち出して、SDGs事業再生の取り組みを打ち出していること。

●欧州の大手ブランド企業では、H&M(アパレル・スウェーデン)グッチ(ファッションブランド・イタリア)FENDI(フェンディ・イタリア)などのファッション系企業が、「サステナブルな常態」(SDGs)を目指し取り組んでいること。

が顕著な動きとして挙げられる。

各社の共通点は、いずれも各企業のトップリーダーが、絶大なカリスマ性を持っているという点と、そのリーダー達が、まさにSDGs×企業価値を主幹として企業組成と価値を追求しているという点が指摘できる。


そんなコロナ禍で各国の経済状況は停滞を余儀なくされる中、コロナ禍でも企業存在価値を見出し生き残ろうとSDGs理念を取り入れ打開策を模索する米企業たち、今も、もがきながら事業再生を試みている。

2020年~2021年の現在、この大きな世界のうねりの中で、変革力という動的能力(ダイナミック・ケイパビリティ)を実行するチカラのある米企業こそが、さらにコロナ危機を乗り越えて、その一歩先のニューノーマルな時代へと成長していくであろう。
 
次号からは、コロナ禍でも生き残る企業とはという観点から、ピボット戦略やサーキュラーエコノミー(循環経済型)を事業再生に取り入れて、サステナブルな企業の存在価値を追求する事例をご紹介します。



SDGs(持続可能な社会形成のために世界が取り組む目標)

⁂ピボット戦略とは:
企業の経営状況を客観的に分析し、提供しているサービスやプロダクトの事業再生目標として方向転換を図ること。 競争相手の少ないニッチな市場を見つけることは生き残りの鍵となる。 ピボットを活用し、市場そのものへの戦略変更を通して自社の存在意義を見つけるというもの。

⁂サーキュラーエコノミー戦略とは:
循環型経済のこと。作って捨てる「一方通行型」から、使い続ける「サーキュラー(循環)型」へ。新時代のビジネスモデル。つまり、従来の「Take(資源を採掘して)」「Make(作って)」「Waste(捨てる)」という直線型経済の流れのなかで活用するだけでなく、廃棄されていた製品や原材料などを新たな「資源」と捉え、廃棄物を出すことなく資源を循環させる経済の仕組みのこと。

 



https://nyseikatsu.com/editions/804/pdf/page07.pdf

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?