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コーポレートは安心を生み出す部門。上場後の管理部が目指すものとは

2021年12月、東京証券取引所マザーズ市場へ上場したサスメド。上場企業として、ますます管理部体制を強化していくフェーズにあります。

今回は、管理部全体を統括している取締役の小原さんにお話を聞きました。サスメドの根幹を支える管理部門の上場後の体制や、チームカルチャー、今後の展望に迫りました。

プロフィール

小原 隆幸(取締役)
船井総合研究所に入社し、プライベートエクイティファンドのビジネスDD業務に従事。その後、大和PIパートナーズ、大和企業投資において、国内外の投資業務に携わる。その後、コスメネクスト社において、経営管理/経営企画の担当役員として、管理体制の整備、旗艦店(@cosme TOKYO)の開発を手掛け、2020年より現職。
MBA(London Business School)、USCPA(Inactive)取得。

参画の後押しになったのは、代表上野の言葉

── 小原さんは、どういったきっかけでサスメドと出会ったのでしょうか?

COOの矢島の家族が知り合いだったことから、サスメドの存在を知りました。医師が立ち上げた会社である点に興味を持ち、一度話を聞いてみることにしたんです。

── 参画の決定打は何でしたか?

代表上野の熱量が決め手でした。私の前職は化粧品の小売業界です。前職では、化粧品メーカーの方々と接する機会が多く、各社さんがビジネス上で障壁となる「薬機法」をいかに回避するかに苦心している様子を目にし、そのような姿勢が普通なのだと思っていました。薬機法とは、簡単に言えば医薬品や化粧品などの品質や安全性を確保するために定められている法律です。万が一、広告表現で薬機法に違反すると罰せられる恐れがあるため、慎重に対応する必要があります。

代表の上野は「必要があれば医療業界の規制自体を変えた方が良い」と言っていたんです。法律や規制を回避するのではなく、それ自体を正面から変えなくてはならないと考えていたんですね。その熱さに痺れました。これまで過ごしてきた環境とは正反対だと感じ、参画を決めた形です。

── 参画当時、事業フェーズや管理部の組織体制はいかがでしたか?

シリーズCのフェーズで、当時の管理部は5名。少ない人数で管理部の各機能を掛け持ちしていました。当初の私のミッションはシリーズCの資金調達をまとめることでした。

── かなりの少数精鋭で上場を迎えたのですね。

そうですね。今後は組織拡大していきますが、現在も少数精鋭です。

管理部門は、経理、人事労務、情報システム、法務という部門で分かれていて、現時点では経理を除いて各部門1名体制となっています。

上場企業となり、ビジネスのスタートラインに立った

── 上場は企業にとって非常に重要な節目だと思います。役員の皆様は、昨年末の上場をどのように受け止めていたのでしょうか?

よく言われる話ではありますが、「上場はゴールではなくスタート」という認識だと思います。そのため、上場当日も“祭り”のような雰囲気はなく、普段と変わらない一日でした。とある社員は「本当に今日、上場日なのか?」と疑ったそうです(笑)。

大企業がひしめき合う医療業界で、我々は常に「ベンチャー企業」という見られ方をしていました。創業間もない頃からいる役員はその苦労を骨身にしみて感じていたんじゃないかと思います。今後は、上場企業としてビジネスができる。まさにスタートラインに立った感覚です。

── 上場後だからこそ経験できる仕事はありますか?

上場準備の動きと、上場後の動きを比べると、上場後のほうが経験に深みが出る印象はあります。上場企業としての評価に耐えうるような仕組み、整備が必要になるからです。

また、現在は上場後すぐのタイミングなので、決まったことをすればよいという環境ではありません。自らが主体となって、「これが課題だから解決しよう」「こんな仕組みを取り入れよう」と、率先して動いていけるフェーズです。

管理部門のプロフェッショナルとして経験を積むのであれば、ベストなタイミングではないかと私は思います。

優先順位をつけて、あえて余力ある仕事を

── 日頃から管理部の皆さまに伝えていることは、どんなことでしょうか?

「稼働を8割にする」ということです。2割は常に余力を持った状態で仕事をするようにと、日頃からメンバーに伝えています。もし、10割を超えてしまうのなら、人を増やすなりシステムを導入するなり、何らかの対処をしていく考えです。やるべきことだけで日常業務が埋め尽くされる状態だと、新しいこと、やりたいことを考えられなくなってしまうからです。

管理部は、会社に安心感を提供する部署。管理部が安定して日々の仕事に取り組み、仕組みを作っていくことで、社内のメンバーや会社全体に安心を生み出すことができます。

── なるほど。しかし、少数精鋭組織であるならば、一人ひとりの業務量は多いのではないでしょうか。実際のところ、どのようにして余力を生むのでしょう?

おっしゃる通り、管理部だけなく他の部署も同じだと思いますが、仕事に終わりはありません。一気にやろうとすると必ずパンクしてしまいます。そこで、何が重要なのか、どのように優先順位をつけるのか、整理する必要があります。

具体的には、管理部のメンバーには常に、自分の業務の優先順位や内容を自分の言葉で説明できるようにしてもらっています。自分の仕事を説明できないということは、「言われた仕事」をしているということ。オーナーシップがなければミスに繋がってしまいます。現在のメンバーは主体性があり、自分の業務を取捨選択できる方ばかりです。

── 主体性のほか、どのようなマインドを持った方がフィットしますか?

管理部特有の要素としては、「周りの方の役に立つことを純粋に喜べること」だと思います。自分の目標を達成するために動いている管理部って、全然素敵じゃないんですよね。

自分の仕事で社内のメンバーの仕事がいかに楽になるのか、どんな助けができるのかをピュアに考え続けられる方は稀有だと思います。そういう方なら、多少スキル面が不足していてもキャッチアップできるし、周囲もカバーできるはずです。

主体性を持っている。そして、他の人の役に立つことを喜びに変えられる。この二つを持った方は大歓迎ですね。

業務内容が同じなら、事業に共感し、活躍できる場所で

── サスメドの管理部だからこそ経験できることなど、他社との違いはあるのでしょうか?

正直、どの会社も管理部門の仕事は同じだと私は思っています。だから、「サスメドでしかできない」ということは特にないですし、そこをアピールするのは応募者の方たちに対して不誠実かなというのが本音です。

そうなると、重要なのは「どんなチームか」じゃないかと。主体性を持てるチームなのか、手を挙げたら挑戦できるチームなのか。仕事内容が変わらないなら、できるだけ活躍のチャンスがある方がいいですよね。

あとは、事業内容に興味を持てるのかも大切かな。サスメドに集うメンバーは、職種問わず事業への共感が非常に高いです。まだまだ小さな会社だけれど、医療課題をデジタル技術を用いて解決しようとしている。そこに面白さを感じてくれるメンバーが入社を決めているように思います。

── 仕事内容がほとんど同じなら、できるだけ事業に共感できて、活躍できる場所がいい。たしかにそうかもしれません。

管理部の職場環境として、「他社よりここが優れているよ!」と言いたいところですが(笑)。私としては、ポジティブ要素を作ること以前に、ネガティブ要素を消したいなと考えています。ビジョンに共感していても、ミスするたびに怒られたり、役に立っている実感が持てなかったりしたら、モヤモヤするじゃないですか。思い描いた仕事ができるように、環境を整備するのが私の役割じゃないかと思うんです。

── なるほど。小原さんの上長としてのスタンスが垣間見れたように思います。それでは最後に、これからの管理部の目標を教えていただけますか。

現在は1名体制の機能が多いので、まずは各機能の担当者を複数名にしていきたいです。ただでさえ管理部門はプレッシャーの大きい仕事。「自分が休んだら業務が止まってしまう」と思ったら、よりいっそう辛いはずです。複数メンバーにすることで、精神的にも余裕がある組織体制にしていきたいですね。

また、長期的な話になりますが、管理部門も外部に向けたアクションをしていけたらと考えています。管理部門はフロントに出る機会が少ない部門です。株主・投資家の皆さんやメディアに働きかける、「ミドルバック」の動きができるようになったら、より企業価値に貢献できるのではないかとも想像しています。「自分は役に立っている」と実感できる仕組みや機能の充実を、長期的に考えていきたいです。

── ありがとうございました!



管理部メンバーにインタビュー

カメラマンとしてインタビューに同席していた、管理部・情報システム担当の中澤さんにもお話を聞きました!

── 今回インタビューした小原さんは、中澤さんの上長にあたるかと思います。どんな方なのでしょうか?

いつも安定していて、冷静な方です。メンバーがトラブルに見舞われても、よくある“叱責”のようなものはなく、「こういう状況であれば、こうするのが良いよね」と事実ベースで淡々とお話してくれます。何があっても変わらずにいてくれるので、部下としては心強いですね。

── 管理部にはどんな方がいらっしゃいますか?

専門スキルが高い方ばかりですね。それでいて、皆さん心優しいです。「強く優しい」という表現がぴったりかもしれません(笑)。

── 管理部の雰囲気はいかがでしょうか?

他部署からは、「和気あいあいとしているね」と言われたりします。相談はもちろん、雑談もしやすい雰囲気があります。

── 仕事の面白さはどこにありますか?

主体性を重んじてもらえる点が非常に面白いです。「これをやってみたい」と提案すると、よほど会社の方針や方向性とずれたものでなければ「やってみて」と背中を押してもらえます。小原さんからも、程良い距離感で目を配ってもらっている感覚があるので、のびのび業務に取り組めています。

── 中澤さん、お話を聞かせていただきありがとうございました!


取材・執筆/早坂みさと