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ちょっとしたアートのテスト 〜 答えあわせ

昨日の続き。

昨日のテストで、お見せした画像と記事にもう一度、お付き合いいただければ幸いだ。

画像2

こちらの作品は、《ニューヨークのクーロス》(紀元前590年〜580年)。 アッティカ地方で出土されたと推定されている。現在、米国・ニューヨークのメトロポリタン美術館(*)に所蔵されている(CC0)。

さて、昨日、この作品の画像と共に下記のようにおたずねした。

試してみていただきたいことがある。上の作品の画像を見た時、どのくらいの大きさに見えるだろうか。ご自分の脳の中で想像してみてほしい。等身大くらいか、それよりも小さいか、大きいか。次に、こちらの記事にて、同じ作品が写っている画像を見つけていただきたい。その画像を見た時、それまでの印象が何か変化しただろうか。

いかがだったろうか。

まず、作品の大きさについて、お聞きしたい。最初にこの作品の画面と見た時、その大きさを何cmくらいだと推測されただろうか。等身大くらいか、それよりも小さいか、大きいか。

メトロポリタン美術館公式サイト(*)によると、この《ニューヨークのクーロス》の大きさは、

194.6 cm。

予想通りだった方は、素晴らしい。

私は、学部時代に美術史の通史で学んだ頃「50cm」くらいだと思っていた。そしてニューヨークで実物を見た時に、その大きさに本当に驚いた(そういえば、ミュンヘンでも同じようなことがあった)。

次に、同じ《ニューヨークのクーロス》を撮影した画像でも、この記事に添付した画像と、こちらの記事の《ニューヨークのクーロス》では、印象は異なっただろうか。同じだっだろうか。

個人的な感想だが、現場の《ニューヨークのクーロス》の彫刻の質感や彫刻の生命力が今までの図版でみてきた時と全く異なってみえた

古代ギリシアのクラシック期の彫刻にあるような「絶対的バランスの美」と比較して、アルカイック期の「アルカイックスマイルの型にはまった素朴な表現」という印象が崩れ落ちたのを覚えている。

クーロスの用途は未だに謎だが、墓に建てられていたという説が有力だ。理由はどうであれ、わかる気がする。別な意味の魂が宿っているような、そんなパワーを《ニューヨークのクーロス》から感じたのだ。

その違いは、素人の私が撮影した写真でも十分に伝わってくる(と思う)。

現地へ行って実際に作品を見ることは、今も昔も楽ではない。でも本物に近づく方法はある、と信じて模索している。


NOTE:
* 米国、ニューヨーク、メトロポリタン美術館所公式サイトより、
Marble statue of a kouros (youth).
https://www.metmuseum.org/art/collection/search/253370(アクセス2020/10/12)
* CC0=クリエイティブ・コモンズ・ゼロ