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ARTのよもやま話

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アートというより「art」に関するよもやま話。Copyright©Susie Y. All rights reserved.
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#西洋美術

「印象派は、つまらない」と思っていた

印象派は、つまらない。 そう思っていた。米国で美術史という学問に出会った頃、こんなに面白い学問があったなんて!と感激したことを覚えている。その学問を突き詰めてしまい(まだ途中かもしれない)、いろいろ余計な経験をしてしまい、いつしか自分の感想を言わなくなった。 いや、作品を目の前にして主観的な意見を述べないのがプロたる者と考えていた。もちろん、それは、私が学んできた英国式の美術史の考え方なのかもしれない。 だから、「アートの聖地巡礼」で出会った作品としてnoteで記事を書

クロード・モネ 《林檎と葡萄》 〜 アートの聖地巡礼(米国)&アートのよもやま話

シカゴ美術研究所で「もう一度みたい作品」を紹介している。今日は、クロード・モネ(1840−1926)の《林檎と葡萄》(1880)(*1)。 モネの作品の中でも珍しい静物画。モネといえば「印象派的な風景画」で、彼の太陽の光、風を感じるような筆致を思い出す。この静物画の中でも、風景画でよく使われたモネらしい表現が見受けられる。果実の表面の当たる繊細な光。そして光と共に流れるようなテーブルクロスの模様。この作品からも、モネが常に注目していたのは、「光」の新しい表現方法だったと思う

この作品を描いたアーティストは、誰でしょう? (答えあわせ) & クロード・モネ 《アルジャントゥイユのアーティストの家》他 〜 アートの聖地巡礼(米国)

昨日の記事の質問、「この作品を描いたアーティストは、誰でしょう?」。 答えあわせをする前に、ちょっと寄り道をしていこう。 まずは、米国のアートの聖地のひとつ、シカゴ美術研究所で「もう一度みたい作品 〜 クロード・モネの名画たち」(勝手にタイトルをつけてみた)のシリーズから、今日の一品。 クロード・モネ(1840 -1926)、《アルジャントゥイユのアーティストの家》(1873)。タイトル内の「アーティスト」は、「画家」でもいいのかもしれないけれども..。(*1) モネ

この作品を描いたアーティストは、誰でしょう?

マンガ原画も絵画でありアートだ、と少なくとも私はそう思う

そして、西洋美術の肖像画は、ここまできた 〜 アートのよもやま話

先日、ボッティチェリの《若い男性の肖像》の記事を書いて、思い出した作品がある。 それが、こちらのアーニョロ・ディ・コジモ・ディ・マリアーノ(1503−1572)、通称ブロンツィーノの名品中の名品、《若い男性の肖像》(1530〜)、メトロポリタン美術館(米国、ニューヨーク)所蔵。クリエイティブ・コモンズ・ゼロの作品(*1)。 Portrait of a Young Man Artist:Bronzino (Agnolo di Cosimo di Mariano) (Ital

師匠は、つらいよ 〜 アートのよもやま話

前回の記事で紹介した画像は、米国、ニューヨークのメトロポリタン美術館所蔵、15世紀にイタリア・ルネサンス時代に活躍したフィリッポ・リッピ(1406-1469)が描いた《開き窓の男女の肖像》(c.1440)。ちなみにクリエイティブ・コモンズ・ゼロ(いかなる権利をもたない)作品。 Fra Filippo Lippi (Italian, Florence ca. 1406–1469 Spoleto) Portrait of a Woman with a Man at a Case

美術とマンガの間に境界線なんてない、のかもしれない

ちょっとしたアートのテスト 〜 答えあわせ

昨日の続き。 昨日のテストで、お見せした画像と記事にもう一度、お付き合いいただければ幸いだ。 こちらの作品は、《ニューヨークのクーロス》(紀元前590年〜580年)。 アッティカ地方で出土されたと推定されている。現在、米国・ニューヨークのメトロポリタン美術館(*)に所蔵されている(CC0)。 さて、昨日、この作品の画像と共に下記のようにおたずねした。 試してみていただきたいことがある。上の作品の画像を見た時、どのくらいの大きさに見えるだろうか。ご自分の脳の中で想像して

ちょっとしたアートのテスト

現代アートに過去のアートは必要ない。。のだろうか。

アートの知識は、見えないものを見えるようにしてくれることもある

アートを鑑賞する方法は、自分が楽しければ何でも良い。 とはいえ「知識は鑑賞の邪魔」と最近巷でよく聞こえてくる。 鑑賞するために、知識はそんなに悪者なのだろうか。 例えば、ミケランジェロの専門家が膨大な資料の中から、当時の領収書を1枚1枚調べて、ミケランジェロの顧客、契約内容を調べる。一見、無駄な努力なようだが、その結果「システィーナ礼拝堂の壁画は、当時の教皇ユリウス2世が注文した」という事実が、浮かび上がってくる。 つまり、キャプションや美術書を通して我々が読んでいる