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この作品を描いたアーティストは、誰でしょう? (答えあわせ) & クロード・モネ 《アルジャントゥイユのアーティストの家》他 〜 アートの聖地巡礼(米国)

昨日の記事の質問、「この作品を描いたアーティストは、誰でしょう?」。

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答えあわせをする前に、ちょっと寄り道をしていこう。

まずは、米国のアートの聖地のひとつ、シカゴ美術研究所で「もう一度みたい作品 〜 クロード・モネの名画たち」(勝手にタイトルをつけてみた)のシリーズから、今日の一品。

クロード・モネ(1840 -1926)、《アルジャントゥイユのアーティストの家》(1873)。タイトル内の「アーティスト」は、「画家」でもいいのかもしれないけれども..。(*1)

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モネは、1871年から1878年の間、家族と共に、パリから離れたイル・ド・フランス圏内にあるアルジャントゥイユに住んでいた。庭で遊んでいるのは、モネの息子ジャン(当時5歳か6歳頃)とツタの絡まる家の扉からジャンを見守っているのがモネの妻カミーユ。

空は、青く、手入れが行き届いた美しい庭。余計な言葉はいらない。平和な日常の風景。ジャンとカミーユの服装から、豊かな生活をしていることがわかる。この頃、モネとカミーユは、正式に結婚し、パリに住む画商ポール・デュラン=リュエルの助けもあり、資金的にも豊かな時期だった。

この作品を描いた翌年の1874年の夏、モネを含む印象派の画家たちの「憧れの先輩」であるエドゥアール・マネ(1832-1883)がアルジャントゥイユを訪れている。その時にモネの一家を描いたマネの作品が、ニューヨーク・メトロポリタン美術館に所蔵されている(*2)。それがこちらの《(アルジャントゥイユの)庭のモネ一家》(1874)。

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この作品を所蔵するメトロポリタン美術館公式サイトによると、1874の7月から8月にかけて、マネは、ジェンヌビリエにある一族の家で休暇をとっていた。そこからセーヌ川を隔てたモネの住むアルジャントゥイユの館にも近かったので、マネとモネは、よく会っていたらしい。

幸せそうにポーズをとるカミーユと寝そべるジャン。近くのブルーのシャツの男性は、モネかな。カミーユが持つ扇子の赤が、何気に作品の中心に描かれている。その赤は、バランスよく作品の中にちりばめられている。青の使い方もいい感じ。

マネに向かってポーズをとるカミーユとジャンが愛らしい。そんなふたりの横で庭の手入れをするモネ。そこにやってきた、もう1人の画家(と想像する)。

それがピエール=オーギュスト・ルノワール(1841-1919)。「いいね〜。僕も筆と絵の具を借りられるかな?」と言ったかしらないけど、彼が描いたのが、前述の「質問の作品」。

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米国、ワシントンD.C.にあるナショナル・ギャラリー所蔵の《マネ夫人と息子》(1874)だ(*3)。カミーユの顔の角度で、マネよりも右側のアングルから描いていたのがわかる。彼らの衣装の色合いも、マネとは違う。扇子の色もトリコロールだし。全体にふわ〜っと優しい。

マネとルノワールが描いた、これらの作品のアングルの違い、筆致の違い、それぞれの個性が出ていて面白い。しかし、どちらの作品でも、カミーユは、幸せそうな顔をしてポーズをとっている(ジャンは、退屈そうかな)。

モネが、これらの作品を見てどう思ったのか興味がある。3人が画家としてお互いに影響しあっているかどうか、この時期の彼らの他の作品に注目してみると面白い。

モネ、マネ、ルノワール、それぞれの「アルジャントゥイユでの夏の時間」が伝わってくる名品。


というわけで、正解は「ピエール=オーギュスト・ルノワール」でした。


NOTE:
*1.シカゴ美術研究所所蔵、クロード・モネ、《アルジャントゥイユのアーティストの家》(1873)に関する、参考資料及び画像は、シカゴ美術研究所の以下の公式サイトより引用。同作品は、クリエイティブ・コモンズ・ゼロ(CC0)の作品。

*2.メトロポリタン美術館所蔵、エドゥアール・マネ、《(アルジャントゥイユの)庭のモネ一家》(1874)に関する、参考資料及び画像は、メトロポリタン美術館の以下の公式サイトより引用。同作品は、クリエイティブ・コモンズ・ゼロ(CC0)の作品。
https://www.metmuseum.org/art/collection/search/436965
*3.ナショナル・ギャラリー(ワシントンD.C.)所蔵、ピエール=オーギュスト・ルノワール、《マネ夫人と息子》(1874)に関する、参考資料及び画像は、ナショナル・ギャラリー(ワシントンD.C.)の以下の公式サイトより引用。同作品は、同美術館の「Open Access image」の作品。

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*議論とは、「互いに自分の説を述べあい、論じ合うこと」である(『広辞苑』第七版岩波書店2018)。他方の説を読まずして一方的に意見を要求することを議論とは考えない。