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ARTのよもやま話

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アートというより「art」に関するよもやま話。Copyright©Susie Y. All rights reserved.
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#美術

ちょっとしたアートのテスト 〜 答えあわせ

昨日の続き。 昨日のテストで、お見せした画像と記事にもう一度、お付き合いいただければ幸いだ。 こちらの作品は、《ニューヨークのクーロス》(紀元前590年〜580年)。 アッティカ地方で出土されたと推定されている。現在、米国・ニューヨークのメトロポリタン美術館(*)に所蔵されている(CC0)。 さて、昨日、この作品の画像と共に下記のようにおたずねした。 試してみていただきたいことがある。上の作品の画像を見た時、どのくらいの大きさに見えるだろうか。ご自分の脳の中で想像して

ちょっとしたアートのテスト

現代アートに過去のアートは必要ない。。のだろうか。

アートの知識は、見えないものを見えるようにしてくれることもある

アートを鑑賞する方法は、自分が楽しければ何でも良い。 とはいえ「知識は鑑賞の邪魔」と最近巷でよく聞こえてくる。 鑑賞するために、知識はそんなに悪者なのだろうか。 例えば、ミケランジェロの専門家が膨大な資料の中から、当時の領収書を1枚1枚調べて、ミケランジェロの顧客、契約内容を調べる。一見、無駄な努力なようだが、その結果「システィーナ礼拝堂の壁画は、当時の教皇ユリウス2世が注文した」という事実が、浮かび上がってくる。 つまり、キャプションや美術書を通して我々が読んでいる

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大塚国際美術館(日本・鳴門) 番外編

本物を見た時よりも、「本物の良さがわかる」こともある 〜 大塚国際美術館(日本・鳴門) 後編

大塚国際美術館(The Otsuka Museum of Art)で今回見学出来た作品の中で、個人的に印象に残ったベスト5を厳選して紹介している(順不同)。前回の続き。 2.スクロヴェーニ礼拝堂 大塚国際美術館の展示の中でも「スクロヴェーニ礼拝堂の実寸大に復元された空間」は、ダントツの完成度だ。壁画の剥がれ具合まで見事に再現している。 イタリア、パドヴァにあるスクロヴェーニ礼拝堂は、見学時間15分のみ。もちろん、撮影禁止だ。鳴門の「スクロヴェーニ礼拝堂」の画像でもおわかり

個人的に印象に残ったベスト5は。。 〜 大塚国際美術館(日本・鳴門) 中編

実は、大塚国際美術館の本当のすごさは、地下3階の古代・中世の展示場からはじまる。 もう一度、同美術館の公式サイトより以下の部分を引用させていただく(*1)。 館内には、6名の選定委員によって厳選された古代壁画から、世界26ヶ国、190余の美術館が所蔵する現代絵画まで至宝の西洋名画1,000余点を大塚オーミ陶業株式会社の特殊技術によってオリジナル作品と同じ大きさに複製しています。それらは美術書や教科書と違い、原画が持つ本来の美術的価値を真に味わうことができ、日本に居ながらに

「本物を知ること」は、本物を見なくても可能だ 〜 大塚国際美術館(日本・鳴門) 前編

私の頭の中には、「本物を現地で見る」というアートを研究してきた人間としての、どうでもいい使命がこびりついていた。ただ、下記の記事にも書いたが、ミュンヘンの古典彫刻模型博物館での体験が、「本物を現地で見る」=「本物を見ないと意味がない」という思考回路を吹っ飛ばす結果となった。 この体験を通して、すぐに思いついたのが日本の大塚国際美術館へ行ってみて、今度は、名品の複製画を体験することだった(*1)。ご存じの通り、同美術館に本物の作品は、一切展示されていない。その規模といい、世界

noteで画像を使用するときのガイドラインを希望する

noteで画像を利用するとき、自分なりに気をつけている。 例えば、私の場合は、アート系のnoteを書くことが多い。 その際、基本、自分が撮影した写真のみをnoteで使用している。全てのヘッダー画像も自前か「みんなのフォトギャラリー」でお借りする写真のみだ。 特に美術館所蔵の作品は、ネットでダウンロード出来たとしても、絶対にnoteで使用しない。 ウィキペディアの画像も気をつけないと、全てが「フリー画像」というわけではないから、noteにそのまま貼ることもしない。 な

西洋美術を専門にしている私が、『西洋』に対して疑問に思うこと 〜 続編 アンサーnote

昨日、「西洋美術を専門にしている私が、『西洋』に対して疑問に思うこと」というnoteを書いた。 このnoteに対して、masaki morooka氏とkaoru氏からコメントをいただいた。この場を借りてお二方に御礼を申し上げる。 いただいたコメントにきちんとお答え出来るかどうか、わからないけれども、私なりの考えをアンサーnoteという形で、つぶやいてみたい。 なお、「つぶやき」なので、参考文献や註は省かせていただく。 まずは、masaki morooka氏からいただい

「美術館女子」について一考

今、読売新聞オンラインで掲載されている企画「読売新聞美術館女子 東京都現代美術館×AKB48チーム8小栗有以」がネット上で猛烈に批判されているそうだ。 同企画のサイトは以下の通り。 この企画者は、美術館連絡協議会(美連協)と読売新聞オンライン。では、美術館連絡協議会とは、何か。 以下、上記のサイトより引用。 全国の公立美術館が連携を図り、芸術、文化の向上および発展に資することを目的に、1982年12月に設立されました。読売新聞社と日本テレビ放送網等の呼びかけに賛同した

美術を鑑賞する作法 番外編 「作法なんて本当は必要ないけれども。。。」

イタリアの旅の時間に戻らずに、今日も日本の現代の時間におります。以下、私のつぶやき。 上の画像は、東京・六本木の国立新美術館に隣接している政策研究大学院大学の入り口近くに群生しているクチナシの花だ。白い花の香りが、とにかく素晴らしい。ずっと前に撮影したので、今年はどうなっているのだろう。現在、諸事情で東京から離れている私は、確認出来ないけれども。 昨日、こんなnoteを書いた。 思うところがあり、800文字ほど加筆した。 上記のnoteの下書きを書いていた時、最初の文

美術を鑑賞する作法 「作品の基礎知識を意識する」

だいぶ前になるけれども、「美術を鑑賞する作法」について以下のnoteを書いた。 私の「美術の鑑賞」に関する基本的な考えを上記のnoteから引用する。 私の知る限り、欧米では「美術検定」はない。もし、美術に興味があり、知識を深めたいのであれば、学生は、学校で、社会人は、コミュニティカレッジで「美術史」を学ぶ。なぜなら、基本的に美術史の学問は、そこら辺で受講出来るほど身近なものだ。もちろん、ただ、ただ、美術が好きで「鑑賞するだけ」の人々もいる。「プロ」を目指さない限り「自由」

芸術や文化が少しでもスキであれば、今知ってほしいこと

追記(2020/06/14):国立西洋美術館は、2020年6月18日(木)より全館開館となることが決定。上記の「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」も日時指定制を導入し同日より10月18日(日)まで開催されることになった(国立西洋美術館公式サイト2020年6月12日更新現在)。 今、国立西洋美術館の中に、英国・ロンドンにあるナショナルギャラリーより計61点、全て初来日の作品が展示されている。 今回も、保険も含め、莫大な費用をかけて、英国から61点の作品が、大事に大事に日本