マラソンサブ2:05の選手を7名擁するケニア🇰🇪カプサベトの「2 Running Club」について
ケニア、エチオピア、ウガンダなどに拠点を持つNN Running Teamは、キプチョゲやその他のスター選手が所属していることから「世界最強の長距離チーム」だといわれている。そして、彼らは概ねナイキ契約の選手である。
それでは、アディダス契約の選手で構成された最強の長距離チームはどこか?男子マラソンでいえば、エチオピアの名コーチのGemedu Dedefoが率いるトレーニンググループが強豪チームとして有名であるが、近年に勢いのあるのがケニアのカプサベトに拠点を置く「2 Running Club」である。
リフトバレー州北部の都市エルドレットから車で南西に1時間ほどの場所に位置するカプサベト。この地域はキプチョゲの出身地であるナンディ地方で茶畑が有名。ナイロビからエルドレットに向かう飛行機からその美しいグリーンの茶畑を見ることができる。
2 Running Clubには現在、男女ともに世界クラスの中距離選手からマラソン選手まで在籍しており、その多くがアディダス契約である(アディダス契約の中長距離選手をまとめているWA公認代理人のジャンニ・デマドンナがこのチームを手掛けている)
ヘッドコーチのクラウディオ・ベラルデリ(右)は、ケニアのトレーニングキャンプを整備したローザ博士のもとでケニアでの経験を積み、自分のチームとして2016年から2 Running Clubをカプサベトでスタートさせた。
2 Running Club
ヘッドコーチ:クラウディオ・ベラルデリ 🇮🇹
アシスタントコーチ:アベル・ムタイ 🇰🇪(ロンドン五輪3000mSC3位)
WA公認代理人:ジャンニ・デマドンナ 🇮🇹
Instagram:https://www.instagram.com/2runningclub/
男子マラソン選手(マラソンサブ2:05:7人)
Amos Kipruto 🇰🇪 PB Marathon 2:03:13
2022年の東京マラソンでキプチョゲと競り合ったのがアモス・キプルト。この2人は東京五輪男子マラソンのケニア代表でもある。
今回キプルトに連絡を取ってみたが、東京マラソン後はオフを設け体重が増え最近練習再開したそう。彼はWMMでの優勝経験はないがケニア代表として2回世界大会に出場しており、ドーハ世界選手権では銅メダルを獲得した。
・2016年 ローマ 🇮🇹 2:08:12 優勝
・2017年 ソウル 🇰🇷 2:05:54 PB 優勝
・2018年 東京 🇯🇵 2:06:33 3位
・2018年 ベルリン 🇩🇪 2:06:23 2位
・2019年 プラハ 🇨🇿 2:06:46 3位
・2019年 ドーハ世界選手権 🇶🇦 2:10:51 3位
・2020年 バレンシア 🇪🇸 2:03:30 PB 4位
・2021年 東京五輪 🇯🇵 DNF
・2022年 東京 🇯🇵 2:03:13 PB 2位
Evans Chebet 🇰🇪 PB Marathon 2:03:00
このトレーニンググループでマラソンの成績が最も安定しているのがこのチェベト。2022年のボストンマラソンでは35-40kmを13:55でカバーし、東京五輪4位のローレンス・チェロノを引き離しての完勝だった。
・2014年 プラハ 🇨🇿 2:08:17 2位
・2015年 プラハ 🇨🇿 2:08:50 2位
・2016年 ソウル 🇰🇷 2:05:33 PB 2位
・2016年 ベルリン 🇩🇪 2:05:31 PB 3位
・2017年 東京 🇯🇵 2:06:42 4位
・2017年 バレンシア 🇪🇸 2:05:30 PB 2位
・2019年 ブエノスアイレス 🇦🇷 2:05:00 PB 優勝
・2020年 びわ湖 🇯🇵 2:07:29 優勝
・2020年 バレンシア 🇪🇸 2:03:00 PB 優勝
・2021年 ロンドン 🇬🇧 2:05:43 4位
・2022年 ボストン 🇺🇸 2:06:51 優勝
Dickson Chumba 🇰🇪 PB Marathon 2:04:32
東京2勝、シカゴ1勝でWMM3勝というチュンバは東京マラソンでは5回表彰台に立っており「ミスター東京マラソン」といえる。2 Running Clubのマラソン選手を牽引してきた。
・2011年 ローマ 🇮🇹 2:08:45 優勝
・2012年アイントホーフェン 🇳🇱 2:05:46 PB 優勝
・2014年 東京 🇯🇵 2:05:42 PB 優勝
・2014年 シカゴ 🇺🇸 2:04:32 PB 3位
・2015年 東京 🇯🇵 2:06:34 3位
・2015年 シカゴ 🇺🇸 2:09:25 優勝
・2016年 東京 🇯🇵 2:07:34 2位
・2016年 シカゴ 🇺🇸 2:11:26 2位
・2017年 東京 🇯🇵 2:06:25 3位
・2018年 東京 🇯🇵 2:05:30 優勝
・2019年 東京 🇯🇵 2:08:44 3位
Benson Kipruto 🇰🇪 PB Marathon 2:05:13
チュンバの実弟であるベンソン・キプルトは若い時にジャーナリストを志していたが、紆余曲折あり25歳で2 Running Clubに入って陸上選手として開花。兄の活躍にモチベーションをもらい、30歳でボストン制覇。
・2018年 ソウル 🇰🇷 2:07:11 PB 3位
・2018年 トロントウォーターフロント🇨🇦 2:07:24 優勝
・2021年 プラハ 🇨🇿 2:10:16 優勝
・2021年 ボストン 🇺🇸 2:09:51 優勝
・2022年 ボストン 🇺🇸 2:07:27 3位
Vincent kipchumba 🇰🇪 PB Marathon 2:04:28
・2019年 ウィーン 🇦🇹 2:06:56 PB 優勝
・2019年 アムステルダム 🇳🇱 2:05:09 PB 優勝
・2020年 ロンドン 🇬🇧 2:05:42 2位
・2021年 ロンドン 🇬🇧 2:04:28 PB 2位
CyBrian Kotut 🇰🇪 PB Marathon 2:04:47
・2016年 パリ 🇫🇷 2:07:11 PB 優勝
・2019年 クラクフ 🇵🇱 2:09:18 優勝
・2021年 フィレンツェ 🇮🇹 2:08:59 優勝
・2022年 ハンブルク 🇩🇪 2:04:47 PB 優勝
Barselius Kipyego 🇰🇪 PB Marathon 2:04:48
・2019年 パリ 🇫🇷 2:07:58 PB 5位
・2021年 パリ 🇫🇷 2:04:48 PB 4位
Chumbaはナイキ、Kotutはアシックス契約、それ以外の選手は全員アディダス契約。また、アディダス契約のEyob Faniel 🇮🇹 もカプサベトに住んでおり2 Running Clubの選手と共にトレーニングをしている。
Eyob Faniel 🇮🇹 PB Marathon 2:07:19 NR
・2019年 ドーハ世界選手権 🇶🇦 2:13:57 15位
・2020年 セルビア 🇪🇸 2:07:19 NR 7位
・2021年 東京五輪 🇯🇵 2:15:11 20位
・2021年 ニューヨークシティ 🇺🇸 2:09:52 3位
その他の男子選手
Cosmas Birech 🇰🇪 PB Marathon 2:08:03
・2018年 ローマ 🇮🇹 2:08:03 PB 優勝
Solomon Yego 🇰🇪 PB Marathon 2:06:24
・2018年 バレンシア 🇪🇸 2:06:24 PB 8位
・2021年 マドリードハーフ 🇪🇸 59:43 PB 3位
Felix Kipkoech 🇰🇪
・2021年 シエナハーフ 🇮🇹 59:35 PB 優勝
・2021年 ベルリンハーフ 🇩🇪 58:57 PB 優勝
Sabastian Kimaru 🇰🇪
・2022年 セルビアハーフ 🇪🇸 59:02 優勝
・2022年 ローマオスティア 🇮🇹 ※58:02 優勝
※ 片道コースの非公認コース
Alex Kibet 🇰🇪
・2022年 ベルリンハーフ 🇩🇪 58:55 PB 優勝
Felix Kibitok 🇰🇪
・2022年 サンタポーラハーフ 🇪🇸 59:33 優勝
↑ハーフサブ60:00:5人
Levy Kibet 🇰🇪
・2021年 ナイロビU20世界選手権 🇰🇪 5000m 13:26.01 PB 3位
Emmanuel Wanyoni 🇰🇪 17歳
・2021年 ナイロビU20世界選手権 🇰🇪 800m ※1:43.76 PB 優勝
※ U18世界歴代2位
Jonathan Kitilit 🇰🇪
・2016年 ケニア選手権 🇰🇪 800m 1:44.24 2位
・2016年 DLパリ大会 🇫🇷 800m 1:43.05 PB 3位
・2018年 ケニア選手権 🇰🇪 800m 1:43.46 優勝
・2019年 ケニア選手権 🇰🇪 800m 1:44.50 2位
Jairus Birech 🇰🇪
・2014年 DLブリュッセル大会 🇧🇪 3000mSC 7:58.41 PB 優勝
・2015年 北京世界選手権 🇨🇳 3000mSC 8:12.62 4位
Sailas Kiplagat 🇰🇪
・2011年 大邱世界選手権 🇰🇷 1500m 3:35.92 2位
・2012年 ロンドン五輪 🇬🇧 1500m 3:36.19 5位
・2013年 モスクワ世界選手権 🇷🇺 1500m
・2014年 DLモナコ大会 🇲🇨 1500m ※3:27.64 PB 優勝
※ 世界歴代5位
女子選手(世界大会メダリスト:4人)
Prisca Jeptoo 🇰🇪 PB Marathon 2:20:14
・2011年 パリ 🇫🇷 2:22:55 PB 優勝
・2011年 大邱世界選手権 🇰🇷 2:29:00 2位
・2012年 ロンドン 🇬🇧 2:20:14 PB 3位
・2012年 ロンドン五輪 🇬🇧 2:23:12 2位
・2013年 ロンドン 🇬🇧 2:20:15 優勝
・2013年 ニューヨークシティ 🇺🇸 2:25:07 優勝
Margaret Chelimo 🇰🇪
・2017年 ロンドン世界選手権 🇬🇧 5000m 14:48.74 5位
・2019年 ドーハ世界選手権 🇶🇦 5000m 14:27.49 PB 2位
・2021年 DLパリ大会 🇫🇷 3000m 8:21.53 PB 3位
・2021年 DLブリュッセル大会 🇧🇪 5000m 14:27.12 PB 4位
・2022年 ケニアクロカン選手権 🇰🇪 シニア10km 34:02 2位
・2022年 バルセロナハーフ 🇪🇸 1:05:26 優勝(初ハーフ)
Irine Jepchumba 🇰🇪
・2019年 ケニア選手権 🇰🇪 10000m 31:32.45 5位
・2022年 ローマオスティアハーフ 🇮🇹 ※1:06:37 優勝
・2022年 ベルリンハーフ 🇩🇪 1:06:34 PB 優勝
※ 片道コースの非公認コース
Dorcas Jepchirchir 🇰🇪
・2019年 イスタンブールハーフ 🇹🇷 1:06:33 PB 2位
・2019年 コペンハーゲンハーフ 🇩🇰 1:06:36 3位
Betty Wilson 🇰🇪
・2021年 パリハーフ 🇫🇷 1:05:46 PB 優勝
Betty Chepkemoi 🇰🇪
・2016年 ブィドゴシュチュU20世界選手権 🇵🇱 3000mSC 9:38.27 4位
・2019年 オーフス世界クロカン選手権 🇩🇰 U20 6km 21:03 6位
・2021年 ローマオスティアハーフ 🇮🇹 1:06:37 2位
↑ハーフサブ1:07:00:6人
Janeth Jepkosgei 🇰🇪
・2007年 大阪世界選手権 🇯🇵 800m 1:56.04 優勝
・2008年 北京五輪 🇨🇳 800m 1:56.07 2位
・2009年 ベルリン世界選手権 🇩🇪 800m 1:57.90 2位
・2011年 大邱世界選手権 🇰🇷 800m 1:57.42 2位
・2012年 ロンドン五輪 🇬🇧 800m 2:00.19 6位
Eunice Sum 🇰🇪
・2016年 リオ五輪 🇧🇷 800m準決勝2組 2:00.88 7着
・2019年 ドーハ世界選手権 🇶🇦 800m決勝 1:59.71 5位
・2021年 東京五輪 🇯🇵 800m予選2組 2:03.00 6着
Mercy Cherono 🇰🇪
・2011年 大邱世界選手権 🇰🇷 5000m 15:00.23 5位
・2013年 モスクワ世界選手権 🇷🇺 5000m 14:51.22 2位
・2015年 北京世界選手権 🇨🇳 5000m 15:01.36 5位
・2016年 DLドーハ大会 🇶🇦 3000m 8:26.36 PB 2位
・2016年 DLローマ大会 🇮🇹 5000m 14:33.95 PB 2位
・2016年 リオ五輪 🇧🇷 5000m 14:42.89 4位
2 Running TeamはNN Running Teamとは違って、フォトグラファーやビデオグラファー、ライターと契約して、プロモーション活動を行っているチームではない。彼らの活動はインスタグラムなどのSNSを通じて少しだけ見ることができるが、東京マラソンでのアモス・キプルトの快走、2年連続でボストンの優勝者を輩出しているチームだけに、今後も要注目であるといえる。
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