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本当に「自力」を高めるシューズってなんだろう?厚底「軽量」シューズ全盛期に重いシューズでトレーニングすることの重要性と👟のレジスタンストレーニングについて。

今日のジョギングで意識した点と、ジョグの後に考えたことについて。

【練習内容】39'モデレート+流し100m3本
(100mは17秒1、17秒3、17秒1、R31秒=ほぼ同じ動き)
Total: 41:00, 10.5km(ave. 3:53/km)
5km19:29(3:54 /km) 10km19:26(3:53 /km)のイーブンペース
シューズ:ナイキボメロ14(270g)

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(このジョグでは1回も時計を見てペースを確認していない。全て感覚重視で結果的にイーブンペースで、流しのタイムもリカバリーもほぼ同じ感覚)

40分程度の速めのジョグとジョグの延長線上での流し3本。夏は暑いので、ジョグの時間を短くして、その分強度を少し上げて総負荷をコントロールしている。

【270g shoes are the right shoes for moderate run aka resistance training】
・39' moderate at even pace ◎
5km19:29(3:54 /km)10km19:26(3:53 /km)
・3 × 100 strides at 30℃(86°F)
Shoes👟 Nike Vomelo 14

👟のレジスタンストレーニング

ナイキのペガサスターボやズームフライが発売されてからというもの、26.5cmで250gの重さを越えるシューズは少なくなった。

※(ズームフライは、元来250gよりも軽かったが、ズームフライ3は250gを超える重さになった。また、ペガサス36も37にモデルチェンジする際に重さが250gを超えるようになった)いずれも26.5cmで

今では、ペガサス37やアシックスのノヴァブラスト、そして私がジョグで履いているワークマンハイバウンスやナイキのボメロ14も26.5cmで270gぐらいあるシューズである。

レジスタンストレーニングとは、ウェイトトレーニングやジムのマシントレーニングといった重さに対して抵抗する、つまり特定の部位の骨格筋に意図的に一定の負荷をかけて行うトレーニングである。

シューズにおけるレジスタンストレーニングとは、重いシューズを履いて遅すぎない走速度で走るものをさすが、今日の私の練習のような3:53/km平均の10kmジョグといったModerate(適度な)ペース、つまりマラソンペースよりも少し遅いぐらいのペースで長い時間走ることができれば、それは十分にレジスタンストレーニングとしての効果が期待できるだろう。

具体的には、重いシューズである程度の出力を出そうとしたら脚を引き上げて動きを大きくする必要がある(ピッチを上げようとするのではない)。結果、ストライドを伸ばそうとするので、私の場合は股関節まわりの筋群の伸展が起こり、ジョグの動きとしてはかなり良い動きを作ることができる(それができていると質の良いジョグだと感じている)。

また、重いシューズでジョグの後の流しや、ファルトレクという複数の走速度においての練習でも、速めのジョグと、流しやファルトレクの疾走時では同じようなフォームで走れると最高に良い。この時、ピッチは速くなるし、腕の振りも速くなるが、その振り幅やストライドの長さはあまり変わらない(そういう感覚を得ている)。

重いシューズでの流しの時は、私はより股関節まわりの筋群が伸展していることを感じることができるが、普段からコアトレやウェイトトレーニング、坂ダッシュなどでハムストリングスや中臀筋、大臀筋、または腸腰筋などを鍛えておくと、走速度を上げたときにそれらがきちんと使えていることが実感できる。

今日はマラソンペースよりも少し遅いぐらいのペースでリズム良く走り、10km走ったところでアラームが鳴る設定にしていたので、そこから休みなくダイレクトに続けて流しを3本。その流しで、ジョグと同じフォームで走ることを意識した。100mの流しは3本で17秒1、17秒3、17秒1だったので、リズムはほとんど一緒だったはずだ。

ぶっちゃけ、270gのシューズで良いジョグ(ペースが速いジョグが必ず良いジョグなのではなく、動きの精度が高いジョグが良いジョグ)ができていれば、170gのシューズに履き替えれば、自然とピッチが速くなるので、結果的に速く走れるようになっている。

夏にワークマンやボメロやペガサスやホカのシューズなどの重いシューズで、このようなレジスタンストレーニングで良いジョグができていると、涼しくなってからペースを速くしてももちろんそのまま走れるし、シューズを軽いものに変えたらもっと速く走れるようになっていくのは当然。

しかし、その逆は起こらない。

普段から軽いシューズばかり履いていて、いきなり重いシューズを履くと当然「重い!」となる。最近のシューズは昔よりも比較的軽くなっているので、こういった逆張りの法則が有効的であるが、あまり注目されていないのが現状である。


脚の強化や故障の予防には👟の履き分けと路面の選択で脚への刺激を分散することが重要

ただ、このようなシューズのレジスタンストレーニングばかりを行えばよいわけではない。ストレングストレーニングにもテーパリングがあるように、シューズにも期分け(ピリオダイゼーション)がある。

試合が近いと、試合で履くシューズを多く履くことになるし、ジョグのシューズも少し変える必要もある。しかし、今のように大会があまりない時期は、ベースを高めるには良い時期である。

こういう時期はシューズのレジスタンストレーニングで特定の部位に刺激を加えたり、逆にナイキフリーやストリークといった薄底軽量のミニマルシューズ(ベアフット系シューズ)を履いてジョグをすることで下腿三頭筋(腓腹筋、ヒラメ筋=ふくらはぎ)に刺激を与えることも良い。

そして、スパイクを履いてのトラックでの流しも、もちろんいろんなメリットがある。

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つまり、練習内容によって脚に対する刺激を分散することが、筋の強化や故障の予防にとってかなり大事であり、その方法の1つとしてシューズの履き分けや路面の選択がある。

私は股関節まわりの筋群(大腿部、臀部など)に刺激を与えるためにあえて重いシューズを履く方法を採用している。

日本では、伝統的に草履や足袋といったミニマルシューズみたいなものが履かれてきたので、競技ランナーにとっては素足感覚に近い薄底シューズの需要が昔から重視されてきた。

2000年、2004年の五輪マラソンで金メダルを獲得した高橋尚子と野口みずきが履いていた薄底のソーティジャパンで「脚を鍛える」という三村さんの名言は本質をついているが、今はヴェイパーフライなどの厚底全盛期である。

そこで、最近の選手がジョグでどのようなシューズを履き分けているかが、とても重要である。そのようなことから、ジョグもそのペースごとに2, 3足持っておくと良いし、ファルトレクのような練習のためにもシューズのバリエーションはあったほうが確実に良い。

私が今日履いたボメロシリーズはキプチョゲもたまに履いているだろうが、基礎構築期は必ずしも軽いシューズを履いたり、ジョグやロングランのペースが速ければよいというわけではないということを念頭に置いておきたい。


スタビリティの高いシューズとそうでないシューズ

元来、日本人の競技ランナーはジョグで重いシューズを履くといった概念があまりないのかもしれないが、アフリカのランナーは走る場所が不整地ということもあり、重いシューズ、言い換えればクッション性やスタビリティ(安定性)の高いシューズを好む。

今日、私がワークマンのハイバウンスではなく、ボメロ14を選んだのは、流しの時の動きを重視したかったからだ。ハイバウンスはスタビリティが弱いので横ブレをする。値段が1,900円だから仕方ない。

逆に値段が10,000円を越えるジョグシューズはこういったスタビリティや何かを補完する機能が備わっている。だから値段が高い。

また、カーボンプレート内蔵のシューズが「カーボンプレート」によって反発性を生んでいると、平面的に曲解されているが、私の認識ではこのカーボンプレートは、シューズ全体のスタビリティを高める目的で挿入されている。

例えばZOOM Xのフワフワしたミッドソールからなる凄まじいバウンスに対して、横ブレをなくすためには、剛性の高い(硬い)フルレングスのカーボンプレートを挿入するといった工夫がある(そしてそのカーボンプレート自体もすごく軽い)。

ZOOM XのPebaxのマテリアルとカーボンプレートの組み合わせが反発性と安定感を両立させ、足首をロックさせ(スティフネス向上)、足の剛性を高めることでバネ機能が強化され、結果的にREの向上に繋がる。

このように文字通り「飛び道具」を使えば、そこそこ練習している人であればそのほとんどがこのシューズの恩恵を受ける。また、代謝能力と糖の補給戦略が関係するマラソンを除いては、筋力のない人の方がネクスト%の恩恵を受けるはずだろう。

そんな単純じゃない、と思っている人もいるだろうが、そのほとんどがこのシューズを履いたことのない人たちだろう。そして、ヴェイパーフライ4%が足に合わなかった人が、見事にネクスト%では足にハマってしまって、もうそこから抜け出せない人が多くいるのも事実である。

ナイキはこのフルレングス(前足部から後足部にかけて)のカーボンプレート(剛性の高いもの)をヴェイパーフライ系のシューズに挿入することに対して、ヴェイパーフライ4%を発売した2017年に特許を取得している。

近未来的に、こういった素晴らしいシューズのトータルの機能性が安価で生産されてしまえば、もうそれはすごいことであるが、そのために特許侵害されないように先に特許を取得しているあたり、ナイキはしたたかである。

例えばなぜ、アシックスやミズノが同じような形状のフルレングスのカーボンプレートを同じシステムのシューズで挿入していないのか、アディダスが5本指のエナジーロッドというシステムを採用しているかを考えると、いかにこのナイキの特許の効力があるということがわかる(フルレングスのカーボンプレートが挿入されているサッカニー・エンドルフィンプロ等のシューズの、特許侵害についてのすり抜け方がどうなっているかは、現状私にはわからない)。

とここまで、長々と書いてきたが、現状、ワークマンのハイバウンス(スタビリティの低いシューズ)で流しをすると私の体はブレてしまうので、それは私の体がまだ不安定であることを示唆しているのではないかと感じる。つまり、まだ筋力の強化や体幹部のバランスを整えていくことに対して、伸び代を残していると考えることができる。

このような観点でシューズのレジスタンストレーニングを考えたとき、ジョグやロングランで積極的に履きたいシューズとは、ボメロ14やペガサス37や、ワークマンや重ためのブースト系のシューズ等になるが、アディゼロプロ(240g)といったある程度の重さがあって、かつカーボンプレート内蔵となると、スピード変化の多い基礎構築や鍛錬期までのファルトレクといった練習には最適であると考えている。


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