4/4 イスタンブールハーフ🇹🇷 女子ルース・チェプゲティチが1:04:02の世界新で優勝 / 男子キビウォット・カンディエが59:35でハーフこの5戦で4勝。
(写真:イスタンブールハーフLive streamより)
2021年は2月のRAKハーフが直前で中止、4月11日のNNミッションマラソンが1週間延期になるなど波乱含みのスタートとなっているが、日本のびわ湖毎日マラソンのように、この厚底時代では新記録ラッシュが続いている。
【女子】
1. R. チェプゲティチ 🇰🇪 1:04:02 PB, 世界新
2. Y. イェアラフ 🇪🇹 1:04:40 PB, 世界歴代3位
3. H. オビリ 🇰🇪 1:04:51 世界歴代5位タイ / 初ハーフ世界最高
4. J. チェリモ・メリー 🇰🇪 1:05:09
5. B.コスゲイ 🇰🇪 1:06:01
ドーハ世界選手権女子マラソン金メダリストのルース・チェプゲティチが1:04:02(ave.3:02/km)の世界新で優勝。従来の女子ハーフマラソンの世界記録を29秒更新。
2020年世界ハーフ銅メダリストのY.イェアラフが1:04:40の世界歴代3位の記録で2位。
そして、初ハーフのヘレン・オビリ(ドーハ世界選手権5000m金メダリスト)が1:04:51の世界歴代5位タイの記録で初ハーフ世界最高。
・1500m サブ4:00
・3000m サブ8:30
・5000m サブ14:30
・10000m サブ30:00
・ハーフ サブ65:00
をオビリは人類で初めて達成した。
【イスタンブールハーフ:レース動画】
厚底カーボン時代の長距離での記録ラッシュ
この大会前の女子ハーフ世界歴代24+1は以下。
25人中16人がこの2年での記録で、厚底時代の記録水準の向上は明らか。
新谷仁美が2020年1月にハーフで1:06:38の日本新を出したが(プライベートペーサーを起用)現在、新谷と世界トップとの選手でハーフで2分ほどの差があると考えてよさそうだ。
ナイキのヴェイパーフライネクスト%やアルファフライ、アディダスのアディオスプロがリリースされ始めてから、ハーフで2018年以前よりも1分近くの水準向上が見られている。仮に、今実際に過去のハーフの記録よりも1分ほど速くなっていなければ、世界トップとの差はさらに広まっていくだろう。
そのようなことから、今後も長距離種目においては世界新や日本新というのは通過点であり、今後もっとそういった記録が出てくることが予想される。女子は今年中にハーフの1:03台が出ても何らおかしくないだろう。
ちなみに、他の種目(短距離、跳躍、投擲)も記録のパフォーマンスに対する道具の貢献度が今後高まるようであれば、↑のスコアリングテーブルのバランスは保たれるが、今は中長距離種目の記録水準の向上が著しいので、少しバランスが崩れている(これまでと比較して)。
例えば、マラソンのサブテンは2019年1月以降に66人の日本人選手が記録した。マラソン2:09:56は世界陸連のスコアリングテーブルで1163点であるが、その点数の他の種目は以下である。
・400m 45.24(日本歴代7位相当)
・800m 1:45.35(日本記録相当)
・1500m 3:35.87(日本記録相当)
・3000m 7:42.24(日本歴代3位相当)
・3000mSC 8:20.90(日本歴代4位相当)
・5000m 13:12.97(日本歴代3位相当)
・10000m 27:40.21(日本歴代12位相当)
・ハーフ 1:00:43(日本歴代8位相当)
これらの記録を日本人選手が2年間で66人も出せるかどうか。これは日本の実業団選手のマラソンの層が厚いといえども、マラソンにおいてのシューズの貢献度が高くなっていることの現れだろう。
男子はカンディエが59:35で優勝。この5回のハーフで5戦4勝2位1回
【男子】
1. K. カンディエ 🇰🇪 59:35
2. G. カムウォロル 🇰🇪 59:38
3. R. キプコリル 🇰🇪 59:46 PB
4. A. ワレレン 🇪🇹 59:49
5. L. バルソトン 🇰🇪 59:59
6. S.キッサ 🇺🇬 1:00:02
ハーフマラソン世界記録(57:32)保持者 / 2020年世界ハーフ銀メダリストのキビウォット・カンディエがラスト1.5kmからのロングスパートが決めるかと思いきや、前世界記録保持者のジョフリー・カムウォロルが追う。しかし最後までカンディエが逃げ切り優勝。
カンディエは2020年にハーフでサブ59を4回も達成しており、今回の優勝を含めるとハーフはこの5戦で4勝2位1回。その2位は世界ハーフでジェイコブ・キプリモに負けたものだったが、ほぼパーフェクトの戦績だと言っていい。
カムウォロルは昨年バイクに衝突されるという事故に見舞われ戦線離脱。ハーフは2019年の58:01の当時の世界新をマークしたコペンハーゲンハーフ以来だったが、2位で力があることを見せた。
カンディエ、カムウォロル、キプリモ、そして5000m/10000m世界記録保持者のチェプテゲイは東京五輪の10000mで対決する可能性があり、キプリモとチェプテゲイは5000mとの2種目出場を目指している。
4/3にはロード5kmで世界記録の14:41もマークされる
4/3にはイギリスの草レースの5kmロードレース(Podium 5km)でトライアスロン選手のベス・ポッターが14:41の世界新の好記録で優勝。
・ポッターはリオ五輪10000m英国代表でその後トライアスロンに転向
・今回のシューズはアシックスの新作のメタスピードスカイ
・今回の5kmレースはローカルレースでコースは公認基準を満たしているがアンチドーピング要件(レース後の検査等)を満たしていたか?=WRに批准されないかどうか...?
リオ五輪の女子10000mのイギリス代表選手とはいえ、陸上を専門としていない選手が5kmロードレースの世界新を出すとは凄まじい。もちろんコロナ禍で彼女が実力を伸ばしたことも関係しているが、今回は5kmの自己記録を37秒も更新した。
5kmロードは以前まで、世界陸連が非公認種目としていたため、2017年にJ.ジェプコスゲイがマークした14:32の世界最高記録は参考扱いとなっている。
アシックスは川内優輝のびわ湖での8年ぶりの自己新の2:07:27だけでなく、先日の全米15kmロード選手権での男子優勝 / 女子2,4位、そして、今回のポッターの14:41でメタスピードスカイが優れたシューズであることをアピールできたに違いない。
先日のびわ湖毎日マラソンもそうだったが、2021年も引き続き長距離種目は記録ラッシュが止まらないだろう。
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