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果たして厚底シューズは規制されるのか?③

VF規制報道が1月中旬にあったが、今週の金曜日(1/31)には世界陸連(以下WA)の調査団(委員会)が調査したVFについてのレポートの内容をもとに、世界陸連が何らかの見解を述べる見込みである。

英国・ガーディアンのVF規制報道に関する1/29の記事によれば、
今週金曜(1/31)にWA(世界陸連)がVFのレポートを内容をもとに見解を発表
・VFネクスト%の禁止はない(予想通り)
WAは東京オリンピックの後までに新しいシューズ技術の一部を停止する予定
(東京オリンピックには間に合わないのか...?)
WAはエリートレベルにおいてナイキ以外の靴も含め研究を続ける
(他社の類似製品とVFとの比較材料が少ない。各メーカーのミッドソール素材の研究も足りていない)
プロトタイプシューズの使用は事前にWAの承認が必要とする可能性がある
(ナイキだけでなく各メーカーにあてはまる)
これらはエリートレベルの話で一般のランナーに影響はない
(エリートレベルの定義がどのような範囲となるか?)

注意していただきたいのは、今週末にはWAが見解を表明するが、仮にレギュレーションが変更されるとしても、それが即時に世界中の大会で運用されるわけではない。WAは、大きな取り決めをする際にWorld Athletics Council Meeting(評議会、以下Council)での承認を得て、その後にプレスリリースで公式発表をする。

例えばCouncilでは世界クロカンとか世界ハーフとか世界室内...etcの開催地決定や、ロシア等のドーピング問題などといった議題について評議し、メンバーの賛成を集めると決定事項として承認される。

次回のCouncilは3月13日開幕の南京世界室内選手権の時。今月末発表のVFレポートによるWAの見解から新たにレギュレーションが設けられる場合は、この3月のCouncilにて正式に承認を経てからでないと即施行することは考えにくい。

しかし、中国の新型コロナウイルスの影響で世界室内が開催されるか、もし中止になった場合Councilの日程が変更されるのかもわからない。

2/29の東京オリンピック全米マラソン選考会と3/1の東京マラソンでαFLYが使われるということが予想されるなか、仮に緊急のCouncilが開催されない限りはこの2レースでαFLYが登場する可能性が高い。

ガーディアンがシューズ規定が適応されるのが東京オリンピック“後”までにと報道したのは興味深い。果たして東京オリンピックの男女マラソンはナイキの選手が上位を独占してしまうのだろうか。


どのような規定で誰が対象となるか

ロイター(ロンドン)の1/24の記事によれば、世界陸連は公認大会を対象とした規制の方向性を示唆している。

「VFやその他の靴でマラソンを走りたいと思っているなら、彼らを止めるのは私たちの仕事ではないが、公認記録が必要な場合は“エリート”として分類され、競技者はルールを守る必要がある」

WAは今まさにそのルールを作ろうとしている時であるが、ここでの“エリート”とは、公認大会に出場する全てのランナーに当てはまるとは思えない(現状、数千人規模以上の大会で全員の靴をチェックするのは物理的に無理がある)。とはいえ、少なくとも非公認レースでは靴を自由に履くことが許されることが考えられる。

そうなれば今後、公認大会とエキシビジョン等を含めた非公認大会(リレーマラソン、駅伝等も含む)に競技性や存在価値の違いが広がっていくのではないかと思う(非公認大会のボストンやグレートノースラン、ローマオスティアハーフ等は例外になる可能性があるが)。

陸上競技とエキシビジョンにきちんとWAが線引きをして、公認大会は主催者が競技の公平性を担保しなければ、それはもはや陸上競技とは呼べないだろう。

WAは、陸上競技における新技術の開発と使用に関して、普遍性や公平性の維持を前提としたルール作りに関して適切なバランスを保っていくことが課題としている。スパイク以外のシューズにはこれまでレギュレーションがなかったことが明確なテーマであるが、今回を良い契機として今後に生かしていかなければならない。

シューズの新たな規定に関しては、ミッドソールの厚さやカーボンの枚数など具体的な制限が設けられると予想されるが、当面は限られた選手だけが最先端の特許技術によるアドバンテージを享受できるという現状を打破することが目標だろう。

その限られた選手が戦う場所が東京オリンピックであり、WMMやラベルレースの上位であるし、それらはもちろん公認大会である。


各々が置かれている立場によって考えが違う

今回の規制報道をめぐる議論では様々な記事や発信やツイートを見てきたが、とても的を得ていると思ったのがこの福田さんのこのツイート。

その記事の中で特に納得したのが以下。

ルールというのは、自分にとってどれが都合が良いのかという観点から議論してしまいがちですが、全体にとって何が良いのかという観点から考えるべきものです。しかし、こうした規制に関する議論をする際にはその人の主張が置かれている立場に影響されていることが多いです。

VFで記録を更新して、ポイント練習でも毎回履いているような人であれば「規制して欲しくない」と考えるだろう。

↓繰り返しになるが、WAは

「VFやその他の靴でマラソンを走りたいと思っているなら、彼らを止めるのは私たちの仕事ではないが、公認記録が必要な場合は“エリート”として分類され、競技者はルールを守る必要がある」

と、ロイターにコメントしている。ガーディアンの記事でもエリート以外は対象外と書かれている。果たしてエリートとはどれぐらいの範囲なのか...?
陸連登録者を基準に見ている人もいるが、そうなると対象者がかなり多くなる)

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(大阪ハーフ上位90人のうち83人(92%)がVFネクスト%を着用)

さて、先日の大阪国際女子マラソンと大阪ハーフではやはりVFネクスト%を履いている人が多かった。箱根駅伝と同様に、日本という国ではトップレベルの選手であっても8割9割という大半のトップ選手がナイキのシューズを自由に履ける国なので(一部例外あり)、今回の規制報道に関しては賛否の議論に偏りがある。

日本では規制反対派が多く、そういった内容の記事や発信が広まっており、陸上競技のことに詳しくない人(タレントなどの影響力のある人)にまで、そう思わせてしまっている傾向があると私は感じている。

その中でもきちんと自分の言葉で、

「シューズに関してのルールを作ることが大切」

と発信したのがプロランナーの神野大地だった。彼は当然、ナイキのシューズを履いておらず、ニューバランスと契約している選手である

彼のような非ナイキのプロランナーは日本では多くないが、福田さんの言葉を借りれば、それぞれの主張は、それぞれの立場に影響している

私はナイキのシューズを履いているトップレベルの日本人選手が、規制報道に対して賛成している内容の発信を見たことがない(見たことがある人がいれば教えてください)。

彼らは従来のストリークやアディオスに対して8%のRE向上が見込めるとされているαFLYが履けるチャンスを目前にして、自分の首を絞めるようなことはしない。

規制賛成派は神野選手のようにいるものの、日本ではごくごく少数派である。

VFを履く日本人選手のファンは、もっとその選手に活躍して欲しいと願うので、規制反対派としての見解を発信することが多い。記者やライターの中でナイキ寄りの人は「記録が出ているから盛り上がるし、それで陸上が盛り上がればいい」という考えをする人もいる(これもナイキがお得意先という立場が影響している)。

しかし、以下に挙げる人たちの見解を見ておいて損はない

彼らがどういう状況に置かれていて、どういう立場でその考えを持っているかを理解するだけで、今の世界の陸上界が抱えている問題(日本だけの話ではなくて)に気づくことができる。とはいえ、その問題は日本ではほとんど取り扱われないし日本人の多くはその問題にすら気づいていない。世界全体を見渡すことは非常に重要である。


規制賛成派の選手の声

以下の具体的な事例と海外の非ナイキ選手の規制賛成派の声を紹介する。

① 「テクニカルドーピング」の犠牲となったカラ・ガウチャー(スケッチャーズ)

スケッチャーズのプロ選手として2016年のリオオリンピック全米マラソン選考会に臨んだカラ・ガウチャー。3位までがオリンピック代表となるこのレースであと一歩届かず4位に終わった。

しかし、このレースで優勝したクラッグ、3位のフラナガンはVF4%のプロトの「メイフライ」を履いていた。

Forbesの記事によると、

スポーツ科学者のロスタッカーは、シューズがランニングエコノミーに4%の改善をもたらせば、エリート選手に2.7%のパフォーマンスの向上をもたらすとし、 ガウチャーの全米選考会での記録を2%向上させた場合、彼女は優勝できていた。たとえ1%の改善でさえ、ガウチャーはリオ五輪全米代表となっていただろう。

ガウチャーはこの記事の中で、「私は全米選手会が公平なフィールドでなかったと感じている」と述べている。また、2017年にVF4%の正体が明らかになり、そのプロトを2016年全米選考会でナイキの選手が履いていたことを知った時の気持ちについて「ドーピング選手が発覚した時の気持ちに似ている」とも話した。

彼女は2007年の大阪世界選手権女子10000mで銀メダルを獲得したが、その時は3番目でフィニッシュし、2番目にフィニッシュしたE. アベイレゲッセがドーピングで後に失格。ガウチャーは銅から銀に昇格となった経験がある。

ガウチャーはナイキオレゴンプロジェクトのサラザールコーチの元で練習していた時期もあったが、2016年にスケッチャーズの選手であったのには理由がある。

サラザールのドーピングスキャンダルの発端となったレポートは、元NOPのガウチャー夫妻や元NOPコーチのスティーブ・マグネスによる(ナイキを離れてからの)内部告発も一部影響したからだ。

彼女は陸上競技にとってあるべき姿、アンチドーピングの姿勢を貫いたが、結果としてそれは彼女がナイキには戻れないことを意味していた。

(公平なフィールドでなかった全米選考会のスタートラインの写真↑)

規制賛成派であるガウチャーは、

「VFを履く選手が勝つのではなく、最高のアスリートこそが勝つ」

と信じている1人である。


② メアリー・ケイタニー「普通のシューズで走る」(アディダス)

ロンドンマラソン3勝、ニューヨークシティマラソン4勝(NYCは8回走って全て3位以内)のメアリー・ケイタニーは、女子のみの(男子ペーサーがいない)レースでのマラソンの世界記録を持っている(2:17:01・2017年ロンドン優勝)。

この記録は、男性ペーサーの力を借りて出したラドクリフの2:15:25を脅かす記録だと当時話題になったが、この2年間で軒並み記録を伸ばしたナイキの選手とは対照的に、ケイタニーは2018年のRAKハーフを境にそれ以降に記録を伸ばすことはなかった。

ケイタニーはアディダスの広告にもなるほどの選手であり、長年アディダスとの信頼関係は強い。しかし、ナイキのシューズが自分が履いているシューズよりも優れているということに気づいてから、ケイタニーはジレンマを感じていた。

ケイタニーは2019年のニューヨークシティマラソンでのレース前の取材で

「レースはどのシューズで走るのか?」

と聞かれた際に、

「普通のシューズ」

と答えた。彼女はアディダスのプロトであるアディゼロプロを履いてこのレースで2位に入ったが、彼女の心の中のどこかに、もどかしい・やるせない気持ちがなければ、プロトのシューズを履くというのにこのような回答にはならないだろう。

(青山学院大のようにアディダス契約ながらもナイキのシューズを履くという例もあるが、それはプロの世界の話ではなく、あくまでアマチュアの世界の話である)

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【参考】ホカのプロ選手のステファニー・ブルース(HOKA NAZ Elite所属)

もしあなたがシューズメーカーからサポートを受けている選手なら(またはサポートを受けているチームに入っているなら)、他のメーカーのシューズを履くことがなぜ許されるのだろうか。それはプロ契約がそのメーカーや選手にとってどうあるべきかということの意義を薄れさせ、彼らは自分自身の首を絞めている。(もちろん)スポンサーがない選手はどこのメーカーのものを着ても(履いても)よい。

ケヴィン・ハンソン↓(Hansons-Brooks Original Distance Projectのコーチ)

(ステファニーに)100%同意する。あなたが契約している会社(メーカー)のことを信じていないなら、その会社から金銭を受け取ることをやめなさい。

2020ヒューストンハーフで61:37のアマチュア選手のフィッシャー↓

R. フィッシャー(アマチュア選手)
自己記録
5000m13:43(2019年)
10000m28:23(2019年)
ハーフ61:37(2020年)
・2018年全米選手権10000m4位
・ヒューストンハーフ2019年アメリカ人1位、2020年アメリカ人2位

彼はボルダーのティンマンエリートで練習しているが、このような実績を持っていてもプロ選手になることができないアマチュア選手の彼を“市民ランナー”と捉えるかどうかはあなた次第である。

陸上長距離でプロ選手になるということは、少なくともアメリカにおいてはVFの“アドバンテージ”を捨ててまでも安定した収入を確保でき、契約してくれるメーカーと信頼関係を築くことが重要視されている


③ 「カーボン無しのシューズで2019年全米1位サラ・ホール(アシックス)

アシックスのプロ選手であるサラ・ホールは2019年のベルリンマラソンでそれまでの自己記録を4分更新する2:22:16を出した。そして、今年のヒューストンハーフではハーフの自己新となる68:58でアメリカ人トップ。

「正直、今の現状は残念。数字通りにパフォーマンスを心から祝うのは難しい。だから水泳、トライアスロン、サイクリングなど他のスポーツと同じように、いくつかの道具に関する規定があると役立つと思うし、それはより公平なフィールドを作り出すだろう。私はシューズのアドバンテージを持たずに、カーボン無しでベルリンを走って2019年の全米ランキング1位の記録(2:22:16)で走った。(出典先

彼女は「VFには明らかなアドバンテージがあり、自分たちにはそのアドバンテージがない」ことを明言。夫のライアン・ホールもサラと同じように、シューズのレギュレーションを作ることに賛成しており、同内容の発信をしている。


④ 「VFを研究する」BYUのウォード(サッカニー)

ユタ州・プロボのBYU(ブリガムヤング大)で統計学の非常勤講師を務めるジャレード・ウォードはサッカニーのプロ選手である(彼は仕事を持っているので彼を市民ランナーだと捉えるかどうかはあなた次第)。彼はリオオリンピック男子マラソン6位入賞、2019年ボストンでサブテン(2019年はボストン、ニューヨーク共にアメリカ人1位)の実績を持つ。

ウォードはBYUの運動科学教授のイアン・ハンター(USATF:全米陸連の長距離種目の生物学分析に従事)の研究室でVFについての研究を重ね、彼らの研究ではアディオスよりもVF4パーセントが2.8%、ストリークよりもVF4%が1.9%REが優れているという研究結果を得た(論文)。

このようにウォードは研究室でのデータを生かしながらサッカニーのプロ選手として自身のフィードバックを元にサッカニーの幹部や開発担当者と直接やりとりをしており、1年以上もプロトタイプの研究開発に注力している。

今年の春にサッカニーから発売されるエンドルフィンプロの開発に携わったウォードは「そのシューズの成果を知ることにはワクワクする」と述べている一方で、2019年のニューヨークシティマラソン前の取材では(動画)、「規制ができれば各メーカーはそのルールを守りながらまた新しいものを作るだろうし、規制されなかったとしてもまたいつかそのタイミングが来る」とコメントしている。

ウォードと同じようにサッカニー契約のプロ選手としてマラソンに挑戦しているのが、女子選手のモリー・ハドルである。

モリー・ハドル(サッカニー)
・リオオリンピック10000m6位、世界選手権入賞3回
・10000m(30:13)、ハーフ(67:25)全米記録保持者
・全米選手権10000m5連覇(2015〜2019年)

「(2020年ヒューストンハーフで)VFの選手がいっぱいいて本当に飛ぶように走っている選手がたくさんいた。WAがあと数週間のうちにシューズについて何かを決めるということなので、それを様子見の状態。(サッカニーのエンドルフィンプロのプロトが自分の足に合わず)薄いシューズ(Type Aなど)が今の自分の状態に合っている。シューズの進化の過程で、キプチョゲが使用したαFLYはもっとカーボンプレートが増えて、もっと反発性が増えているように見える。そんなシューズが出てきて、パフォーマンスに対してのシューズの貢献度の割合が増しているから、何かしらのシューズに関してのルール作りは必要だと思っている

(ヒューストンハーフのレース後インタビュー)

また、ここでは取り上げなかったが、2018年ボストンマラソン優勝で、リオオリンピック7位入賞を果たしたブルックスの契約選手であるディズリー・リンデンも同じくシューズの規制を設けることに賛成している。


日本では起こらないこと

上記のように厳しいプロ選手の契約に関するストーリーや非ナイキ選手の発信は、日本ではないがしろにされている。彼らは素晴らしい成績をこれまでに納めてきた選手であるが、VFを履くことを許されていないプロ選手である。

そして、アメリカには実業団という制度がなく、プロ契約に関して非常にシビアであり、ロードを走るプロ長距離選手の中でナイキのシューズを履くことができない選手の方が圧倒的に多い国である

【2019年アメリカマラソン男子10傑(ボストンを含む)】

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プロ選手としてナイキのシューズを履いているのは1位のコリルと7位のバンバローのみ。

1. コリル(ナイキ)
2. ファウブル(ホカ)
3. ウォード(サッカニー)
4. ライリー(ナイキ:アマチュア選手)※元ブルックス
5. モック(ナイキ:アマチュア選手)
6. スティンソン(サッカニー)
7. バンバロー(ナイキ)
8. マクドナルド(ナイキ:アマチュア選手)
9. リャノ(ナイキ:アマチュア選手)※元ホカ
9. スミス(ホカ)
プロ選手のナイキ着用:10人中2人

アマチュア選手は契約がないので、自ずとナイキのシューズを選択している。

シカゴマラソン9位(アメリカ人1位)のライリーのレース後のコメント

VFで走ることは「トランポリンで走っているような気分。」スポンサーがないことの良い点の1つは、シューズを自由に選べること。

【2019年アメリカマラソン女子10傑(ボストンを含む)】

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プロ選手としてナイキのシューズを履いているのは3位のキピエゴと4位のハセイのみ。

1. ホール(アシックス)
2. シッソン(サッカニー)
3. キピエゴ(ナイキ)
4. ハセイ(ナイキ)
5. ベイツ(アシックス)
6. テイラー(ホカ)
7. ハドル(サッカニー)
8. リンデン(ブルックス)
9. トゥリアムク(ホカ)
10. ブルース(ホカ) 
プロ選手のナイキ着用10人中2人

その一方で、日本ではMGC男子上位10人中8人がVF着用。箱根駅伝でも84.3%の選手が着用。それぞれのフィールドにおいて選手が置かれている状況が明らか違う

アディダスは青山学院大、鎧坂(旭化成)、阿部(明大)...etc、アシックスは井上(MHPS)...etc、ミズノは佐藤悠基(日清)..etcをそれぞれVFに乗り換えれられて失ってきた。

しかし、ニューバランスの神野大地やアシックスの川内優輝がそうならないのは、上記のアメリカの選手と同じようにプロ選手としての制約があるからだ(プロ選手としての姿勢や立ち振る舞い重要視している)。

実業団選手が各メーカーの良いシューズを選択して履けることは良いことだと思うが、それは日本以外の選手ができることではなく、そんな恵まれた環境に置かれている日本では以下のようなことが確認されたことはない。

要するに、非ナイキ契約選手が、VFを塗装してナイキ以外のシューズに見せたり、どこのメーカーのシューズかをわからないようすると手段。これは大レースでは2019年のドバイマラソンで2位に入ったアディダス契約のヘルパッサ・ネガサが行なって当時話題となった。ネガサはこのレースは5分以上の自己新の2:03:40で走ったが、そのシューズは塗装されていた。

海外では同様のケースが多数確認されたが、中にはアディダス契約の選手が「シューズを飛行機に置いてきてしまった」とウソをついているのがバレバレのパターンさえある。

このような事態が起こり続けていることは明らかに異常であり、陸上競技にとっては決して望ましい状況とはいえない。WAが今回シューズに関しての線引きをしないと、これらの事態はさらに深刻になり、陸上競技は不正が横行して、本来のあるべき姿を崩していくことだろう。

スクリーンショット 2020-01-29 11.58.20

(出典:PR TIME

最後に....

選手の顔出しがNGされてしまった“不自然な”新製品の広告はもう見たくない。

顔出しがNGになるという状況が、アディダスにとって、陸上界・ランニング業界において望ましい状況だとは私は到底思えないからだ。

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