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【SWEAT ELITEワークアウト動画🇯🇵その3】遠藤日向(住友電工):日本選手権5000mに向けた調整練習 10×400m

Sweat EliteのYouTubeチャンネルの日本人選手 or 日本のチームの第3弾は5000mで日本歴代2位の記録を持つ遠藤日向(住友電工)。前年の日本選手権5000m覇者として2連覇に臨む一戦の11日前、合宿先の長野県で住友電工の選手らとの10×400mの様子。

【Hyuga Endo / 遠藤日向 - 10 × 400m】

概要
ユース、ジュニア時代と世界大会に出場した遠藤日向は、高校卒業後に住友電工に入社。日本でのトレーニングのみならず、アメリカのバウワーマントラッククラブでも長い時間トレーニングを積んだ(彼はBTCのメンバーではないが、この数年間で日本のエリート選手数名がBTCの選手とトレーニングを積んでいる)

2021年には日本選手権5000mで優勝し、今年の6月9日の日本選手権で連覇がかかっている。今季は5月4日のゴールデンゲームズinのべおかで13分10秒69の日本歴代2位をマークして優勝。ユージン世界選手権の参加標準記録を突破した。

ワークアウト内容
10 × 400m R90"walk 長野県にて。日本選手権5000m決勝11日前

【Summary】
The 23-year-old Hyuga Endo, who competed in '15 U18 and '16 U20 world championships, joined Sumitomo Electric after graduating from high school. He trained not only in Japan. He also trained with the Bowerman Track Club in the US. (He is not a member of the BTC, but some elite Japanese distance runners have trained with the BTC over the past few years)

In 2021, he won the 5000m in the 105th Japan Championships. His back-to-back wins are expected in the 106th Japan Championships on June 9 this year. This season, he won the Golden Games in Nobeoka on May 4 with 13:10.69, the second fastest time in Japan's history. He qualified the entry standard for the '22 Eugene World Championships.

The workout: 10 x 400m Recovery 90sec. walk in Nagano, Japan.
11 days before the 106th Japan Championships 5000m final.

The workout: 10 × 400m R90"walk

撮影にご協力戴きました住友電工の渡辺監督や原正希マネージャーなどスタッフ陣、そして遠藤選手をはじめとする選手の皆様に心より感謝致します。


動画撮影の合間に撮影した写真

動画撮影、400m60秒ペースでの並走に加えて、静止画の撮影。

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(マンバかエアズームヴィクトリーか。アスリートの感覚は繊細である)

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(渡辺康幸監督はきっちりタイムを測り大きな声で選手たちに伝える)

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(前から阿部弘輝選手、吉田圭太選手、遠藤日向選手、加藤淳選手)

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(遠藤日向選手とは学法石川高校時代の1学年上の先輩の阿部選手)

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(吉田圭太選手と遠藤日向選手は400mを59-60秒で10本消化)

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(大迫傑選手がアメリカ仕込みの“上裸”スタイルを日本に持ち込み、当時の日本でのトレーニングパートナーの高田康暉選手に伝授。それから住友電工の選手に普及していった...?)


今回の所感

遠藤日向選手といえば、ユース時代からトップ選手として活躍。特に5000mでのラスト1周のスパート力や1500mの走力は目を見張るものがあり、大学ではなく実業団に進んだことも当時話題に。

今回のうかがった話で最も印象的だったのが“僕は「1つ1つ段階をクリアしていく」と考えるタイプ”という彼の自己評価。5000mの年次ベストを見ればそれは明らかであるが、遠藤選手と同じくBTCでのトレーニングを積んだ荒井七海選手もインスタグラムでの投稿で同じようなことを記載していた。

小さな積み重ねを続けていくことでしか強くはなれない。階段飛ばしはしない。一歩ずつ進む。引用:nanamileara1より

2人の日本トップクラスの選手がこのように同じような“積み重ね”という過程を経ている。至極当たり前のことであるが、トレーニングの積み重ねの過程では故障をしないことと、トレーニングメニューの一貫性が重要であることは容易に想像がつく。

遠藤選手の今のラスト1周の強さは「5000mの2:40km前後のペースにおける中間走の余裕度の向上」というシンプルなものだと感じる(もちろんそのほかの要素も複合的に絡み合っているのだが)。

彼がユージン世界選手権の男子5000mの日本代表に無事に内定する可能性が高いが、今後は2024年のパリ五輪に向けて日本人選手初の5000m12分台に手が届く日が来るだろうか。


動画内のインタビューの要約

遠藤日向選手

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Q. 5000m12分台について
最終的には12分台を目指している。今は13分10秒が自己記録なので、まずは大迫傑さんの日本記録(13分08秒40)を突破して(それが達成できたら)次は13分05秒を切る、というふうに。僕は「1つ1つ段階をクリアしていく」と考えるタイプ。
Q. この日の練習メニューについて
(この日から3日後の)木曜日にキツい練習が入っていて、それに向けての調整練習と思っていて、400mのインターバルでの60秒という設定タイムについては速いと思ってはいけないので。5000m12分台を目指す時に(レースでは)1周62秒ペースで走らないといけないので、もっとスピードの余裕度を高めないといけないし、もっと上を目指せるよう頑張りたい。
Q. スパイクについて
狙っている5000mのレースでドラゴンフライを履いたことはないが、練習ではエアズームヴィクトリーが前に進む感じが違うと感じている。ドラゴンフライも良いスパイクであるが、自分はヴィクトリーのほうが好み。
(10000mだったら?)それだったらドラゴンフライかなと思うが、キツくなってきたらヴィクトリーのほうが耐えられなくなってくるので、10000mを走ることがあれば本気でスパイク選びで悩むだろう。
オフシーズンの時はドラゴンフライやヴィクトリーを履くことはなく、ほとんどのトラックワークアウトでマンバVを履いてやっているが、今はシーズン中なのでワークアウトで履くスパイクをどれにするか迷う時がある。ドラゴンフライやヴィクトリーが出る以前はマンバがすごく好きで履いていた。
Q. この日の練習の感想
木曜日のワークアウトに向けて追い込みすぎず、最初はちょっとキツかったけど、後半(動きが)どんどん良くなってきた。
同じチームで同世代の加藤(淳)とは去年の秋から、吉田(圭太)とは4月から一緒にトレーニングをしている。阿部先輩(学法石川高校時代の1つ上の先輩)は別メニューでやっていたが、彼も自分も日本選手権の5000mに出場するので、今月は一緒にトレーニングしている。


阿部弘輝選手

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(高校時代の後輩の遠藤日向との練習は)久しぶりに昔を思い出す感じもあるが、今の自分のレベルと遠藤選手のレベルはかなり差があるので、こういったレベルの高い選手と一緒に練習できるのは、同じチームでしかこういうことはできないと思うので、そういった経験が今できているのは嬉しいと思っている。


渡辺康幸監督

スクリーンショット 2022-06-06 22.28.18

Q. 遠藤選手の練習の消化状況について
10×400m R90 walkのインターバルは遠藤にとっては本来は57-58秒でできるが、今日は他の選手のレベルに合わせた59-60秒の設定タイムの練習だった。遠藤は予定通り故障なく練習を詰めているので、疲労が今溜まっているのかなと。攻めた設定タイムというよりかは(余裕のある)守りの設定タイムなのかなと。
(今回の日本選手権はしっかりと)3番以内に入ることをクリアしながら、先のこと(ユージン世界選手権)を見据えた練習を消化してきた。
Q. 遠藤選手のこれまでの課題ついて
テンポ走やクルーズインターバルのそういう練習のボリュームを増やしながら設定ペースを上げていった。10000mのレースを走れるようなボリュームをやっている。
遠藤は常に力感なく、私から見ても力を抜いているように見える。遠藤はワークアウトの強度によって力を入れている時もある。(ワークアウトの内容によっては)スパイクを履くなどバランスをとっている。余裕を持ってワークアウトをこなすためには、良いランニングフォーム、スムーズに体重移動できるかを彼は心掛けていているのではないか。
Q. ユージン世界選手権のファイナリストになるためには
(5000m予選では)最後の1000mが急激にスピードアップするので、ラスト1000mを2分30秒を切ること、ラスト1周を55秒を切って走れれば予選は通過できるのではないか、とイメージしている。


インタビューの英訳(Summary of the Interview)

Q. 5000m Sub13:00
Endo:My biggest goal is to run sub 13:00. My current PB is 13:10, so my first step is to break Suguru Osako's Japanese record (13:08.40), and (once that is achieved) the next step will be to break 13:05. I am the type of person who thinks, "I will clear one step at a time".
Q. Today’s workout (10×400)
Endo:I have a hard workout on Thursday (three days after this day). I think that today's workout is a tune-up for Thursday's workout. If I want to run sub 13:00, I have to run 62 seconds per lap pace in a race. So I have to feel comfortable running 60 seconds for 400m intervals. I need to improve my ability to endure the speed, and I would like to take it to the next level.
Q. What Spikes do you choose?
Endo:I have not worn the Nike ZoomX Dragonfly in the 5000m race, but I feel that the Air Zoom Victory has more power to move forward in workouts. Dragonfly is also a good spike, but I prefer the Air Zoom Victory.
(If it were 10,000m?) If that were the case, I would go for Dragonfly, but if it got too hard, Victory would be more unbearable, so if I ever ran 10,000m, I would have a difficult time deciding which spike I should wear.
I don't wear Dragonfly or Air Zoom Victory during the off-season. I do most of my track workouts with Mamba V's on. But now it's in-season, there's some time that I cannot decide which spikes I should wear for my workouts. Before the Dragonfly and Air Zoom Victory came out, I really liked the Mamba V and I would wear this.
Q. About today’s 4×100
I didn't push too hard today because I didn't want to use up my energy for Thursday's workout. It was a little tough at first, but I got better at the second half of the workout.
I have been training with my teammates Atsushi Kato (5000m 13:43) since last fall, and Keita Yoshida (5000m 13:37) since April. They are the same age as me. Hiroki Abe (5000m 13:33, one year older teammate from Gakuho Ishikawa High School) has been doing a different menu, but he and I are both going to run 5000m in the 106th Japan Championships, so we are training together this month.


Abe(Endo's teammate):Working out with Hyuga Endo reminds me of the old school days, but there is quite a gap between my current level and Endo's level. So I am happy to have him as a training teammate now. He's such a high level runner. I'm glad to be able to run with him in the same team.


Q. How Endo's been doing his workout
Watanabe(Head coach of Sumitomo electric):He can normally run 10x400m R90 walk intervals in 57-58 seconds, but he ran in 59-60 seconds today to match the level of the other teammates. He has been doing well without any injuries so far but I assume that he's got a bit tired. Today's time setting was not aggressive.
He's been training to run the Eugene World Championships. The Japan Championships is only a milestone.

Q. What He has been working on so far
Watanabe:He increased the volume and intensity of tempo runs and cruise intervals to be able to run and endure 10000m races.
He always seems to be relaxed. Sometimes He is putting in more effort depending on the intensity of the workout. He balances his workout by wearing spikes depending on the workout. In order to do his workout with a bit of energy left, he is trying to have a good running form and smooth weight transfer.
Q. To be a finalist in the Eugene World Championships 5k
In the 5000m heat round, the last 1000m speeds up rapidly, so I think that if he can run the last 1000m in under 2:30 and the last lap in under 55 seconds, he will be able to qualify.

(見逃したところがあれば最後にもう1度。)

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