【weekly post】2021年10月建設・不動産領域Pre-Seed~SeriesA資金調達in欧州
今回は前回に引き続き建設・不動産領域の欧州版をやっていきます。
前回の米国版まだみてないよって方は宜しければこちらからご覧ください。
また前回に引き続きアンケートもやってます!
2分ほどで終わると思いますのでご協力いただけますと幸いです!
今回の欧州版ですが、今月はいつもと少し違ってインテリア領域が多かったです。1社個人的に興味のあったものを取り上げてますのでぜひご覧ください。
再掲になりますが、今月のweekly postのスケジュールも載せておきますのでご覧ください!
31日週：建設・不動産領域9月の調達@ 米国
7日週：建設・不動産領域9月の調達@ 欧州(←今回)
14日週：教育領域10月の調達@米国
21日週：ヘルスケア領域10月の調達@米国
それでは早速、本編に入っていきます!
10月のサマリー
今回のweeklyの対象になる企業は下記の通りで、該当する企業の数は15社でした
■対象企業
所在地(順不同)：オーストリア、UK、フランス、ドイツ、スウェーデン、ラトビア、オランダ、スイス
対象領域：建設・不動産領域
企業ステージ：プレシード~シリーズA
ファイナンス時期：2021年10月1日~10月31日まで
10月の欧州は、ステージ分布については例月とそこまで変わらずという感じで特に特徴はなかったです
一方調達金額については、後ほど取り上げますが、建設関連ソフトの領域で大きめの調達があったこともあり、シリーズAの平均調達額は高めになっています。
領域ごとにみていくと10月は珍しくその他領域が多くなっていて、面白かったので後ほど取り上げようと思ってるのですが、IKEAのシリーズものにフォーカスした、デザインを変えれるツールを提供している企業がありました。
その他にもDIY関連のサービスや中古のインテリア売買に関するサービスなどインテリア系のサービスが多かったのが10月の特徴かなと思います。
今回は、その他領域からもいくつかピックアップして合計4社をご紹介できればと思います。
①【不動産開発上流工程効率化】LandTech(SeriesA)
設立：2010年
所在地：UK
今回調達金額：$56.7M
調達総額：$57.9M
リード投資家：Update Partners
サービス内容等：
主に不動産開発を行う際の用地取得から計画までを効率化していくサービスで「Land Insight」「Land Enhance」「Land Fund」の3つで構成されています。
「Land Insight」は用地取得にフォーカスしたサービスで用地取得フローそのものを効率化するというよりかは、所有者情報や開発情報などを収集し情報が更新(所有権変更など)された際などアラートを出してやることで開発の機会を早急に見つけエージェントにコンタクトできるようにしています。これにより、競合する前に用地取得を行うことができます。また、洪水などの土地のリスクや機会についても評価を行います。
「Land Enhance」は、過去の開発計画等を探していく計画調査や実際の計画に使うデータリサーチを効率化するツールで開発プランナーの業務効率化を行います。
②【IKEA家具特化カスタマイズキット】Plum Kitchen(seed)
設立：2019年
所在地：フランス
今回調達金額：$5.8M
調達総額：$6.38M
リード投資家：Firstminute Capital
サービス内容等：
ShopifyやAirbnbなどのサービスで追加機能を提供するようなサービスが多くあり、追加提供している企業も大きくなっているということがあるかと思うのですが、このサービスはIKEAの家具をアップグレードしていくための製品を提供しています。
現在はキッチンキャビネットなどのシリーズ「METOD」と収納系シリーズの「PAX」に対応しており、用意されている4つのベースデザインに好きな色を組み合わせ、IKEAのプランニングツールとデータ連携をすることで見積もりなどを出してくれます。
IKEAの寸法に合わせ組み立て用の穴などが開いているため、基本的にはIKEAの組み立て手順に沿って取り付けを行うことができます。
③【建設入札自動化】Fixtender(seed)
設立：2019年
所在地：ラトビア
今回調達金額：不明
調達総額：不明
投資家：Alchemist Accelerator
サービス内容等：
入札(調達)を実施する側の効率化ツールになります。通常エクセルなどで取りまとめられているプロジェクトの情報をインポートすることで5-10分程度で入札を作成することができます。その上で、請負業者に入札情報を送信し、サービス上で入札を行なってもらうことで、入札情報比較ややり取りなどを全てサービス上で行えるようになります。
今後、契約やPJのガントチャートを作成する機能も追加される予定で依頼者が委託先を決めやすくします。
入札を作成するにあたりこれまで行っていた調査や膨大な量のメールなどを行わなくても良いようにプロセス効率化を行うことで5%程度のコスト削減を見込んでいます。
④【高品質中古家具・アートEC】Whoppah(seed)
設立：2019年
所在地：オランダ
今回調達金額：$580K(PreValu $13.92M)
調達総額：$3.1M
投資家：不明(おそらく個人投資家)
サービス内容等：
中古の家具や照明、アートなどのECサービスです。中古家具などであればなんでも扱うというわけではなく、家具やアートでもWhoppahでキュレーションを行い、売り手から商品を回収したのち、状態を確認して買い手に届けられます。商品の配送についても高級家具の輸送に長けた輸送業者に保険をかけた上で配送を依頼しています。
また売り手側から見ると平均して11日程度で売却が決まるサービスになっており7%の成功報酬生になっているのでサービスに商品を掲載するだけでは費用がかからない形になっています。
商品は固定額での通常の販売に加え入札制での販売も行われています。
販売されている価格帯的にはこれまでの販売済みも含めると€1,000オーバーの商品が最もリストされている状態で、次いで€200-500 > ~€200 > €500-800 > €800-1,000という順になっており、最高額の出品は入札制で€30,000から、実際に売れた商品で表示されていたものの最高額は€6,900(約90万円)でした。
編集後記
さて、今月は少しいつもと毛色の違ったその他領域を多めに取り上げてみました。
個人的に面白いなと思ったのは、Plum Kitchenで割とShopifyやAirbnb、Amazonみたいなweb系のサービスだと機能を拡張するようなサービスを提供して、プラットフォーマーの成長に合わせて自社も成長していくっていうのがあるなと思うんですが、物理定期に商品を提供しているところにさらに付加価値をつけるようなものってこれまでもしかするとApple製品くらいしか目立ったものなかったんじゃないかなと思いました。
ちなみに、Apple製品のアクセサリーは世界で2.1兆円の規模があるようで(モバイルバッテリーやイヤホンなど高額なものも入ってるのであれですが)かなり大きな市場になっています。
IKEAは、比較的若い世代がメインの顧客層なイメージがあり、少しお金を払ってでも自分好みにアレンジしたいというニーズは出てくる可能性がありそうな気はしますし、売上高もグローバルで5兆円近い規模があることを考えると(Appleは11.6兆円)カスタム需要が仮に存在して取り込めたとすると割と大きな市場があるのかもしれません。
ただ、Appleの場合だと基本的には機械とソフトウェアが主なので、アクセサリーまであまり手を出していないからApple以外のメーカーが作っている市場になってる気がするのですが、IKEA製品のカスタマイズだと、割とIKEAの製造ラインの延長線上でできてしまうような気もしていて、何故IKEAが参入してきにくいのか(サプライチェーン的なものなのか、配送に課題が出るのか、在庫回転率が低下するからなのかなどなど)は考えてみると面白いかもしれないです。
それでは今週は以上になります!
来週は、久々に教育領域を取り上げます。
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