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建設関連業種決算関連指標Watch

新しいことやる前に、weeklyを追いつかせろよと言うすごく正しいご指摘は、一旦無視しまして….
今回は、5月中旬に多くの建設関連企業で2022年3月期通期決算が発表されたので、そのあたりをまとめてみました。

取り上げる対象としたのは、「準大手までのゼネコン」「ハウスメーカー」「建設機械メーカー」の3つになります。
この3つを選んだ意図としては、建設領域でチャレンジされる起業家さんの場合、多くはSaaS等のソフト関連かなと思ってます。
SaaS系であればSaaSに強いVCさんが幅広く指標を開示されているかと思いますので、それであれば、あまり開示されていないであろう、ソフトではない方にと思ったときにハードウェア系と言うことで手始めに3つを選んでみました。

イメージ的には、新しい工法で建築物を作りハウスメーカー等として直接参入するケースや、3Dプリンターのような機械を提供することで、建築業に支援型で参入するケース、ソフトウェアも絡めながら工事を自動化するハードウェアを用いて土木領域に支援形で参入するケースなど様々あるかと思いますので、建設業界でSaaSではないんだよな….と言う方々に少しでも参考になればと思っております。

また今回のデータの活用のイメージとしては、マーケットがクラッシュしているとされる中で、足元関連する業種が公開マーケットでどのように評価されているのか、各プレイヤーは今期どのような業績を見込んでいるのかをザクっと知っていただき、ファイナンスのタイミングや条件を考える際の参考にしていただければと思っております。(参考までならないかもしれませんが)
先に逃げておくと、あくまでも数字がメインなので特に考察みたいなのはありません。

なお、画像は添付しておるのですが、サイズの関係でかなり見えにくくなっている可能性がありますので、僕のnotionに元ファイルを用意しておきます。
もし詳しくご覧になりたい方がいらっしゃれば、そちらをご覧ください。

各種数値計算式等

時価総額:決算翌営業日終値で算出
EV:時価増額+純有利子負債
PER:時価総額/当期純損益(終了した直前通期と今期予想と2パターン出しております)
EV/Sales、PER、PSR、:全て分子の時価総額は決算翌営業日終値を使用

*各指標現在のリアルタイム数値と異なりますのでご注意ください。


スーパーゼネコン、準大手ゼネコン、ハウスメーカー

スーゼネ、準大手、ハウスメーカー各種数値

スーゼネ

・売上利益系
各社増収での着地で、売上高成長率は中央値で4.3%程度でした。
準大手を見る上で参考になりそうな、粗利率は10.8%、営業利益率は4.5%でした。(ともに中央値)
利益率については、鹿島建設と大成建設は他2社に比べて少し高いと言う状況です。

・指数系
利益率が高いのでPERも高くなるのかと思ったんですが、そこは少し異なった結果になっています。
スーゼネのPERは今期予想ベースで中央値9.83x、10xを超えていたのは、利益率の良かった大成建設とあまり営利率のよくなかった、清水建設でした。

・今期業績予想
基本的に各社増収増益の予想となっていますが、唯一鹿島建設のみ増収"減益"予想となっており、利益率は悪くないのにPERが芳しくないのはそのせいかもしれないですね。(知らんけど)

準大手ゼネコン

8社もあるので結構面白いです

・売上利益系
全体としては減収になって企業が多いです。再編があったインフロニアHD(旧前田建設、前田道路、前田製作所)は、比較ができないので、7社で見ると、長谷工と東急建設のみ増収となりました。
売上高成長率の中央値は-2.7%。
スーゼネと比較して面白いのは、利益項目で中央値ベースで、粗利率は11.4%、営業利益率は5.1%
2社赤字の企業がある中でも利益率はスーゼネよりも良くなっています

・指数系
一方PERの中央値は8.7xとスーゼネよりも1.13ポイント低くなってます。
ただ、これも企業別にみていくと戸田建設は12.24x、東急建設は18.64xなどといったように高くなっているところもあるので、掘り下げてみていくと面白いかもしれません。

・今期業績予想
8社全てが増収見込みで、うち6社が増益見込みとなっています。
減益見込みを出したのは、戸田建設と安藤ハザマでした。

ハウスメーカー

こちらについては、3月期決算でない企業もいくつか入っているので、少し比較するには適していないかもしれません。

・売上利益系
全体的に、増収となったところが多いです。
前期比が出ていなかった住友林業を除くと、減収はフジ住宅のみでした。
利益関連数値はゼネコンと異なり少し高めで、粗利率20.4%営業利益率8.2%が中央値でした。
粗利率が最も高いのがタマホームなんですが、逆に営業利益率で見ると下から2番目と言うのも特徴的ですね。

・指数系
売上規模的には、スーゼネ並みorそれ以上で利益率も良いにもかかわらず、指数系は大差ないと言うのも面白く、今期予想に対するPER中央値で9.46xとなりました。

・今期業績予想
5社中4社が増収見込みで、同じく4社が増益見込みでした。
減収とした企業と減益とした企業は別々でした。

建設機械メーカー

建設機械メーカー

15社あります。
売上高が一定規模ある企業のみで出してるんですが、そもそもそれでもこれだけあるのかと少し驚きました。

・売上利益系
開示のなかった企業を除いて、14社中13社が増収での着地となって決算でした。増収はばもかなり大きく、中央値で19.5%となりました。
粗利率については、平均も中央もあまり離れておらず、中央値で22.5%
一方、営業利益率についてはかなり明暗別れてる印象があり、中央値で7.0%、最高値で14.5%、最低値で-11.4%でした。

・指数系
かなり企業によって数字が違っていて、PER中央値は8.88x
PERが最も高かったのは杭を打ち込んだりする機械を作る技研製作所の28.07x、最も低かったのは、クレーンなどを作る北川鉄工所の4.60xでした

・今期業績予想
直近通期が良かった影響もあるかもしれませんが、15社中11社が増収、9社が増益見込み。
ゼネコンやハウスメーカーと比較して、減益予想が多くみられました。
決算のタイミングが異なるので比較はできませんが、為替の影響や仕入れ関連のリスクがあっての減益予想なのかなと思いました。

元データですが、下記のnotion内、「M3 Hanger<資料室>」に「建設業Compsリスト」としてエクセルを入れてますので、よろしければご覧ください。

なお、数字の入力については、全て手入力になります。
ミスタイプや計算のずれなどある可能性がありますので、重要な意思決定等に使用される場合はご自身でもご確認いただくなど、ファイルの使用は自己責任でおねがしいます。

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