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【weekly post】2021年10月ヘルスケア領域SeriesA資金調達in米国

今月は来週も1週ありますが、weeklyの更新はこれで今月最後になります。

今回は、資金調達を調べてみるという意味では初めてとなるヘルスケア領域に触れてみようと思います。

いつもであればPre-Seed~SeriesAまで取り上げるんですが、ヘルスケア領域は調達企業がかなり多いので、この領域に関してはSeriesAのみにフォーカスして取り上げていこうと思います。

これまでWeeklyで建設・不動産領域、教育領域と見てきてますが、基本的に全て個人的に興味のある領域として取り上げています。

今回のヘルスケアについても、以前別のnoteにも書いたような気がするのですが興味のある領域で入社した時から見ていきたいと思っていた領域の1つになります。

ヘルスケアも割と幅広に興味がありますが、極論を書くと人が死なない状態になればと思っていて、流石にそこは厳しいかもしれないので、せめて「平均寿命=健康寿命」にできたらと思っています。

今の日本の平均寿命と健康寿命の乖離は男性で8年程度、女性で12年程度存在しています。平均寿命の延伸とともに健康寿命も延伸している傾向にはありますが、この差が埋まって言ってるわけではなく、むしろ若干広がっているというのが現状です。

なので、できれば、平均寿命の延伸もそうですが、それ以上の伸び率で健康寿命を伸ばしていきたいなと思っています。が、が、健康になるためには食事や生活習慣に関する努力が必要だよねという前提があるはずで、個人的には、もちろん一定努力は必要になってしまうかもしれないのですが、できる限り人が頑張る量を増やさなくても健康に生きれる時間を長くできるという状態にしたいと思っています。

という話はひとまずこの辺で、

今回は、アメリカで10月にSeriesAで資金調達をした企業を見ていこうと思います。

10月のサマリー

■対象企業

今回の対象企業は28社になります。

所在地:アメリカ

対象領域:ヘルスケア領域(創薬を除く)

企業ステージ:シリーズA

ファイナンス時期:2021年10月1日~10月31日まで

いつもは、ステージ別の分布を出してますが、シリーズAのみなので割愛しまして、ヘルスケアの中の領域分布と調達額を見ていきます。

資金調達まとめトップ画

完全な偏見ですがヘルスケアなので平均の調達金額も他の領域より高いのかなと思ってたんですが、今月に関しては意外とそこまで大きな乖離はなくSeriesAで平均$15Mでした。参考までに同じ月の教育領域で$11.9M、建設・不動産領域で$7.5M程度でした。

建設と比較すると倍くらいの開きがあるんですが、建設も月によっては$13.9Mや$36.1Mのような時もあるので、めちゃくちゃ大きく開いてるというわけではないのかなと思っています。

引き続きこの辺は推移を見ていきたいなと思います。

カテゴリーについては少し見にくいかもしれないので、よろしければ画像拡大して確認いただければと思います。

件数ベースで多かったところでいくと診断作業効率化等>健康管理/改善(フィジカル系)>......と言った感じで、件数自体は2件で横並びのカテゴリーが多いですが高齢者看護介護/ケア系はその中でも調達学が頭一つ抜けてますし内容も面白いものがあったので後ほど個別にご紹介しようと思います。

余談ですが、毎回調べていくときにリードVCがどこだったかも見てるのですが、今回のヘルスケアについてはいつもの建設・不動産、教育領域と比較しても超有名VCの名前が多かった気がしていて、28社中3社にAndreessen Horowitzがリード参加しており、他にもBessemer Venture Partners、Founders Fundと言ったような、海外VCに詳しくない僕でも流石に知ってるようなVCが入っているスタートアップがいくつかありました。

そう言ったところからも、領域自体への関心の高さがうかがえるような気がします。

さて、今回は、そんな中からカテゴリー少しひろめに4社ご紹介できればと思います。

①【高齢者向けプライマリーケアサービス】Patina

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設立:2020年

今回調達金額:$50M

調達総額:$57M

リード投資家:GV(旧Google Ventures)、Andreessen Horowitz

サービス内容等

65歳以上の高齢者を対象にしたプライマリーケアのサービスを提供しています。

サービスでは、プライマリーケアを行える医師を中心に看護師、薬剤師、メンタルヘルスケアの専門家、慢性疾患の専門家、などさまざまな専門家構成されたチームがケアを行い、Patina外で顧客が利用しているサービスとも連携し必要な調整を行いながらケアを提供します。

24/7でサービス提供され、ケアは当日予約可能で、基本的にオンラインにて提供されていますが、必要に応じて訪問も行うようでした。

専門家チームの提供に加え独自のモバイルappの提供も行うようで、医療記録や写真、ビデオなどの共有、スケジュール調整などプライマリーケアに必要なことが全てappで行えるようになっています。

サービス開始は2022年を予定しているとのことです

②【パーソナライズ胃腸ケアサービス】Oshi Health

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設立:2019年

今回調達金額:$23M

調達総額:$29.5M

リード投資家:Frist Cressey Ventures、Flare Capital Partners、Bessemer Venture Partners

サービス内容等

このサービスを調べていて初めて知った言葉なのですがGIケア(GI=Gastrointestinal=胃腸)という言葉があるようで、Oshi HealthはそんなGIケアのサービスを提供している企業になります。

胃腸など消化器系の疾患は、成人の5人に1人の規模で蔓延している上に診断されていないままになっている方も多いようで、ケアにおいては高額な医療費と十分なケアが行えていない領域とされているようです。(少なくともアメリカでは)

この領域に対して、診断の部分だけでなく、パーソナライズされたケアプランを作成し、食事・栄養のサポートやメンタルヘルスのサポート、運動などの健康指導、地元や自宅で行える検査、24/7のケアチームによるテキストメッセージサポートを提供することで、コストの削減だけでなく状況の改善や生活の質の改善を行なっていきます。(ユーザーのうち9割ほどが利用から10週間程度で消化器系の症状をコントロールできるようになっている)

③【心臓疾患向けバーチャルケアプラットフォーム】MediCardia

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設立:2018年

今回調達金額:$3M

調達総額:$4M

リード投資家:不明

サービス内容等

せっかくなのでUIも出ていたので載せておきます。

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これは割とビデオ通話の部分大きめなので、そんな感じしませんが、他にも複数のUIが出ていて、物によってはバイタルデータなど表示されている関係で上場株投資家用のダッシュボードみたいな感じでした笑

サービスとしては、電子カルテの機能を軸にウェアラブル端末や在宅よう医療機器、ペースメーカーなどの機器と連携し上記のような統一されたインターフェースに出してやれるようにすることで、オンライン診療を効率化していきます。

ダッシュボード自体も、レイアウトが固定されているわけではなく複数のフォーマットで場所を変更できるようになっており、オンライン診療を行う際に使いやすいレイアウトにすることができます。

また導入についてもオンプレミスではなくクラウド型となっています。(ちなみに多分日本の場合はオンプレ型のシェアが高いっぽい)

④【がん患者向け専門サポートサービス】Thyme Care

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設立:2020年

今回調達金額:$22M

調達総額:$22M

リード投資家:Frist Cressey Ventures、Andreessen Horowitz、AlleyCorp(リードではないですがBessemer Venture Partnersもラウンドに参加)

サービス内容等

これに近いようなサービスはアメリカに限らず日本国内でもいくつかお話を聞いたことがあるなぁと思い取り上げてみました。

がんの診断を受けた方向けにカウンセリングやアドバイス等を提供してくれるサービスです。看護師などが患者を支える専任チームとなり、独自のネットワークを活用して診断や診療を受ける際の不安ごと(治療方法、最新の情報、専門医の情報、治験の情報などなど)などを解消していきます。また、治療の他にも治療を受ける際に必要な交通系の手配や、補助金などの申請やその他必要事項の確認、医師などとの調整等も行います。

サービスの提供については、無料で受けることができるようなのですが、Thyme careが連携している特定の健康保険のメンバーでないといけないようでした。

編集後記

早速余談から入るんですが、僕はお寿司がめっちゃ好きで、たまに何かのアカウントのIDに「osushi」ってワードを入れたりするんですが、2つ目に取り上げたOshi Healthを見たときに3度見くらいしてしまいました。

というどうでも良い話はさておき、実はそのOshi Healthですが、シリーズAラウンドまでにPreSeedとSeedラウンドを経ているのですが、なんとその2ラウンドとも武田薬品工業のCVCであるTakeda Digital Venturesが単独で出資してました。(今回ラウンドでも追加出資)

ヘルスケア企業に限らずだとは思っていますが、どの事業も面白いなと思う反面、日米の違いは意識しながら見ていかなければならないと思っています。

例えば、toCの事業であればどの産業にも関わる違いで言うと、国土の広さに伴う何かへのアクセスの難易度があるかと思っています。どう言うことかというと、アメリカの場合は国土もかなり広く、何か買い物に行くにしても車でかなりの距離を走ってやっと辿り着けるといった感じですが、日本であれば、そもそも国土も狭いですし都心なんかであれば、買い物も通院も徒歩で済ませられる圏内にさまざまなものが揃っていると言うことがあると思います。すると、アメリカで何かがオンライン化されることで生まれる時間的なコストの改善インパクトと日本で何かがオンライン化されることで生まれるそれは、インパクトがかなり違うはずなので、アメリカでうまくいってるから必ずしも日本でうまく行くと言うことでもないかと思います。(逆も然り)

また、医療の領域で言うと保険制度の違いから、一般の人の健康に対する意識の差が生まれているなんてこともあるかなと思います。

その辺は頭に入れた上で、個人的に特に面白いなと思ったのは、②Oshi Healthと③MediCardiaでした。

②については、今まで病院の範疇だけではどうにもできなかった部分だけど、実は治療においては重要な要素になる部分を院外でサポートできるようにしようと言うイメージかなと思っています。

風邪など一時的な病気であれば、薬飲んでちゃんと寝れば治ると言うものもあったりするかと思いますが、慢性的なものだと投薬だけでは一時的に症状を抑えるだけになってしまったり、薬だけでなんとかなる範囲が限定的に直すのに時間がかかってしまうことがあるんじゃないかと思います。一方で患者が適切に生活習慣などを管理して、薬の効きをよくしたり悪化を防いだりできるかと言われれば比較的ハードルが高いのではないかと思います。

そこに対して病院では関与しようがないところに+αのサービスとして入っていくと言うのはとても面白いアプローチだと思いました。(他にもどれくらいそういった疾患領域があるのか、日本の場合どう言うアプローチをしていくと使われるようになるのかめっちゃ興味が高まってきました。保健との兼ね合いや誰が進めるか誰が金払うか問題はありますが、思考停止しててもやるべきことを指示してくれて、治療効果を高めてくれるというのは病気の度合いによってはとても機会がある気がします。)

③については、在宅医療の加速という意味で面白いなと思いました。最近だと昔は入院が必要だったものでも、入院不要になったりと少しずつ日常生活に支障をきたさないようになっている範囲が広がっているかと思いますが、さまざまな医療機器との連携によりさらにその幅が広がって、これまでは、

また②も③も地方医療においてはすごくインパクトが大きいのではないかと思いました。今後、過疎化がさらに進んでいったときに、病院がなくなっていってしまったり、少なくとも専門医がいなくなってしまったりと言うことが起きた時に、それでも地方には高齢者がいて、高齢であることも相まって健康な人口は少ないとなってくると、少ない人口だが医療需要は高い、ただコスト的に確実に赤字になるという、アンバランスな状態がさまざまなエリアできてくると思いますが、こういった遠隔地であっても高度な医療を提供できたり、疾患の治療についても、医師だけでなくさまざまな人がケアできる状態を作り、投薬以外のサポートも行えるようになると、極論、コストとバランスしないエリアに関しては最小限の医療リソースのみにして、緊急時のみ都市部へ搬送可能なリソース(ドクターヘリなど)を用意しておけば、医療がうまくワークするなんてことも将来的にあり得たりするのではないかという妄想ですが、本当にできてきたりするんじゃないかと思いました。

最近だと、医師の労働時間の制限が訳のわからないことになっているなど話題になっています。命に関わることなので、単純にコストが合わないとかそういった話だけで議論が進む領域では全くないと思っていますが、普通に考えると高齢者が増えることで、何某かの病気を持つ方は増える一方、そもそも子供の数は減るので、当然医師の数も減り得ると言う中で、人口も効率化を優先してみんな同じところに密集して住んでいるわけではなく、地方の中でも山奥であったり離島であったりとさまざまなところに広がっていることを考えると、今後さらに課題は顕在化してくるんだろうなと素人ながらに思っています。この領域も力を入れてやっていければと思います。

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