【weekly post】2021年10月建設・不動産領域Pre-Seed~SeriesA資金調達inUS
今回のweekly postでなんと20本目ということで、よくここまで続いてるなと個人的にも驚いています。
初めて建設系のweeklyを書いたのが5月末でそれ以降、5月、6月、7月、8月、9月とまとめてきてまして今回の10月で半年分ということになります。
読んでいただける方も毎月増えている傾向にあり、新しい月のまとめを出すと先月分のビュー数を超えていくといった感じでして、内容が浅かったりすることが多々あるかと思いますが、とてもありがたいなと思っております。
今後も建設・不動産領域は続けていきたいと思ってますし、徐々にデータも溜まってきたので、新たなグラフなんかも追加しながら少しリッチにしてみたり、たまにはステージをレイターに移して、何故この企業がレイターまで来れたのか考えるなど新しいこともやってみたいなと思ってますので引き続きよろしくお願いします。
また、今後も皆様に読んでいただけるnoteにしていくために下記にアンケートを用意させていただきました。
読んでいただいている属性を把握した上で構成などを変えていきたいなと思っております。4問ご協力いただけるとありがたいです。(最後の自由記述は必須じゃないので未記入でも大丈夫です!)
(アンケートにご協力いただきありがとうございます!)
今月からは、先月追加した教育領域に加えてヘルスケアもやってみようかと思っています。あくまでもお試しなので来月にはやめてるかもしれませんが建設・不動産に限らず個人的に興味のある範囲は色々と自分の勉強を兼ねて出していこうと思っております。
ってわけで今月のweeklyの予定は下記のようになります
31日週:建設・不動産領域9月の調達@ 米国(←今回)
7日週:建設・不動産領域9月の調達@ 欧州
14日週:教育領域10月の調達@米国
21日週:ヘルスケア領域10月の調達@米国
大体毎週月曜にupすることが多いのですが、今月は月曜が5回やってきます。が、weeklyは4回ということにしようかと思ってますので、10月最終週はお休み or weeklyじゃないnoteでも書こうかなと思います。
それではそろそろ本編に入っていこうと思います!
今月はa16zも建設・不動産領域に投資していたので、また後ほどご紹介します!
10月のサマリー
今回のweeklyの対象になる企業は下記の通りで、該当する企業の数は13社でした
■対象企業
所在地:US
対象領域:建設・不動産領域
企業ステージ:プレシード~シリーズA
ファイナンス時期:2021年10月1日~10月31日まで
今月13社ということで若干いつもより少ないかなという感じで、ステージの分布についても、いつもはseedが半分くらいなのですがSeriesA中心といつもとは少し違った傾向になってます。
新しいグラフを今回から追加してみました!
今年の7月からのステージ別の平均資金調達額推移になります。必ずしも全ての企業が調達額を開示してるわけではないので、正確な数字ではありませんが参考にはなるかなと思います。
今月に関していうと、他の月と比べて各ステージとも調達額が小さめになってます。次のグラフでも出すのですが、金融・保険や投資・資産管理領域のスタートアップが割と調達額が大きい印象があり、今月はその辺りが少なかったので、全体的に低めになったのかなと思っています。
割とバランスよく各テーマで調達がありまして、建材のところでは、建材そのものを作るというよりは、その製造過程で排出される炭素量を抑える技術を持った企業が出てきていたり、もっとも総額の大きかった不動産関連ソフトではa16zから調達した企業が出るなど、ちょっといつもと違った面白さのあるスタートアップがありましたので、13社の中から今回は4社取り上げてご紹介しようと思います。
①【不動産シンジケーションバックオフィス業務効率化】InvestNext(seed)
設立:2016年
今回調達金額:$4.3M
調達総額:$4.3M
リード投資家:Hyde Park Venture Partners
サービス内容等:
不動産シンジケーションを販売する事業をターゲットとして、販売フロー上の手間やバックオフィス業務を効率化するサービスになります。
大まかなフローとしては①投資家の募集→②契約業務→③レポーティングがある中で、①投資家の募集ではブランドのフォーたるサイトの制作を行うことができ、会社ロゴやカラーなどカスタマイズが可能な上に、新規投資にわかりやすいUIになっているようです。またCRMツールも準備されており、投資家候補に優先順位をつけてくれます。②契約業務ではInvestNext上に投資家のアカウントを用意することでオンラインで契約締結を行え複数の投資家のステータス管理も可能です。また、商品ごとのキャッシュフローモデルなどこれまでエクセルで行われていた業務についてもサービス上で自動で行うことが可能です。③レポーティングでは税務申告書や投資サマリーのレポートなど複数のレポートをカスタマイズして作成することができ、メールで投資家に通知してくれます。加えて、投資家用のwebページでも投資状況などについてビジュアル化したダッシュボードが用意されています。
今まではセールスフォースなど複数のCRMツール、エクセル・ワードファイルなどなど使ってやっていた業務全てをこのサービス1つで完結させてしまうと言った感じです。
②【フルスタック駐車場オペレーター】AirGarage(SeriesA)
設立:2018年
今回調達金額:$12.5M
調達総額:$14.8M
リード投資家:Andreessen Horowitz(その他に、シードからの追加投資でFounders Fund等が参加)
サービス内容等:
フルスタックエンジニア以外でフルスタックって使われてるのみたことない気がするんですが、このサービスでは、これまでオーナーや不動産管理業社などが行なっていた業務を巻き取り、オペレーションの最適化や集客強化を行うことで駐車場収入を増やすサービスです。
通常はゲートや車を止めるためのハードウェア、係員の採用を行なって自前で運営するか、業者に場所を貸して、駐車場として運営してもらうかという感じですが、前者の場合だと初期コストも大きくなってしまうのと管理のために様々なサービスを活用したりと手間がかかります。一方後者の場合だと、駐車場の収益性がとても良い状態であったとしても場所貸し以上の収益を得ることができません。
AirGarageでは自社ソフトウェアとギグワーカー等の組み合わせで、駐車場運営全てを行っています。駐車場の設備操作は自動で行われ、違反駐車などはギグワーカーが確認を行うことで、固定費を削減し、データを元に駐車場の価格を変動させていきます。(カメラを活用してより効率化するための取り組みも始めているようなので、そのうちギグワーカーも不要になるかもしれません)
③【コンクリート製造におけるCO2とコスト削減技術】CarbonBuilt(SeriesA)
設立:2020年
今回調達金額:$10M
調達総額:$10M
リード投資家:Grantham Environmental Trust
サービス内容等:
UCLAの研究所発の技術を活用した素材系スタートアップでReversaプロセスという独自のプロセスに強みを持ちます。
このプロセスでは、コンクリートの混合物設計と硬化プロセスに特徴があり、コンクリートの原料になるセメントの量を削減しても製品そのものの機能を失わず、加えて硬化プロセスに二酸化炭素を活用することで原材料コストを10-30%に参加炭素排出量を60-90%削減することができます。
すでに2件のパイロットプロジェクトが成功しており、今後は最初の商業プロジェクトに向けて技術強化等を行なっていくとのことでした
④【デザイン会社向けPJ管理】Indema(Pre-seed)
設立:2020年
今回調達金額:$30k
調達総額:$30k
リード投資家:不明
サービス内容等:
インテリアデザイナーやデザイン事務所向けのPJ+従業員管理ツールになります。
サービスを構成する機能としてはCRM、従業員管理、PJ管理、請求関連を中心に構成されています。これにより余計な手間や作業を省くことで10時間/週程度の作業時間削減を実現します。
PJ管理が軸になる機能ですが、従業員管理も割としっかりしている印象で、出退勤管理だけでなく給与システムもあったり、請求関連の機能では単に請求書を発行するだけでなくStripeやPaypalと連携し支払いも行えるようになっています。また、請求機能でのデータをもとに財務レポートも出してくれます。
CRM+HR+法務+ペイメント・財務の組み合わせといった感じでしょうか
編集後記
最近のトレンドなのかなと思うんですが、今までホリゾンタルSaaSを複数組み合わせたり、それでは足りずofficeソフトを足して業務を行なっていたような領域に対して、バーティカルで最初から業務フローをかなり網羅したサービスが徐々に増えてきているように感じます。
今回取り上げたスタートアップも①と④はそんな感じのサービスでした。
汎用性の高いホリゾンタルSaaSがかなりの数出てきている中であえてバーティカルで攻めるとなった時に、どの程度のスイッチングコストが存在しているのかは結構気になるところです。例えば既存の財務管理SaaSから別の財務管理SaaSに乗り換えるとかであれば、データを吐き出して新しい方に入れ替えるだけ(というと、それさえもそれなりのハードルだと思うのですが)ですが、バーティカルで入っていくとなると場合によっては、複数のホリゾンタルSaaSからデータを吐き出してきて全て入れてやらないといけない。しかも、そこでうまくデータ移管ができないとなってしまうと非常に面倒なことになってしまうので、ユーザーサイドから考えると、便利なバーティカルSaaSだったとしても乗り換えの面倒さは乗り換えの大きなハードルになってしまうのではないかと素人ながらに思います。
とすると、サービス提供サイドとしては、切り替えたいと思わせるだけの改善インパクトを提供するのに加え、究極、ユーザーが現在使っている各種SaaSから新サービスにデータ移管する部分を全てやってあげるorめちゃ簡単にデータ移管ができる仕組みを用意してやる必要があるのかなと思います。(めっちゃ昔、ガラケーからガラケーに機種変するときに、ドコモショップとかで専用の機械にデータを吐き出して、新しいガラケーにデータ移し替えるとかあったなぁと思い出してしまいました。それと比べるとiPhoneのデータ移管めちゃ簡単....)
加えて、バーティカルなので例えば、先ほどの④の例で行くとインテリアデザイナーに特化したことで、極端な話、旅行代理店の方は使えないサービスになってしまうので、バーティカルに入って行った先で十分な規模の顧客が存在しているのかは大事なポイントになりそうですよね。もちろんインテリアデザイナー用に作られているので、もしかすると同じようなデザイナーg職種を広げるようなことは可能かもしれませんが、それにしても限界があるかと思うので、あまりにも広がりもなくニッチなところはきついかもしれません。
ただ、これまで複数ツールを組み合わせたり、それだけでは足りず、officeソフトや場合によっては手動であったり専門家の手を借りないといけなかったところに対して、バーティカルであるが故にホリゾンタルでは攻めにくい(そのクオどうがそのバーティカルにしか存在しないので、規模が出ないようなやつ)ところにも手が届くことで生まれる改善インパクトが大きいようなところにはすごく相性が良いのだろうと思うので、これからも少しずつ増えてくるんじゃないかなと思ったりします。
①と④の話ばかりしてしまったんですが、②についてはこの半年、Pre-seed~seriesAの建設不動産領域でa16zが投資してる案件を見たことがなかった気がして今回が初めてだったと思うので、取り上げてみました。
意外にも駐車場というぱっと見「え?まじ?なにすんの?」なところだったのですが、中身覗いてるうちに、「あー、ぱっと見地味だけど意外とでかいし、競合もそんなに多くないんだろうな」と思わされました。隠れた魅力的な市場って感じなのかなと。
③については、久々の素材だったのですが、割と素材系だと環境配慮押しが強いことが多い(そんなたくさん見てないんですけど)気がしてたんですが、珍しくコストにまで言及されていて、ちょっと面白いなと思って取り上げました。材料原価が抑えられるという話だったので、コマーシャルプロジェクトが始まってから売価ベースでも同水準orそれ以上に安い価格で提供されていくのかとても気になります。
今回はここまでになります。
今回も長文になりましたが、読んでくださりありがとうございました!
次回からも変わらずやっていきますので引き続きよろしくお願いします。
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