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【いい夫婦の日らしいがそんな”いい”夫婦の日にこれからの夫婦の形を考えたい話 ロックユー】

ハロウィンが終わった頃、スーパーに買い出しに行くと否応なくクリスマスソングやら赤と緑の装飾を押し付けられて「あぁまたこの季節か」となった。「わたしのこころの準備ができたときにわたしのタイミングでクリスマスを始めたいんじゃ!!やめろ クリスマスソングを金儲けにつかうな!!」とぶつぶついいながら、帰宅したらAlexaにマライア・キャリーの例の曲をかけてもらいノリノリで夕飯を作った。

年末の街の慌ただしさや、人々が浮つく感じが実に苦手なのだけれど、わたしもソワソワしなければならない時期にいよいよなった。大学4年の冬、そう「卒論」を書かなければならない時期だ。(実験が必須の人々は1年かけているだろうし、そこの真面目な君はもう書き終わっているかもね)

書きたいテーマはいろいろあったのだけれど、わたしは「同性婚」をテーマに選んだ。わたしは今の大学に入る際、「ジェンダー、セクシュアリティを勉強する」と志望理由書に高らかに宣言して晴れて大学生の称号を手に入れた。ゆえに、わたしは改めて原点に帰ったとも言えるし、やはりわたしの関心領域はそこにあったのだと思う。

同性婚を調べていくと、パートナーシップ、婚姻制度、事実婚、戸籍制度、氏、家制度、親密性、生と死にまつわることetcなどたくさんの深いテーマがあることがわかった。それで、法的に夫婦だと認められた場合に与えられる権利のことを調べていくと、その多くは人生のとても大事なタイミングの重大な権利であることが多い。(もちろん日常生活での配偶者控除や国民年金の制度、社会的に自分たちの存在が認められているという精神的な安心感などもある)例えば家を買うとなったときのローンとか、特別養子縁組のこと、生殖補助医療(人工授精、体外受精、顕微授精、代理母懐胎など)、意識不明状態になって入院したときのこと、手術するときの立会人のことなど。自然と自分自身に当てはめて考えてしまって、「え、わたしが今入院したら誰に頼るの?」とか「突然意識不明になった時、手術の判断を任せていいほど信頼できる人っている?」とかちょっとしんどいことを考え始めてしまった。

確かにきっかけは同性婚なのだけれど、そこを発端に考えられるテーマは無数にあって、現在の婚姻制度というものがいかにわたしたちの人生と深く関わっているか(法的に関わらされているか)がよく分かる。同性婚は「セクシュアルマイノリティ固有の問題の部分」と、婚姻制度やパートナーシップのあり方という「SOGIに関係なくすべての人に関わる問題の部分」があるなと思った。

それと同時に、同性婚の議論のタイミングで今までの固定化した「結婚」や「夫婦」というものを見直さなかったら、恐らくこの先一生変わることはないのではないか(あるいはそのタイミングはなかなか現れないだろう)とも思った。

今、わたしにはパートナーがいない。そういうシングルの人は現状、血縁関係にある人の意見が一番重視される。でもはっきり言って、わたしが危篤になったときわたしが判断を委ねたい人は血縁関係にある人よりは、わたしの友人である。もちろんわたしが今この人という一人を見つけることはできないし、一人で判断してっていうのは荷が重いだろうから、僕が仲良くしたいと思っている数人で集まってもらって意思決定をしてもらってもいいなんて思っている。

参考
毎日新聞190904東京朝刊『性的少数者、医療対応進まず 手術時の同意に同性のパートナー「家族」認定、病院の3割」
石川県立看護大 三部倫子氏による調査
対象:東京、石川、静岡にある病院の看護部長915人(内回答、28%の252人)
質問「􏱌􏰞􏲹􏱏􏱐􏱆􏱐􏰤􏳦􏱯􏲬􏲬􏲻􏲁􏱈􏰠􏰓􏰀􏰖􏰗􏰘􏰙成人患者が病気や事故で意思表示ができなくなった場合、手術の同意を得る対象を誰にするか」
「親族のみ」45%
「親族に加えて内縁の異性パートナーまで」10%
「内縁の同性パートナーも含める」31%
厚労省は2007年に制定した終末期医療に関するガイドラインで、ケアの方針を伝えるべき「家族」について、解説の中で「法的な親族関係のみを意味せず、より広い範囲の人を含む」としている。昨年(2018年)3月の改訂版では記述が「家族等」と変わり「親しい友人等」も対象になると明示された。しかし、アンケートでは19%がこのガイドラインを知らなかった。
また記事中には、がん患者とそのパートナーの同性カップルの話が記載されている。公的証書や米国で取得した婚姻証明等の書類を準備し、病院側に緊急連絡先をパートナーにしてもらうよう求めても「あったことがなくてもいいから血縁のある人に」と言われ、厚労省のガイドラインを説明しても「保証しかねる」という回答だったそうだ。ところが治療の都合で移った次の病院では、あっさりと受け止められたという。
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もう複雑な議論になってくるのでここでは扱わないが、モノガミー、ロマンティックラブイデオロギーに対してもっと議論されていいと思っている。
シングルへの眼差しとか。例えば「40、50の独身男性ってちょっとね」という風潮、これは明らかに個人の自由な生き方を制限し、個人の選択を尊重しない態度の現れだと思うし、それは制度が男女のつがいの婚姻関係しか認めていないという構造的な問題があると思う。(どうして独身なんだろうって思ってしまう節がわたしの中にもある)

わたしは先程、「親友をパートナーシップの相手(もちろん性愛を伴わない)として認める制度があったらなぁ」ということを書いたが、ベルギーにはまさにその制度がある。コアビテーション(Cohabitation légale)というもので、異性同性問わず、なんと友人や兄弟同士でも申請できる(つまり性愛を伴わない関係性)、誰でも利用できるパートナーシップ制度だ。
ベルギーは
●異性・同性間の婚姻
●法的同居(上記コアビテーションのこと)
●事実上の同居
の3つから法的なパートナシップのかたちを選べるのだ。

世界は広い。時代が変わるにつれ、法的保護を受けられる関係性も実に選択肢が広がってきている。そんなことを考えていたら、わたしが好きな能町みね子さんが新刊「結婚の奴」を出すとのツイートを見た。しかも、わたしの好きなジェーンスーさんとトークイベントをやると。

人生を変えるような恋愛だの結婚だのは無理だが、ひとりは嫌だ――
ゲイの夫(仮)と「結婚」と称して同居を始め、
恋愛でも友情でもない二人の生活をつくるまでを綴った能町みね子の最新作。
「ウェブ平凡」連載『結婚の追求と私的追究』の単行本化。
(本 概要より)

うわああわかる。(恋愛も結婚もしたい思いはあるよ?でもまだ見つかってないし!という意味で。特に「ひとりは嫌だ」のところ)そう能町さんはまさに性愛を伴わない新しいパートナシップを実践している人なのだ。今回は、結婚にまつわるウェブ連載が単行本化されるとのこと。(ウェブ連載読んでないからこれから読む)

トークショーの概要も気になる。

雑誌やウェブメディアに連載を多数持ち、ラジオやテレビでも活躍中の能町みね子さんは、現在、ゲイのライター・サムソン高橋さんと「結婚」と称して同居し、最新刊『結婚の奴』で恋愛でも友情でもない二人の生活をつくるまでを綴っています。この新刊発売を記念した今回のトークイベントでは、対談相手にコラムニストのジェーン・スーさんをお迎えし、お二人ならではの、新しい「結婚」「家族」の形を語り合います。(イベントHPより)

新しい「結婚」「家族」の形
聞きたい。。。ということで早速申し込みました。HMVなぜ電話か店頭受付のみなんですか。あえてですか。

「結婚」や「家族」という当たり前に見えて、実は長い歴史の中で変化しつつあるものをもう一度見直さなければならないときがすでに来ている。(とっくのとうに来ていて、まだ変わってないのかよぐらい)自分のライフプランについて考えたときに、様々なオプションが用意されていた方がいいだろうとわたしは思う。法律によってわたしの選択肢が制限されるのはおかしいし、その制限にたくさんの人がいままさに苦しんでいる。当たり前とされていることを改めて議論するわけだからちょっとロックに見えるかもしれないけれど、それが当たり前になってしまえばなんのことはない。あなたはどんなパートナーシップのかたちを希望しますか?結婚、家族ってなんですか?

わたしの好きなものを紹介するのと、このタイミングでこのイベントに出会えたことの驚きと、それに付随する壮大な前置きの話でした。
今日は雨。「嫌なことなど忘れましょう 雨の日ばかりは続かない バイバイキティまた明日」では

能町さんとジェーン・スーさん トークショー詳細

能町みね子さんのウェブ連載「結婚の追求と私的追求」

能町みね子「結婚の奴」
https://www.heibonsha.co.jp/book/b482387.html


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