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シンガーソングライターの原点

作詞・作曲をして歌う人、それがシンガーソングライター。
自分の想いを言葉にして、メロディに乗せる。

ギターやピアノをポロンと奏で、そこから紡ぎだされる言葉や旋律。

シンプルで、最小単位の編成だと思う。

僕はこのスタイルが好きで、弾き語りもするし、弾き語りの音楽を聴いたりもする。

数日前、俳優さんの詩の語りを目の前で聴かせてもらった。

朝のルーティンで読んでいる詩がある。
こんな感じで読んでますと、さらっと読んでくださった。

その詩には音楽のようなメロディは付いていない。
詩の文節に調子のようなリズムこそあるが、歌ではない。

でも、僕には圧倒的に歌に聞こえた。詩とかいて「うた」と呼んでいい感じ。

そして、やっぱり言葉がどんどん、中に入ってくる。
声と言葉に包まれる。音の波を感じる。

これだ!と思った。

これは僕が感じたことだけど、その俳優さんは自分が詩を読み上げるという行為に全くの迷いが無かった。

上手く読もう、上手く聞かせよう、失敗しないように読もう。

俳優さんだから、こういった言葉のプロだから当たり前かもしれないけど、読むということが呼吸のようだった。詩と一体になっていた。

ただただ、今自分が気に入っている詩を読む。
そこに何の狙いも、意図も無い。
風のように自然だった。

そして、それを聞いた僕は勝手に、頭の中で空想を広げていた。
そこになにかBGMのような旋律を感じていたかも知れない。

究極的にシンプルなその詩の朗読が、僕にとってはシンガーソングライターの原点のように感じた。

声と言葉。

普段から声と向き合い、言葉と向き合い、人生と向き合う。

その向き合い方で分かってしまう力を感じた。

それはシンガーソングライターも俳優も表現者としては同じ。

普段の意識や世界の見方がそのまま表れてしまう。

自分は自分の声を出せているのだろうか?

自分はきちんと意識を開いているのだろうか?

そんなことを感じさせてくれた、貴重なひとときだった。

そしてやっぱり本当の奥深い声、直接波動で伝わる声は空間を共有する必要がある。

同じ空間で響き合えることがこんなに貴重に感じられるなんて、少し前までは思いもしなかった。

空間を共有すること、そして音を共有することはもしかしたら、とても贅沢なことなのかも知れない。

そんなこともシンガーソングライターの原点として心に留めておきたい。