編集者と漫画家のカンケイ

今日は「編集者の役割」について、漫画家の立場から見て、経験上感じたことを書きます。
これは一般企業の企画会議・プレゼン検討とも共通することかもしれません。

****

漫画家(クリエイター)との打ち合わせで編集者は、2つ、気をつけなければならないことがあります。

1つ。まず「最初にネーム(アイディア)を褒めること」。
褒めることは単に、相手を「ヨイショ」することではありません。
漫画家は新人でもベテランでもみな、自作に自信と「不安」をもっています。
そこで、(出来の良し悪しにかかわらず)まず
「流れがいいね」とか「キャラが生きてきた」「面白い」
「このセリフ良いですね」と、良いところを指摘してあげる。

すると作者もそこが気に入っていれば、
「あ、この人、良いところを見てくれている」
「わかってくれている」と
信頼感を抱き、編集と漫画家に少なからず価値観が共有できるはず。
作者の思いがけないところを、褒めてもらったとしても、それもまた嬉しい。
それを踏まえた上で、
ネームの良くない所・改善点を指摘していけば、価値観が共有できているぶん、
漫画家は前向きにとらえ、打ち合わせはスムースにできるでしょう。


2つ目。「代替案を考える」こと。
作品(ネーム)を読んで、良くないところ・気になったところは、どの作品にも当然あります。
でも単に
「ここが気になるんですよね」「ピンと来ないな」と言うだけでは、素人と同じ。
「ここが気になるので、こうしたらどうですか?」
「ここはネタが薄いので、展開をこう変えたらどうでしょう?」など、
代替案を提示してあげると、
漫画家は、「あ、なるほどそれもアリだな」と具体的にイメージできるわけです。
たとえその代替案が、たいしたものではなくても、
漫画家は、編集者の言うイメージをつかむことができ、
「なるほど、じゃこうしたらもっと面白くなるのでは?」とさらなる提案も生まれ、プラスの打ち合わせができるんじゃないでしょうか。
もし代替案が思いつかなくても、今まで見た映画・小説・ドラマ(マンガ)を参考に、
「こんなドラマを見たんですが、こういう展開もありますよね?」と
漫画家にふってみる。
すると、具体的にイメージでき、打ち合わせは深化するわけです。

いかがでしょう?
特に前者の「作品を褒める」ということは、自分の価値観をさらけ出し、相手との信頼関係が築けるか重要なところですから、普段からアンテナを張って感性を養わなければなりませんね。
もちろん、漫画家はそれ以上にアンテナを張って、常に感性を磨いでなければなりませんが(笑)。
一般の企画会議でも、プレゼン直後の検討会で、ネガティブな意見しか言わない社員は、即刻退室させられる企業があると聞いてます。
作品を活かすも殺すも、作者本人とサポートするプロデューサー次第。

ご拝読ありがとうございました。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?