「誰の、何の問題を解決するか」サプライチェーン全体から“できること”を探求する | フードシェアリングサービス「TABETE」川越一磨さん
サステナビリティを継続的に学ぶラーニングコミュニティ「Sustainability College」。
月に2回の授業のうち、1回は多種多様なフィールドで活躍されているゲストをお招きした「講師回」、そして2回目は生徒同士の交流や知恵を交換し合う「ゼミ回」を行っています!
「#サスカレ授業参観」マガジンでは、講師回のダイジェストをお届け!講師による45分間の講義とそれを受けた生徒たちからとめどなくあふれる質問…。「Sustainability College」が普段どんなふうに学びを高めているのか、その様子をレポートしていきます!
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2022年4月、今回から5期生を迎えパワーアップしたサスカレの講師回へお越しいただいたのは、「TABETE」の川越一磨さん。フードシェアリングサービス「TABETE」は、飲食店がその日に余ってしまいそうな食品を出品し、ユーザーが買い取ること(アプリでは「レスキュー」と呼ばれています)でフードロスを削減するマッチングサービスです。
サスカレ生の中にも、当日までに「レスキュー」してきた生徒もちらほら。生活者が楽しく、そしてお得にフードロス削減に貢献できます。
日本では1人、1日1.5個分のおにぎりに匹敵する量を廃棄していると言われる「フードロス」。この問題は、生産から流通、販売、消費など、食のサプライチェーン全体のあらゆる段階で発生しています。「誰の、何のフードロスを解決するのか」を突き詰めないと、自分ができることが見つからない。それほど複雑な問題であると川越さんは言います。
僕は飲食出身なので、最初はその経験を生かして自分ができることを探していました。しかし、食品ロスへの僕なりの解釈を磨き続けた今は、「顧客との接点」にフォーカスしたいという想いが明確になっています。一般の方と飲食店をつなぐ「BtoBtoC」のようなものをやっていきたいです。
よく「TABETE」の仕組みを使って「toB」サービスをやったほうが儲かるんじゃないの?と言われることがあるんですが、僕としてはあまり興味がないんですよね(笑)。食品ロスが捌ければ何でもいいわけではなくて。いかに、サービスを通じて一生活者に小さな一歩を踏み出させるか。そういう小さな積み重ねが社会運動の本質だと思っていますし、僕としてはそこに力を注ぎ続けたいと思っています。
最近は、「レスキューしたよ!」ってSNSで呟いてくれるユーザーさんがかなり増えてきました。そういう方々が家でのロス削減、例えば「冷蔵庫を見てから買い出しに行くようになった」という声を聞きます。
事業者さん側だと、「TABETE」でロス削減をしていたけど、そもそもロスが出ないような仕組みに変えたので「TABETE」を卒業しますという方もいらっしゃいました。困ったときに使ってもらえればいいと思っているので、そのニュースはすごく嬉しかったですね。
サービス自体が啓蒙ツールになることが一番理想だと僕たちは思っていて。なので、今のプロダクトが完成形だとは全く思っていないですし、今後も磨き込みをしていく必要があると思っています。
何か生活者向けの啓蒙サービスを始めるときに大切なのが、アプリのような誰でも入りやすく、生活者を巻き込める仕組みを作ること。ただ、そこには生活者にとって経済的なメリットが不可欠なのが現状です。「お得だから」というメリットで入ってきた人たちも、「TABETE」を使い続けることによって、少しずつ価値観が変わっていくサービスになれるように、終わりない改善を続けていきます。
今回のように、講演活動も続けてはいきますが、それはそこにいる人たちにしか伝わらないので。アプリは僕がいないところでも、勝手に啓蒙してくれる。それがITのメリットだと思っています。
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「Sustainability College」の講師回では、毎回講師からの宿題が出されます。今回は、こちら!ぜひこの記事を読んでくださったあなたも、考えてみてくださいね!
また、現在「TABETE」では法人営業メンバーを募集中。ITとビジネスの力を使った社会ムーブメントを推し進めるお仕事です!
生徒からの感想まとめ from #サスカレ
【おまけ】今月のサスカレニュース
サスカレの受講生や学級委員長の最近の取り組みなど、ちょっとしたニュースを毎月お届け!
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・TSUMUGIはしかよこさんコラム「肉じゃがが教えてくれた、水に関するビックリした話」
執筆:佐藤 伶
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