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【RIDE Oigawaで、風を切って旅しよう〜温泉ライド編〜】SURUGA Cycle Journal Vol.60
本記事は、大井川沿いでのサイクリングの魅力をお伝えする企画第2弾です。2020年夏に訪問して実走してきたので、その内容をお伝えしたいと思います。
大井川流域サイクルツーリズム協議会さんが発行する冊子「RIDE Oigawa」には全4コースが掲載されていて、1コースずつご紹介します。
第2弾「温泉ライド」のコースは、静岡県でも有数のお茶の名産地である川根エリアを楽しむ58.8kmのコースです。徐々に山間部へと入っていくので、茶畑・ダムといった景色を楽しむだけでなく、走行面では距離やアップダウンも増す充実したコースになっています。また、温泉地でもあるので、サイクリング後の汗を流すにはうってつけです。
ナビゲーターは第1弾と同様、元ロードレース選手の田代恭崇氏とスルガ銀行サイクリングプロジェクトメンバーの田原が務め、電動アシスト自転車のデイトナポタリングバイク「DE03」に乗って川根路を巡りました。
「温泉ライド」は、4コースの中で最も長い距離を走行するため、スタート地点「大井川鐵道 川根温泉ホテル」さんに前泊して挑みました。
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こちらのホテルは、大井川にかかる鉄橋とそれを渡るSLの美しい姿を宿泊部屋からも見られることで有名ですが、SLを抜きにしても美しい景色が広がっています。
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夕暮れ時には川面が鏡のように空を映し、闇夜に浮かぶ天の川のようにも見えます。厳冬期に訪れると、川面から上がった水蒸気で一帯は白く煙り、目を凝らすとその中から赤い鉄橋の姿が現れる幻想的な風景は、ここが間違いなく秘境であると認識させてくれます。
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また、サイクリストウェルカムなお宿でもあり、エントランス横にはサイクルラックが常設されています。チェックイン前後の身支度の時に自転車を置いておけるので、サイクルラックがあるとやはり便利です。
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エントランスは重厚で落ち着いた雰囲気があり、レセプションの壁には可愛らしいSLのオブジェが飾られていました。
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お食事は夕朝食ともにバイキングです。川根らしくお茶でアレンジされたお料理がいくつもあり、どれも和風のさっぱりしたお味でいくらでも食べられました。
また、キッズコーナーにはトーマスグッズも置いてあって大人も子供も楽しめる食事となっていました。
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川根温泉ホテルさんの最寄り駅は「川根温泉笹間渡駅」。こちらは開業1930年の雰囲気のある駅舎です。
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木造の駅舎に入ると冷んやりとした空気が流れ、真夏の暑さを和らげていました。また、駅舎やホームには、鉄道マニアが目を輝かせそうな看板類が多くかかっていて、レトロ感をさらに醸し出しています。
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![画像13](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/43691610/picture_pc_fa656c4ee92fcea506d8ea72e74e0ce1.jpeg?width=800)
すぐ隣には可愛らしいカフェ「ひぐらし」さんがあります。
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この日は朝早く訪れたため、営業時間外でしたが、カフェ店内からはすぐ近くを走る電車を見ることができて人気です。以前おじゃました時にはちょうどトーマス号が走り、店内のお客さんが大盛り上がりだったのを思い出しました。そのためカフェ目的でこちらの駅に訪れる人もたくさんいらっしゃいます。
本コースも大井川に沿って走るのですが、川の蛇行が作り出した景色は変化に富み、またこの日は快晴で、青い空と白い川原のコントラストがとてもきれいでした。
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その景色に魅入られながら走ると、サイクルラックのあるカフェ「cafe TRUNK」さんが見えてきます。どうやらプリンアラモードが有名なようです。
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「家山駅」も木造で味のある駅舎です。SLとともに映画やドラマの撮影によく使用されています。
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![画像18](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/43692054/picture_pc_7e267fd67ce82854799527da9b026885.jpeg?width=800)
また、駅周辺は桜の名所で、春になると臨時SL急行「さくら号」が新金谷駅から当駅まで折り返し運行され、例年花見客で大変賑わいます。
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家山駅を出た後、ちょっと寄り道です。悲恋物語を伝える大井川の河跡湖「野守の池」に立ち寄りました。野守の池は、川根町家山の中心にある外周約1.2kmの池で、へら鮒釣りの名所として有名です。かつて大井川が流れていた地にできた河跡湖で、川の流れが時とともに変化し、池として残りました。近くには野守公園が整備され、自然散策できる遊歩道もあります。おすすめは桟橋からのこの風景。まずは大きく深呼吸して、カラダと心のコリをほぐしましょう。
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川根エリアの山間部に広がる茶畑の風景は、ゆっくりと眺めたくなる古き良き日本の姿です。眺めているだけでも、自分の心が穏やかになっていくのが分かります。
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川根茶は宇治茶・狭山茶と共に日本の三大銘茶と言われ、南アルプスに育まれた山のお茶です。起源は明らかではありませんが、1242年頃に中国より茶の種子を持ち帰られ、安倍川のほとりで育った茶樹が次第に大井川上流から中流にも伝わってきたそうです。川根にお越しの際は、滋味深い川根茶をぜひお試しください。
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大井川には多くのダムがあり中部エリアの発電拠点として稼働しています。「塩郷ダム」もそのひとつで、1960年に作られました。ダムの堤は車も渡れる橋の役目も果たしていますが、道幅は狭く、通過可能車両は総重量2トン以下、幅員2m以下に制限されているので注意して渡る必要があります。
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ダムを渡りながら、大井川のきれいなブルーの色に感嘆の声をあげます。川面を渡る風が心地よく思わず脚を止めてしまいましたが、まだ先は長いので、対岸に渡りライドを続けます。
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「四季の里」さんは手作り惣菜、季節のお菓子、野菜、そして川根茶が並ぶ産地直送店です。また、お蕎麦は川根本町産の蕎麦粉を使用して地元のお母さんたちが交代で毎朝打っています。日替わりの漬物と天ぷら付きで、680円というコスパの高いお蕎麦を味わってみたかったのですが、定休日のため今回はお預けです。
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ここで番外編。実際の昼食は近くのお蕎麦屋「さか希」さんにおじゃましました。
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お食事は撮影スタッフも入れて、天せいろ、そしてカツ丼、自然薯のとろろランチを注文しました。どのメニューもボリューム満点で、ライド中のサイクリストでも満足間違いなしです。
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![画像29](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/43693233/picture_pc_601651cda36e8cc93381a229a6b88622.jpeg?width=800)
「崎平駅」付近は線路のすぐ横が道路になっているため、電車との並走体験ができるスポットになっています。タイミングが合えば、レアな写真が撮れそうですね。※2020年7月の継続的な大雨により損傷した金谷起点28.8キロ地点の本格復旧工事に伴い、2021年3月19日(金)まで 下泉駅〜千頭駅間はバス代行運転となります。
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コースの折り返し地点「音戯の郷(おとぎのさと)」に到着です。こちらは音にまつわる体験型ミュージアムで、道の駅でもあります。
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千頭駅のすぐ隣ということもあり、敷地内には大井川鐵道の懐かしい車輌が展示されていて、記念写真のスポットとしても人気があります。
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道の駅「フォーレなかかわね 茶茗館」。こちらは川根茶の歴史や伝統を紹介している施設です。施設は大井川のほとりにあり、川沿いの風を受けながら走ることもできます。
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飲食スペースでは、川根茶だけでなく川根紅茶を水出ししてかき氷にした「グラッタケッカ」(夏期限定)が食べられます。紅茶の香りとほのかな甘みのバランスが良くて、いくつでも食べられる味です。
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大井川鐵道さんには味のある駅舎が本当に多く、ここ「下泉駅」もそのひとつです。1931年開業の駅で、今も変わらず駅舎としての歴史を重ねています。
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映画やドラマのロケ地に使われることもあり、駅舎前の赤ポストがアクセントになっています。
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この日は、暑さのため頻繁に休憩を挟みました。それでも頑張って大井川沿いを塩郷駅近くまで南下し、ここでスイーツタイムです。恋金橋(塩郷の吊橋)のたもとにある「せせらぎの郷」でおすすめの川根茶プリンをいただきました。
![画像39](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/43694385/picture_pc_1904150104ed7cceeac6ed09895667f8.jpeg?width=800)
![画像40](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/43694401/picture_pc_26258e11a1874a84465a4dec5ce7ce40.jpeg?width=800)
このコースで一番スリリングなスポット「恋金橋(塩郷の吊橋)」に立ち寄ります。近くまで行くと、渡っている人たちの悲鳴に似た歓声が聞こえてきます。橋の下には民家、県道、そして大井川鐵道本線、もちろん大井川の対岸につながっています。
![画像41](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/43694420/picture_pc_d59e86cc0ef21944f2d5dcc9bafb91f2.jpeg?width=800)
![画像42](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/43694431/picture_pc_8599b09582e2c1110ea101d57d956d5b.jpeg?width=800)
長さ220mで、大井川にかかる吊り橋としては一番の長さです。渡り始めると、結構いい感じで揺れますし、足元の板は幅狭く、思わず「ひぃぃ」と声が出そうになりましたが、根性で渡りきってきました。
通常はSLが橋の真下を通るため、力強く吐き出される煙や水蒸気をかなりの至近距離で体感できますし、吊り橋の上からもSLや電車を写真撮影できる珍しいスポットです。ぜひ根性試しに渡ってみてください。
![画像43](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/43694448/picture_pc_982f791695d93c331b112f139622c523.jpeg?width=800)
地名駅近くに差し掛かった時、「日本一短いトンネル」の看板を見つけました。眼下の茶畑に目を凝らすと、「ん、あれかな?」と思われるものが…。大井川鐵道大井川本線の「地名駅」北側。近づいてみると、なるほど短いトンネルが茶畑の中にあります。トンネルというよりロールケーキの輪切りみたいな形ですね。
![画像44](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/43694474/picture_pc_c4065acac73d0d3abcc0bd1616f02f61.jpeg?width=800)
実は、もともとこのトンネルの上にはかつて川根索道というロープウェイが通っていて、そこから転落する物で鉄道の運行に支障が出ないように設けられた、「線路の屋根」とも言うべき役割を果たしていました。索道が廃止されてからもトンネル部分のみが残り、今もなお当時の面影を残しています。正式名称は「川根電力索道用保安隧道(かわねでんりょくさくどうようほあんずいどう)」、レトロです。
![画像45](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/43694503/picture_pc_74e96322ac690900807e0e53978738ca.jpeg?width=800)
▼日本一短いトンネル
https://okuooi.gr.jp/watch/details.php?id=136
最後のスポットは「初瀬橋」。山と川面の緑に包まれた朱色の橋桁が一枚の絵のような風景です。「RIDE Oigawa」の表紙にもなっています。秋もキレイでしょうね。
![画像46](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/43694529/picture_pc_af368d4e94289b4c50617535a1697b5f.jpeg?width=800)
今回は川根茶の里を巡るライドでした。自分の脚力と相談し、島田市の中心部から自走でも輪行でも楽しめます。でもやっぱり、一泊してゆっくり温泉につかり、お茶も楽しんでいただくのがおすすめです。
※SLは GoToトラベル事業の一時停止に伴い、2021年2月10日(水)まで運休しています。大井川鐵道の最新の運行情報につきましては、公式ホームページをご確認ください。
【今回の旅路】
川根温泉ホテル→川根温泉笹間渡駅→ひぐらし→cafeTRUNK→家山駅→野守の池→川根の茶畑→塩郷ダム→四季の里→さか希→崎平駅→音戯の郷→道の駅フォーレなかかわね茶茗館→せせらぎの郷→恋金橋→(通称)日本一短いトンネル→初瀬橋
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