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【RIDE Oigawaミニ列車と自転車で行く奥大井の吊橋めぐり】SURUGA Cycle Journal Vol.59

RIDE Oigawaとは

2020年12月19日、「RIDE Oigawa」のモニターツアーにプレスライダーとして参加してきました。「RIDE Oigawa」とは大井川流域サイクルツーリズム協議会さんによる、大井川沿いのサイクリング環境PRプロジェクトの総称です。大井川上流の奥大井エリアから下流の島田市までを4つのサイクリングコースに分けて紹介している冊子「RIDE Oigawa」の発行もしています。

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▲RIDE Oigawa冊子

モニターツアーは年2~3回、不定期で実施されています。大井川沿いのサイクリング環境を情報発信するため、協力してくれるサイクリストを参加費無料で募集します。私たちも微力ながら情報発信のお手伝いのため毎回参加しています。

ミニ列車で行く奥大井

今回は、大井川鐡道南アルプスあぷとラインに乗って奥大井エリアまで移動し、そこから自転車で接岨(せっそ)峡~寸又峡と奥大井の秘境エリアを走ります。

南アルプスあぷとラインは大井川上流部、奥大井の渓谷をゆっくりと走る日本唯一のアプト式列車です。正式名称は「大井川鐡道井川線」で、大井川水系のダム建設のために作られた歴史を持ち、今は奥大井の観光列車として運行しています。90パーミルという日本一の急勾配や、日本一の高さの鉄道橋、接岨湖に浮かんだように見える奥大井湖上駅など、見どころが多くあり、人気上昇中です。

アプト式とは、機関車に坂道専用の歯車が付いていて、線路の真ん中に敷設された歯形のレールと噛み合わせて坂道を上り下りします。では、90パーミルという急勾配はどのくらいなのでしょうか。パーミルとは、「1,000mに対して何mの高低差が生じるか」を表す単位ですので、1,000mに対して90mの高低差が生じます。もう少し噛み砕くと、電車の長さは130mなので、先頭車両と最後尾車両では10mと、マンションの4階分くらいの高低差となります。そう考えるとなかなかすごいですね。もともとダム建設の資材運搬用トロッコとして建設された南アルプスあぷとライン、山あいを縫うように走るためカーブ箇所が多く、トンネルも小さいので、愛らしいルックスの小型車両を使用しています。今回のツアーは、そんな国内唯一の列車をサイクルトレインとして運行するという貴重な機会でした。

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▲車両に描かれたアプト式のロゴ

ツアーの出発地は南アルプスあぷとラインの始発駅「千頭駅」です。ここで標高300mほど、降車する閑蔵駅までは、1時間30分の列車旅となります。千頭駅で、大井川流域サイクルツーリズム協議会の代表、土屋さんと出発前の記念撮影。いつもお世話になっています。

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▲千頭駅エントランス

そして今回も相棒はデイトナポタリングバイクDE03です。

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▲DE03 千頭駅ホームにて

走行距離36km、獲得標高700m以上が見込まれる今回のコース。DE03の電動アシストに頼りまくるのは間違いありません。気温5℃前後の厳しいコンディションでのスタート。ゴール地点でのバッテリーの残量などもレポートしたいと思います。

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▲今回のコース(GPSログ)まさに山岳コースです

受付で南アルプスあぷとラインの乗車証と昼食券をはじめとするおもてなし券をいただきました。奥大井グルメが楽しみです。

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▲乗車証はイベント専用

今回はイベント専用車両がサイクルトレインになっていて、自転車を輪行袋に入れずダイレクトに積み込ませてもらいました。さらに車内が「密」にならないよう、かなり贅沢なスペースの割り当てになっていました。主催者様のご配慮に感謝します。

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▲「密」にならないよう座席指定

ゆっくりと走る列車はトロッコ列車の雰囲気に満ちています。景色の流れも音もスロー。カーブが連続するためレールと車輪の軋み音も断続的に聞こえます。いつも乗っている通勤電車とはまさに別世界で、秘境に向かっている実感が湧いてきます。そして時折、山肌に浮遊しているように沿っている線路が見え、ここに鉄道を通した先人たちの知恵に驚くとともに敬意を抱きます。

山あいの渓谷に架かる橋や、エメラルドグリーンの川面など、非日常感満載の景色が次々と目に飛び込んできて、かなりテンションが上がります。

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▲緑が多い時期にはさらに映えます

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▲天気や季節によっても変化する川面の色

そして最近、特に人気のスポットが「奥大井湖上駅」。長島ダムの建設に伴い誕生したダム湖(接岨湖)に突き出た半島状の場所に立地し、駅の両サイドの湖上には鉄橋「奥大井レインボーブリッジ」が架かっています。一見すると湖上に浮かんでいるかのような不思議な駅ですが、接岨湖のエメラルドグリーンに奥大井レインボーブリッジの朱色が映えるため、SNSの写真撮影スポットになっています。

サイクリングスタート

南アルプスあぷとラインに揺られること1時間30分、サイクリングのスタート地点「閑蔵駅」に降り立ちました。森を切り開いて作られた秘境感満載の無人駅。女性アイドルユニットのPV撮影が行われたこともあります。標高は557m、空気も一層ひんやりと感じます。

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▲閑蔵駅は深い森に包まれています

サイクルコンピュータの電源を入れ、予め保存しておいた今回の立ち寄りポイントを呼び出し、ナビをスタート。最初の目的地、接岨峡温泉までは下りのみなので、あっという間に到着です。こちらの見どころは8つの吊橋が架かった遊歩道「八橋小道(やっぱしこみち)ラブ・ロマンス・ロード」。1周2kmのコースで、周遊時間約1時間です。「若宮神社(男の神)」と「こだま神社(女の神)」との間に吊橋が8つあり、コースを歩くと両方の神社を参拝することができます。緑の山々と接岨湖の湖面の美しさを楽しむことができる遊歩道ですが、今回はライドの行程の関係もあり、最初の3つを渡ってみました。最初の「宮沢橋(みやんざわばし)」は水平距離が62mで、日本一の階段式吊橋です。

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▲宮沢橋

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▲宮沢橋

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▲犬返り橋

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▲椿橋

接岨峡温泉から再出発、ここから本格的なアップダウンが始まります。DE03の電動アシストをONにしました。冬の山間部では温度調節が難しいですね。上りでは汗ばみ、腰と足の裏に貼った使い捨てカイロがヒートアップし、下りでは一気に冷えます。息を弾ませながらひと山上ると、視界が開け、奥大井湖上駅を見下ろせる展望スポットに出ました。ここからは湖上駅の全景を見ることができます。

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▲湖上駅には徒歩で渡ることもできます

このあたりから風が吹き始めました。次のスポット長島ダムまでは下り基調なのに向かい風で思うようにペースが上がりません。長島ダムは川根本町にある多目的ダムで、洪水調節、かんがい、水道用水・工業用水の供給を目的としています。到着した時にはすっかり曇り空でさらに風が強まり、撮影もままならずといった感じになりました。

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▲強風のため長島ダムで撮れたのはこの1枚だけ

天気が穏やかな日は、長島ダムの上から接岨湖のエメラルドグリーンの美しい湖面を見ることができます。今回は強風のため、昼食会場の長島ダムふれあい館に逃げ込み、風が弱まるのを願います。昼食は、主催者様が用意してくれた「あまご むかご弁当」です。

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▲イラストがかわいいお弁当

お弁当の主菜は「あまごのから揚げ」です。聞きなれない名前の魚なので早速検索してみると、大井川流域でも生息している魚で、ヤマメといえば多くの方がおわかりになると思います。自然の食材が使われた、体に優しいお弁当でした。

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▲川根産の食材が使われています

昼食後、強風の中の出発をためらっていたのですが、外に出ると「あ、風やんでる!」。早速、再出発しました。ここからは今回のコースのハイライト、寸又峡までの距離10km、獲得標高440mの上りがメインの区間です。

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▲すっかり晴れて山あいの風景がきれいです

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▲寸又峡温泉までほぼ無風でした、ラッキー

秘境、寸又峡へ

静岡県の最北部、山梨県との県境をまたぐ南アルプスの入口に位置する寸又峡、ここまでの道のりはさらに秘境感が増します。道中、人里が無いので、走行中のトラブルに対処できる備えが必須ですね。今回は、モバイルバッテリー、スマホ充電コード、携帯エアポンプ、スペアチューブ、CO2ボンベ、パンク修理キット、作業用手袋を携行していました。上りの斜度はきつかったですが、奥大井は路面がきれいで、小径車でも快適に走れました。

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▲寸又峡温泉入口、カモシカの像がワイルド

町には町営露天風呂「美女づくりの湯」があります。営業時間は9:30~18:00、木曜定休ですが、冬季、閑散期は営業時間を短縮することがあるようです。電話で事前確認するのが安心ですね。タオルも200円で買えます。シャワーと岩風呂だけのシンプルな造りで、泉質は硫化水素系の単純硫黄泉。湯上り後の肌がすべすべになるとか。

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▲次回は入りたい「美女づくりの湯」

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▲山あいの温泉街、雰囲気あります

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▲町にはかわいいカフェも、寸又峡は奥が深いです

町についてほっこりしたところでもうひと頑張りです。ここからはさらに奥へと徒歩で進み、「夢のつり橋」を目指します。

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▲夢のつり橋への遊歩道入口

遊歩道「寸又峡プロムナード」の入口から夢のつり橋まで、徒歩で片道約40分です。橋を渡って戻ってくるのに2時間ほどみておくと良いでしょう。途中、外灯はないので、明るい時間にしか渡れません。また、急な下り坂と304段の上り階段がありますので、スニーカーの用意が必要です。SPDシューズでも厳しいですね。

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▲谷をかなり下って橋に着きました

夢のつり橋のすぐ下流には大間ダムがあり、橋とともに美しい景観を作っているのは大間ダム湖です。

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▲谷の形がよくわかります

夢のつり橋を象徴する美しい湖面は、エメラルドグリーンやコバルトブルーなど、天候や太陽光の当たり方で色を変えます。この日は残念ながらすっかり日陰になっていて、美しい色を見ることはできませんでした。冬は陽が傾くのが早いので、良い時間帯は短いのかもしれません。ガイドブックなどに載っている美しい水の色は、「チンダル現象」という物理化学的現象によるものだそうです。わずかな微粒子が溶け込んだ非常にきれいな水の場合、微粒子の影響で波長の短い青い光だけが反射されるためだとか。大間ダム湖の美しい水の色は、夢のつり橋周辺の自然の美しさを意味しているのですね。また季節を変えて訪れたいと思いました。

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▲細いっ!これはよそ見できません

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▲風で揺れる、渡り始めたら一方通行で戻れません

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▲同時に渡ることができるのは10人までです

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▲遠景だと谷底に橋が架かっているのがわかります

夢のつり橋までの往復2時間のウォーキングで、体も冷え空腹感も増しました。ここで主催者様から第二弾のおもてなしが待っていました。寸又峡温泉にある「手造りの店さとう」さんでの食事です。ここからゴールの千頭駅までは、まだ獲得標高200mの上り区間も残っていますので、このタイミングでのエネルギーチャージは助かります。手を消毒して木作りの店に入ると、元気のいい女将さんが明るく声をかけてくれてほっこり。これは長居してしまう雰囲気です。メニューは蕎麦、おでん、餅、ジビエの刺身など、かなりバラエティに富んでいます。今回はコンニャクの味噌おでんと温かい山菜とろろ蕎麦をいただきました。

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▲「手造りの店さとう」さん お土産もそろっています

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▲冷えた体にしみました

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▲手造りコンニャク、熱々でした

日没までにゴールへ

エネルギーチャージも完了し、日没前にゴールの千頭駅に着くため寸又峡を出発。満腹の状態でまずは獲得標高200mの上り区間をこなさなくてはいけません。さすがにペースは上がりませんでしたが、DE03のバッテリーが十分残っていたので、電動アシストをフルに活用して乗り切りました。上り区間の終点には、主催者代表の土屋さんが心配して待っていてくれました。ありがとうございました。さて、ここから千頭駅までは約9kmの下りです。山の中の冷たい空気を顔に感じながら気持ちよく下ります。奥大井は車の交通量が少なく、路面もきれいなためストレスの無いサイクリングが楽しめます。トンネルをいくつか通るため、明るめのライトをつけていると安心です。千頭駅まであと1.5km、もうすぐゴールだなと思いながら走っていると、前方で主催者代表の土屋さんが道端で手を振っているのが見えました。今回のコースの最後の吊橋「両国の吊橋」を教えてくれるためです。大井川と並走する南アルプスあぷとラインの真上にかかる吊橋で、タイミングが良いと、橋の下を走る列車の赤と、山の緑、大井川のエメラルドグリーンが映える写真が撮れます。今回は土屋さんと一緒に記念撮影をしてきました。

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▲長さは145m、ほとんど揺れないので吊橋初心者におすすめです

そしてなんとか日没前に千頭駅に到着。今回撮れていなかった南アルプスあぷとラインの先頭車両もカメラに収めました。ちなみに冬の期間は臨時列車で「星空列車」が走っています。今度は奥大井の星空も見てみたいですね。

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▲ちょうど星空列車が出発しました

そしてゴールで待っていたのは、主催者様からの次なるおもてなし、ジビエ汁でした。1時間前に寸又峡で蕎麦とおでんを食べたばかりですが、冷えた体はジビエ汁を求めていました。ジビエ汁最高です。

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▲川根産の野菜もたっぷり

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▲何杯でもいけます

いただいたお土産は、川根本町産のゆずを使った飴、お味噌、そしてゆずそのものです。川根本町というと川根茶のイメージが強いと思いますが、最近、川根ブランドのゆずも知名度が上がっていて要チェックですよ。

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▲ゆず味噌はチキンや白身魚のグリルに相性良しです

最後に主催者のみなさんと記念撮影。今回は大変お世話になりました。奥大井の自然は季節を変えてまた見に来たいですね。自分でペダルを漕ぐことによって(電動アシストですけど)、よりリアルな思い出として自分の中に刻まれると実感しました。奥大井の渓谷を走り、大井川の悠久の時の流れに思いを馳せる、印象深い冬の1日となりました。

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▲お世話になりました!

走行後のGPSログを見ると、距離36.36km、獲得標高742mでした。そしてDE03のバッテリー残量は、「おお、まだ半分残っている。」でした。まだまだ走れますね。DE03のハンドリングは長い下りでも安定していて、ブレーキもまったく不安を感じませんでした。十分に山岳サイクリングをこなせる自転車ですね。また好きになりました。

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▲まだまだ上れそう


Information1

▼RIDE Oigawa
https://www.city.shimada.shizuoka.jp/kanko-docs/rideoigawa.html

▼デイトナポタリングバイク
https://www.potteringbike.jp/

▼八橋小道ラブ・ロマンス・ロード
http://www.town.kawanehon.shizuoka.jp/soshiki/johoseisaku/7/3004.html

▼寸又峡温泉 美女づくりの湯
https://oi-river.com/places/279

▼寸又峡 夢のつり橋
https://oi-river.com/places/2486

▼手造りの店さとう
https://oi-river.com/places/8078

▼両国の吊橋
https://oi-river.com/places/2487

▼星空列車
http://oigawa-railway.co.jp/archives/59981

▼川根本町ゆず
https://www.yuzukawane.com/?fbclid=IwAR1AhyZXDSsI3tIgAZbogD3V2-7bDHjNGF6uxLfRvbuFVyRPKygO9SbG5Bc

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