【ひらつかLaLaぽた 歴史と伝承の聖地・平塚に徳川家康が残したもの】SURUGA Cycle Journal Vol.180
平塚市さんとのコラボ企画「ひらつかLaLaぽた」。今回は、平塚市にある徳川家康ゆかりのスポットを制覇します!かつて家康が鷹狩を行ったと言われる「中原御殿」があったことから、平塚市には今でも家康にまつわるスポットや品物が多く残っています。今回は平塚市で作成されている「ひらつかの家康伝説マップ」をベースに、サイクリングで家康の軌跡を追ってみましょう。
▼「ひらつかの家康伝説マップ」はこちら
今回のナビゲーターは、平塚市職員の秋山さん(左)と、スルガ銀行のヒラタ(右)でお届けします。
スタートは平塚市役所から。相棒の自転車はデイトナの電動アシスト自転車「Daytona Mobility DE01」です。街中のストップ&ゴーもスイスイです!
マップを見ると、家康ゆかりのスポットは平塚市の東側半分の広範囲に点在しています。電動アシストの力を借りて、史跡巡りポタリングに挑戦です。
▼今回のマップ
No1.平塚八幡宮
まずは、平塚市役所のお向かいに位置する「平塚八幡宮」。かつてこの地に大きな地震があり、人々の苦しむ様を見かねた仁徳(にんとく)天皇が社を建てられたことが創祀とされています。
歴代の天皇や源頼朝公をはじめとする武士からも崇敬を集め、徳川家康は江戸に入府した後に荒廃していた平塚八幡宮の御社殿を復興させたと言われています。
さまざまな時代を経て、長きにわたって平塚の地を守り続けている神社です。
木々に囲まれ、自然も美しい境内。撮影日は2023年11月中旬でしたが、この日はちょうど「第64回平塚市菊花展」が開催されており、境内が色とりどりの菊の花で彩られていました。
ざるを伏せたように丸い形を作り上げる「ざる菊」が可愛らしく咲き誇っていました。
(菊花展は2023年11月15日で終了しました。)
No2.平塚市博物館
平塚八幡宮から北に向かって600mほど行き「平塚市博物館」に到着しました。この辺りは博物館の他に「平塚市中央図書館」、「平塚市美術館」が密集している文化エリアです。
平塚市博物館では、2023年10月19日~12月10日まで企画展「ひらつかの家康伝説」が開催されていました。平塚市を生きた徳川家康にクローズアップし、関連する伝説や、ゆかりの品が展示されました。
かつて家康がお茶を飲む際に使用したという茶釜や葵紋付銚子。この後立ち寄る予定の「清雲寺(せいうんじ)」に残っていたものです。
現物を見ると、長い歴史が現代まで続いてきたんだとあらためて実感しますね。
また、今回のコースの元となっている「ひらつかの家康伝説マップ」も配布されていますので、こちらもぜひチェックしてみてください。
常設展示では、相模平野大地や自然の様子、東海道五十三次の平塚宿があった江戸時代の街並みの模型などが展示されています。
平塚市博物館の企画展は定期的に入れ替わりますので、詳しくは公式ホームページをご覧ください。
それから入口付近にある、一見靴箱のように見える小さな扉を開くと…
こんなところにも展示品が!
こちらは家康が鷹狩に訪れていたという中原御殿を描いた「中原御宮記」。今回は中原御殿跡にも立ち寄る予定です!
予習バッチリということで、次のスポットに向かいましょう。ここからはしばらく北上し、「湘南銀河大橋」を渡って相模川沿いの道に出ます。
この日は雲もなく、富士山がしっかりと見えました!坂道こそ電動アシストの出番です。
相模川サイクリングコース(北に向かって左岸)は車が通れない道になりますので、安心して走れます。
それにしてもいい天気!河川敷にあるグラウンドを横目に見ながら、スイスイと軽快に走っていきます。
No.3 四之宮の渡し
途中ちょっと寄り道をして、「四之宮の渡し」という史跡に立ち寄りました。江戸時代、幕府が相模川に橋をかけることを禁止していたため、独自に渡し場を設けていたと言われています。
徳川家康も、江戸と平塚市の中原御殿を往来するのに利用していたそうです。
再び相模川沿いを駆け抜けます。
爽やかで気持ちいい~
No.4 田村の渡し場跡
さらに北へ向かって走っていくと、「田村の渡し場跡」という史跡に遭遇しました。
先程訪れた「四之宮の渡し」と同様に、江戸期に整備された渡し場で、中原街道と大山道(おおやまみち)のふたつの往還となる渡し場でした。大山道というのは、江の島から大山参詣のために使われた道のことです。
また、田村の渡し場付近は大山、箱根、富士山を眺望することができるため、景勝地としても知られています。横道にそれたところにあるので、お見逃しのないように!
No.5 井筒屋
「田村の渡し」から西側に3分ほど。ここからは車通りが多く細い道が増えますので、気をつけて走行しましょう。
元々茶屋を営んでいたそうで、お菓子屋さんになったのは明治時代から。現在まで4代続く老舗和菓子屋さんです。
おすすめは「田村の渡し最中」。そう、先程立ち寄った「田村の渡し場」をモチーフにしたお菓子です。
最中は2種類。茶色の最中には粒あん、桃色の最中には白あんが入っています。最中の表面には「いづつや」の文字と渡し船が描かれています。
香ばしい最中の中には、餡がぎゅっと詰まっています。実際に史跡に立ち寄った後だったので、親近感が湧きますね。ぜひ江戸時代の風景を語り継ぐ和菓子をご賞味ください。
No.6 大上山眞芳寺
さらに北へ3kmほど走っていき、東海道新幹線の線路沿い近くにある「大上山眞芳寺(だいじょうざんしんぽうじ)」に到着しました。
山門を入って左側に「砦跡」というものがありました。
この眞芳寺境内から北方八幡原にかけては、相模川自然堤防の最も狭まった場所で、ここを通過する軍勢をはばむ急所でした。山門は「不開門(あかずのもん)」も言われ、公事(くじ)以外は絶対に開かなかったと言われています。
伝説によると、賊徒(ぞくと:反逆者)の襲撃を受けた家康をかくまって門を固く閉じ、敵を入れなかったことに由来しているとも言われています。
お寺の裏側には堀の跡と考えられるものが残っています。いかに徹底して砦の役割を果たしていたのか、感じることができました。
(お寺の裏は今回特別に入らせていただきました。普段は入れません。)
さて、次のスポットに向かいましょう。
途中で美しい菊の花壇に遭遇したり…
2023年4月にオープンし、平塚市の新たなお出かけスポットとして注目を集める「THE OUTLETS SHONAN HIRATSUKA」の近くを通り掛かったり。
THE OUTLETS SHONAN HIRATSUKAの前を走っていくと、ちょうど前方に富士山が見えました!特に秋冬は空気が澄んでいるので、綺麗な富士山が見えるタイミングが多いかもしれません。
自転車に乗っていると、いろいろなところに目を向けて新しい発見がありますね。
No.7 八幡神社
赤い屋根の本堂が目印の八幡神社。近隣に他にも“八幡神社”という名前の神社があるようですが、「下島」バス停の近くにあるのが徳川家康ゆかりのスポットです。
ある時、家康が鷹狩をしていると、鷹がそれて八幡神社の神木にとまってしまったため、ここで祈願したところたちまち鷹が戻ってきた、という話が残っています。
境内の奥には緑豊かな森林が広がっていて、ちょっとした森林浴で癒しをいただきました。
それにしても、家康に関する逸話は鷹狩に関するものがとても多いです。よっぽど鷹狩を生きがいにしていたんだなぁ、と感じますね。
No.8 鷹匠橋の碑
八幡神社を後にしたら、渋田川に沿って南へ走っていきましょう。
土手には桜並木が続いており、春になると満開の桜が人々を楽しませてくれます。またその時期にあらためて走りに来たいですね。
川沿いを1.3kmほど走ったところにあるのが「鷹匠橋(たかじょうばし)」の石碑です。
鷹匠とは江戸時代の役職で、主君の鷹を飼い、鷹狩りに従事する役割を担っていました。家康や将軍がいない時でも鷹を調養し、鷹狩りに備え技を磨くことに努めていたと言われています。
家康の鷹狩りの際に、鷹匠が川を渡るために西真土と豊田打間木(とよだうちまぎ)との間に橋をかけさせたことから、「鷹匠橋」という名前が残っています。
ここまでの走行距離は18kmほど。のんびり走ってきましたが、そろそろランチ休憩にしましょう。
No.9 レストラン セゾン
今回は「鷹匠橋」から1kmほど走ったところにある「レストラン セゾン」さんでランチタイム!お店の名前がカラフルに書かれた、おもちゃのお家のような可愛らしい外観の洋食レストランです。
ご主人自慢のじっくりと仕込みをした洋食メニューがズラリ。その中でも、セゾンさんのイチオシはハンバーグとタコスです。
今回は揃ってタコスランチをいただきました。
生ハムやローストビーフなど具材が選べて、パスタやドリアなどのお料理一品と、ドリンクがついたお得な3点セットがおすすめです
一枚一枚手作りのタコスの皮にはたっぷりのレタス。マスター手作りのピリ辛のソースをかけてガブッといただきます!
ちなみに、ひと回り大きいジャンボタコスなんていうのもあります!たっぷり食べたい方もお腹が満足すること間違いなしです。テイクアウトも可能なので、おうちでも楽しめます。
他にも日替りランチやデザートメニュー、マスターのおまかせコースなど、どれも美味しそうで全部食べてみたい!季節限定や日替りメニューなど、ぜひ気軽にお尋ねください。
No.10 豊年山清雲寺
さて、ランチを終えてエネルギーが回復したところで再出発です。2kmほど西に向かって走っていき、閑静な住宅街を抜けた先にあるのが「豊年山清雲寺(ほうねんざんせいうんじ)」です。
参道の入口に「おちゃやてら」と刻まれた石碑があります。これはなんでしょう?
ここは、家康が鷹狩の際の休憩に訪れていたと言われているお寺なのです。境内にある井戸の清冷な水で家康がお茶を飲んだことから、別名「御茶屋寺」と呼ばれています。
井戸は本堂の向かって右側に入っていったところにあります。ぜひ実物を見てみてください!
その時に家康から賜ったという葵紋の茶碗や銚子、お茶を入れる際に使われた茶釜などが今でも残っています。今回は、先に訪れた平塚市博物館で現物を見ることができましたね。
(茶釜等の現物は、残念ながら通常時は見ることができません。)
No.11 相州中原御殿之碑
今回のコースも終盤になりました。清雲寺から南に向かって2kmほどのところにあるのが、次の目的地です。
現在、平塚市立中原小学校があるこの場所は、1596(慶長元)年に徳川家康の宿所「中原御殿」がありました。家康はこの中原御殿を拠点に周辺で鷹狩等を行ったので、平塚市に多くの家康伝説を残すことになりました。
今回のLaLaぽたでは平塚各所で数々の家康の逸話に触れてきましたが、その中心となる重要なスポットと言えるのではないでしょうか?今は建物の名残などはありませんが、校舎の東側に中原御殿に関する内容が刻まれた石碑があります。
No.12 消防第十一分団(中原御殿色彩画シャッター)
この石碑から南へ向かって角を曲がったところに「消防第十一分団」があります。
シャッターの絵柄に注目!ここには、御殿跡地の彩色画が描かれています。2023年に塗り替えられたばかりです。
平塚博物館に同じ絵が飾られていたのを覚えていますか?
よく見てみると、絵の中にある御殿は周りに木がたくさん植えてあるのがわかります。御殿建設当時の中原は一面が芝地で、平塚宿やその先の海ですら見えるほど見通しがいい場所でした。そのため、東海道方面からこの御殿が見透かされるのを防ぐため、御殿の周囲に植林させたのだそうです。松の木を中心とした「中原御林(おはやし)」と呼ばれる並木が、今でも市内に残っています。
石碑や神社だけでなく、こんなところでも平塚の歴史を感じることができます。
No.13 善徳寺
さて、今回最後の徳川家康スポットは「南原山永琳院 善徳寺(なんげんざんえいりんいん ぜんとくじ)」です。
松の木の奥にある茅葺き屋根の三門は、元々中原御殿にあったもの。1657(明暦3)年に御殿が取り払われた際に、御殿の裏門を移築したと伝えられています。
本堂は欄間(らんま)に注目です。江戸に居を構えていた人々より寄進された四天王の彫刻を見ることができます。
立体感があり、色鮮やかな彫刻。江戸時代にこんな技術があったなんて驚きです。ぜひ中も隅々までじっくりご覧ください。(中の見学の際には、お寺の方に一声おかけください。)
境内には立派なイチョウの木がありました。葉が黄色く色づく頃はさぞ綺麗でしょうね…。三門近くの松の木やこちらのイチョウの木、境内の樹木の美しさも、善徳寺の見どころのひとつです。
No.14 平塚市総合公園
平塚市役所に戻る途中、あまりに綺麗な並木があったので「平塚市総合公園」に寄り道しました。
西入口から園内へ誘うメタセコイアの並木が黄色に色づき、園内を彩っていました。
夕陽と相まって秋の雰囲気溢れる並木のトンネルを通って園内へ。
平塚市総合公園には2つのスタジアムや芝生の原っぱ、桜の広場などさまざまなエリアがあります。その中でも、秋山さん曰く「日本庭園がおすすめなんですよね」と教えてくださいました。
大きな池の周りには松やもみじが植えられ、古風な雰囲気が漂います。この日はまだ青紅葉でしたが、11月下旬~12月上旬頃は真っ赤に紅葉した木々が水面に映り込む景色が見られます。
徳川家康ゆかりのスポットを中心に、めぐってきた今回のLaLaぽた。興味深いエピソードを辿りながら、平塚市と家康のつながりに思いを馳せてみてください。