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週報+台湾で「ガロ」はつくれない?

もうすっかり春ですね。朝の通勤電車で、新入社員っぽい人をちらほら見かけました。彼・彼女らをみていると、なぜかこちらまで緊張してきます。そんな一週間のなかで、観たり聴いたり読んだりしたものをまとめました。

■4月1日~4月7日の週報

読んだ本

読んだマンガ

観た映画

聴いた音楽(CD)

行ったイベント

■「台湾で「ガロ」はつくれない?」

台湾で「ガロ」
最近、台湾のマンガの出版状況について旅行に行ってきた人から話を聞く機会がありました。

曰く、台湾で日本の「ガロ」のような雑誌を作りたいと思っている人はいるが、読み手の数が少なく商業として考えると、なかなか出版の見込みが立たない、ということでした。

「ガロ」は、1964年に創刊されたマンガ雑誌です。「ガロ」のマンガ界での立ち位置をざっくりいうと、集英社、講談社、小学館といった大手出版社が刊行するマンガ雑誌を「メジャー誌」とするなら、「ガロ」は零細企業・青林堂が出していた「マイナー誌」でした。でした、というのも、「ガロ」は2002年に廃刊になっています。現在は、青林工藝舎の「アックス」がその路線を引き継いでいます。

メジャー誌/マイナー誌
「ガロ」は、部数・読者数でいえばメジャー誌にはまったく及びませんが、マニアックな読者に通好みの作品、実験的なものを掲載していました。「ガロ」への掲載がきっかけとなって人気作家となった人もいますし、メジャー誌の作家なんだけど、デビュー前には「ガロ」を熱心に読んでいたという人もいます。なので、メジャーとマイナーがまったく別な世界というわけではなく、同じマンガ業界としてそれぞれの場をつくり、メジャーとマイナーの両極が作用し合って、マンガ界全体の表現を豊かにし、裾野を広げていた、ということなんです。

この「ガロ」が輩出した人で有名なところでいうと、蛭子能収、佐々木マキ、つげ義春、みうらじゅん、水木しげる……などになるでしょうか。他にもいっぱいいます。「ガロ」は個性的な作家の作品を掲載し、それを見て、またユニークな作家が集まってくる、そんな「場」になっていました。台湾でもそんなサブカルっぽいマンガ雑誌を作りたいと考える人がいるようです。

人が少なきゃ、マイナーなものは厳しい?
で、その台湾の話を聞きながら、それは面白そうだなと思いながら、当たり前なことに気付きました。それは、「買う人がいないと、ものは売れない」ということです。あの「ガロ」だって、一応それを支えるに足る市場はあったということです(それでも経営面では苦労は絶えなかったようですが……)。

書籍の企画は、やはりある程度かたまった読者層がみえてないと、刊行まではいきません。ネットで調べてみると、台湾の人口は2千3百万人とあります。その母数のなかで、本を読む人→マンガを読む人→マニアックな人→「ガロ」みたいなのが好き人、と考えていくと、たしかに、かなり少数になってしまいそうです。

文化的背景を抜きに考えて、日本は台湾よりは人口が多く、単純にマイナー誌を買う人の人数も確保できていたということですが、いま、雑誌が次々と廃刊になっています。さらに、少子化が進み、人口は減っています。コンテンツは(というか、どんな商売でもそうですが)、やはりそこに人がいて、買ってくれないと商売になりません。

少子化はカルチャーにも影響
日本は少子化が進んでいる、テレビ・新聞でそんな話を見聞きするたび、「へえー大変だ」ぐらいに思っており、よく考えてきませんでした。

しかし、要は、人が少なくなるということは、買い手の母数が少なくなるということで、メジャー誌的なコンテンツはまだ良いにしても、マイナー誌的なコンテンツはまではカバーされず、商売としては厳しくなるのではないでしょうか。そうなると、これまでのメジャー/マイナーの良い作用は失われてしまいます。

何だか急に少子化問題が怖くなってきました……やはり、人口が少なくなるというのは、全てに活気がなくなるということなんですね。20年後、40年後の日本のカルチャーはどうなっているのでしょうか。うーん。


今週は、音楽をよく聴きました。来週は、もう少し映像を観たいですね。

以上、今週のカルチャー週報でした。

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