見出し画像

5週目:ついに大口顧客から取引停止の連絡が

 私たちが訪問営業やテレアポを脱し、新しいスタイルを確立するまでの奮闘記をご紹介しています。この記録をスタートしたのは、コロナショックが深刻化した3月末のこと。今回は5週目となる4月27日(月)から5月3日(日)までの記録。ついに大口顧客から取引停止の連絡が来たのです。

■5週目:4月27日(月)~5月3日(日)

 ゴールデンウイークの最中。過去に経験したどんなゴールデンウィークとも違う環境での連休がスタートしました。

 私自身はこの頃、コンディションが本調子ではありませんでした(詳細は「まさかの感染疑惑!? 経営者がコロナになったらどうする?」)。一方でオフィスでは着々と、コロナ時代に合った商材を売るための準備が進んでいました。

 そんな中で、予想はしていましたが、非常に残念な連絡を受けることになりました。

 契約を、いったんストップさせてもらいたい——。

 サーパスが非常にお世話になっている大口顧客の1社から、解約通知が届いたのです。

 こんな状況だから、契約を6月末で解除させてほしい。本来なら、1カ月前に通告すればいいんだど、それではあまりにも酷だから、段階的にアウトソースで受け入れる人員を減らし、6月末でいったん契約を終わりにできないか、というのです。


契約解除で見えたお客さまの真摯な姿勢

 これによってサーパスは売上高の2〜3割が落ち込むことになります。経営にとっては大打撃です。

 ただ、顧客企業も単に通告をするだけではなく、担当役員の方が出てきて丁寧に説明をしてくださいました。それもお客さまの状況なども説明いただきながら、同時に私たちの状況もヒアリングをしてくださり、「どこまで痛み分けできるか」を互いに相談することができました。

 その上で、契約を終える時期や徐々に減らしていく人員数などを決めることができました。契約書にはない非常に融通のきいた対応をしてくださったのです。

 契約解除そのものは残念な出来事ですが、それでも非常に誠実に対応していただけた。これまでのサーパスの仕事振りを評価し「仲間」と思ってくださったからこそ、丁寧に対応してもらえたのだと思います。残念な通知ではありましたが、その点だけは精神的な支えにもなりました。

 ただ、7月からは顧客の仕事がなくなるわけです。仮に緊急事態宣言が伸びれば、さらに悪い状況になるかもしれません。先の見えないショックや焦りはありますが、何よりももう「腹をくくるしかない」という覚悟を決めるしかありませんでした。

最悪のタイミングで起こったパンデミックだった

 そもそも今回の新型コロナウイルスの感染拡大は、あらゆる企業にとって最悪のタイミングで起こったのではないでしょうか。緊急事態宣言が発令され、都心を中心に外出自粛要請が出されたのは4月8日のこと。

 たくさんの企業が既に新入社員を採用していた時期でした。「新卒も予定通りに入社するので、どうしてもいったん外部の人員はカットしないと回らない」。そんな説明を聞くケースが増えました。

 もちろん私たちサーパスだって、4月1日や5月1日に入社するスタッフもいました。最悪のタイミングではありますが、「コロナだから」という理由で内定取り消しだけはしたくなかった。であれば、どこからコストをカットするのか。お客さまの説明も、痛いほど理解ができたのです。

「見通せない」ことのストレス

 私はこれまでに、2008年の世界金融危機や2011年には東日本大震災も経験してきています。ですから危機そのものに直面することが初めてというわけではありません。

 ただ、それでも今回の新型コロナウイルスは、先が全く見通せない。自分の力では制御できない環境の中で、ゲームの本質も分からずに、重要なことを意思決定しなくてはならない。あまりにも中長期、多面的にわたる厳しい環境の中で、判断しなくてはならないことがとても多い。

 それも、数カ月前までは会社にとって非常にポジティブだった話が、一瞬で会社に大きな負の影響を与える状況になることもある。

 よかれと思って下した数カ月前の決断が、今になってダメージを与えてくることだってあるわけです。状況は時々刻々と状況が変わっていく。それも2008年や2011年と比べて、社員数は相当、増えています。その中で決断を下すことはあまりにも難しく感じます。

 よく「ピンチはチャンス」と言いますが、コロナ禍においては「守り」から「攻め」に転じるタイミングを間違えると、本当に経営が行き詰まります。「見通せない」ということがこんなにストレスなのかと、改めて痛感しました。

海千山千の先輩経営者に助けられた

 そんな状況の中で、一つの精神的な支えとなったのが世界の起業家で組織する起業家機構(EO)に所属する先輩経営者たちの存在でした。

 EOでは自粛期間の間、積極的にオンラインによる勉強会を開催してくれました。勉強会で話をしてくれるのは売上高500億円、1000億円の企業を創業した先輩経営者たち。中には飲食業やウエディング業、観光業などを展開して、新型コロナウイルスの影響で、売上高が大幅に減ったようなケースもありました。

 そんな経験豊富な先輩経営者が、心を開いて率直に、現在直面している困難な状況や、コロナ後の世界がどうなるのかというテーマについて、話してくれるのです。

 きっと私一人で考え込んでいると、煮詰まって落ち込んでいたはずです。しかし、先輩経営者たちの話や覚悟を聞くたびに、「なんてちっぽけなことで悩んでいるんだろう」「私も頑張ろう」と勇気づけられたのです。

 来週半ばにはゴールデンウイークが明けます。経営環境は日々、厳しくなりますが、少しでも突破口を見つけられるよう、改めて決意を新たにしました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?