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1週目:「訪問営業」「テレアポ」・・・コロナで、昭和からの営業スタイルが終わった

 訪問営業やテレアポを強みに、BtoBの営業プロセス代行(Sales Process Outsourcing)やマーケティング支援を手がけてきたサーパスが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、危機に直面しました。その事情は、1つ前の記事「訪問営業とテレアポが強みの私たちが、オンラインセールスを完璧にマスターするまでの奮闘記」にまとめました。

 私たちが訪問営業やテレアポを脱し、新しいスタイルを確立するまでの奮闘記をご紹介します。記録をスタートしたのは、コロナショックが深刻化した3月末のこと。今回はその1週目の記録を掲載します。

■1週目:3月30日(月)~4月5日(日)

 最終的に、1都7府県に緊急事態宣言が発令されたのは、この翌週の4月7日のことでした。
 ただ経営者の間では、緊急事態宣言と外出自粛の要請が4月1日に発令される、というまことしやかな噂が飛び交っていました。3月末の年度期末を終えた直後に緊急事態宣言を出すのではないか、と。

 もし緊急事態宣言が出て、欧米のような厳しい都市封鎖(ロックダウン)となれば、当然ですが訪問営業やテレアポは通用しません。当社にとっては手足を封じられたような状態になるのです。

 サーパスには数十社のお客さまがいますし、社員だって約100人もいる。緊急事態宣言が出るなら、どうすべきか。経営者としていろいろな手を打つ必要があります。

 まず優先すべきなのは、4月からのフルリモートワークを前提に、次の2つの課題を解くこと。

1)リモートでも可能な営業手法を構築すること

2)社員の雇用を維持するために最低限の売り上げをつくること

 アタマの中のCPUをフル回転させました。 

 そして4月7日、ついに政府が緊急事態宣言を出しました。この瞬間から、お客様の対応は明らかに潮目が変わっていきました。3月の時点では「大変な状況だけど、来期もよろしくお願いしますね」とおっしゃっていただけたのですが、それが「経営判断になるので、すぐには契約を更新できないかもしれません」と。

 やはり実際に経済が止まり始めると、みなさん財布の紐が厳しくなるのだと思います。意思決定のスピードが、ぐんと落ちてきました。

リモート環境下では、テレアポも通用しない

 1)のリモートで可能な営業代行というのは「言うは易し行うは難し」。

 例えば、これまで強みとしてきた訪問営業をテレアポに変えたとしても、リモートワークの拡大でオフィスには誰もいないはずです。私自身、サーパスを創業するまでは、光通信などで営業力を鍛えてきました。しかし、あの頃のように代表電話にかけて「責任者の方をお願いします」という方法は、もう通用しないのです。

 こんなやり方は「既に終わっている」とSNSでもよく揶揄されてきました。それでも業界や商品、戦略の立て方次第では、まだまだ有効な手段だったのです。

それが、ついに終わりを迎えた。次はどう変わるべきなのでしょうか。

 数千万円、数億円というソリューションを探すお客さまに対して、ZOOMやベルフェイスなどのツールを活用したインサイドセールスだけで、本当に営業を完了するのだろうか。こちらはまだ、答えが見えません。試行錯誤を重ねることになりそうです。

 2)のコロナショックで落ち込んだ分の売り上げをつくるという方は、私がリーマンショックの最中にサーパスを起業したということもあり、危機は私とサーパスの習い性のようなものと感じています。

 本来ならば営業プロセス代行でお客さまを増やすべきところですが、急に止まったプロジェクトもあれば、新年度からスタートするはずだったけれど見送ったプロジェクトもありました。その展開はあまりにも速すぎました。

 そんな事情もあって、いったんは今のような状況でも売れる商品やサービスをを見つけて売っていくという最もシンプルな形でしのぐことになりました。

 今のような状況だからこそ求められる製品やサービスを届けよう。

 そう考えて、①光触媒(オフィスや持ち物を殺菌する)、②受付に置いて瞬時に検温できる新商品、③在宅勤務を可視化できるツール、の3つを仕入れて売ることにしました。コロナ時代に少しでも社会の役に立ちたいという思いもあったのです。

メールでも“トークの質”を磨くこと 

 これをさまざまな企業のウェブサイトの問い合わせ窓口から連絡し、まずは売り上げを確保することにしたのです。手段はメールですが、これまでの訪問販売やテレアポと同じように、メールでも“トークの質”を磨くこと。そこから始めようと考えたのです。

 この記録を書いた4月時点で、「これが成功の方程式だ!」と胸を張って言えるわけでありません。それでも私の場合、泥臭く手を動かして失敗や試行錯誤を重ねないと、正しい方法論を導きだせないのです。
 いずれにせよ、緊急事態宣言が出るならどうするか。そんな対応に精一杯の1週間でした。(2週目に続く)

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