ヘルメットの闇 【ヘルメット基本のき②】
前回の記事
こちらでは、どちらかというとこれから買う人に”避けて”もらいたいという気持ちで書きました。
今回は、一歩進んでそもそもこれって優良誤認じゃないの?っていう点から書きます。
もちろん法律の専門家ではないので、わかる範囲、もしかしたら間違いも含まれるかと思います。
まずはEN1078について
まずは正式な自転車用ヘルメットの安全規格EN1078について詳し目にご紹介。
これはテスト内容などを詳しく解説する日本語のページもなかったので、
断片的な情報や、英語サイトの翻訳から引っ張ってきてます。
視界の確保されているか
衝撃試験の衝撃を吸収できるか
適切にヘルメットを固定できるか
概ね上記のテストになります。
それと比べて「CEマーク取得」(自転車用とは言ってない)で使われる
「EN812」は以下のテストをクリアします
5kg 25㎝から落下させる(耐衝撃吸収性能)
0.5㎏の円錐の重りを50cmから落下させる(耐貫通性能)
今回はアズワン様のHPから引っ張ってきました。
違いは対象とその深さ
この2つで決定的に違うのは、落ちてくる物からの保護か、
乗車中に起こる頭部への衝撃からの保護か
その違いになります。
さらに言えば、EN1078では視界の確保やヘルメットの保持機能についてもテストがあり、安全な運転を妨げないように考えられていると言えます。
逆に、EN812は落ちてくる物だけに向いているので、別に視界やしっかりとした保持なんかはテストされておらず、走行中に予期せぬ動きをする可能性まであります。
あの典型的な長いツバが視界をふさぐ様は想像するだけで重大事故が見えてきます。
優良誤認じゃないのか?
ここまで読んでいただいた方の数%は
それは優良誤認じゃないの?とか
それ(EN812)を自転車用という商品名で売るのは嘘じゃん
と考えると思います。
僕もそう考えます。
優良誤認とは
こちら消費者庁からの引用です
となっております。
僕が特に言いたいのは
一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害する
これです。
消費者は、ヘルメットを選ぶ際にその安全性をCEマークから判断することもあります。このCEマークに種類があり、自転車用で無いことを明記せず販売することは”合理的判断を阻害”しているといえるのではないでしょうか?
大問題があるぞ 助成金問題
もう一つ僕が懸念しているのはヘルメット購入助成金問題です。
この助成金ですが各地域で条件は違っています。
とにかくヘルメットなら全適用な地域もありますが、
その中にはCEマークを条件としている場合があります。
助成対象じゃないのにお金が出ている可能性
さて、CEマークを条件にした行政は正しくCEマークを判別できるんでしょうか?僕の予想はNOです。
少なくとも今回の記事を書く上で、CEマーク認証を受けた製品一覧は見つかりませんでした。
こんな状況で、どうやってCEマークを見分けるのでしょう。
実は条件に満たないのに、税金が使われているとなるとこれは問題ですよね?
その助成金で購入したヘルメットが自転車用として全く機能せず大けがして治療を受けるとしたら?助成金でお金が出て、医療費でも税金がでる。
この場合助成を許可した行政は「そのヘルメットはCEマーク認証である」というお墨付きを出したことになり、責任の一端を負う必要があるのではないでしょうか
観測可能な問題ありと思われる販売ページリスト
CEはROHS規定 (頭部保護とは関係ない)
ヘルメットの規格としてはCPSCだがクリアできるわけないじゃん構造
雅美株式会社
〒2730005 千葉県船橋市本町六丁目十八ー十九第3山中ビル四〇一号室TEL:05068776106 FAX:05068776104
代表者:大塚 佑仕 店舗運営責任者:大塚 佑仕
上と同じく
株式会社コマースロボティクス
〒1050021 東京都港区東新橋2-11-4TEL:05068753969 FAX:0471926580
代表者:伊藤 彰弘店舗運営責任者:鈴木ゆうこ
店舗セキュリティ責任者:鈴木ゆうこ
Shenzhen Ruheng Technology Co., Ltd.
〒518000 Bantian Sub-District, Longgang District ShenzhenB412, No.8, Changfa M. Road, Yangmei Community
TEL:050-4560-1116 FAX:050-4560-1116
代表者:Hao WU店舗運営責任者:くま ひな(Sales Department)
株式会社JOP
〒5960067 大阪府岸和田市南町49-2
TEL:0724385565 FAX:0724385565
代表者:白崎 岳店舗運営責任者:江口 雄太
店舗セキュリティ責任者:江口 雄太
EN規格クリアと言いつつEN812
EN1078ではなくEN812の認証≒自転車用ではない
上記二製品 アリアーナ株式会社
〒1700013 東京都豊島区東池袋1-34-5-3F
TEL:0359246077 FAX:0359246077
代表者:浅野 桂奈子 店舗運営責任者:高橋 直哉
上記二製品 株式会社仙仁
〒1100016 東京都台東区台東3-29-6
TEL:0365554164 FAX:0365554164
代表者:森 義則店舗運営責任者:超(EC)
CEの何にクリアしたか記載なし
株式会社arcana
〒8120012 福岡県福岡市博多区博多駅中央街6-11
TEL:0924712755 FAX:0924090812
代表者:渡邉 祐太郎店舗運営責任者:渡邉 祐太郎
多すぎる!!
多すぎます。
しかし皆さんなら傾向を掴んだんじゃないでしょうか。
似たような製品が多いのです。
CEマークの場合はCEのどの規格をクリアしているのかを店員さんに訊いてみましょう。
答えられない=商品説明やカタログに表記がないという事でそのCEマークは何の意味もないものとなります。
CEマークで自転車用の規格はEN1078です
最後に
ここまで書いてきましたが、一点考えないといけないことに気が付きました。
それは、自転車関係の発信者は(僕も含め)「怪しい製品に気を付けて」とは言うものの、消費者庁などに問い合わせたりまでしていないような気がします。
ヘルメットの輸入代理店、国内メーカー、販売店は、
そもそもこの市場に”自転車用”を謳うヘルメットが登場するのを監視しなければならないんじゃないかと思ったんです。
僕のような一個人が消費者庁へチクチクいうより、業界が一体となって情報提供を進める必要があるんじゃないかなと思います。
また、行政は助成金をするのなら検証可能な安全規格を条件にしなければ、結果的に危険を孕んでいるという事を自覚すべきです。
以前の記事で書いたように私はSGマークを条件にするべきだと考えています。
以前の記事