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チェンソーマン好きにマストな映画紹介①「スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい」

ついに放送がスタートした異色のジャンプ原作アニメ「チェンソーマン」

冒頭から天使に悪魔に悪霊に暴力や禁煙やトマトetcをテーマにした実写映画のオマージュが炸裂する…そんなオープニングからも分かる通り、B級映画の雰囲気を漫画として再構成したようなテイストがこの作品の持ち味の一つだ。

個人的に好きなエピソードは原作7~8巻の通称「刺客編」
ここでは値千金な主人公の心臓を狙って、世界中から集結した殺し屋たちとの仁義なきバトルが次々と繰り広げられる。
やや邪道気味でも、何とも少年漫画らしい血沸き肉躍る展開ではないか。

そんな「刺客編」好きの読者にオススメしたいのが、今回紹介する2006年のアメリカ映画「スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい」だ。
恐らくは「刺客編」の下敷きになっている作品でもある。

ラスベガスの人気マジシャン、イズラエルの「心臓」に100万ドルの懸賞金が懸けられた。賞金目当ての殺し屋たちが世界中から続々と集結する中、FBIと元刑事の保釈保証業者らは、彼の身柄を確保しようと躍起になるが…


上記のあらすじからもその片鱗がうかがえるように、この作品には「刺客編」を読んだ者ならニヤリとできる要素が目白押しとなっている。
とりわけ殺し屋たちの個性的なキャラ造形や意表をつく展開の数々は、原作にも強い影響を与えているのは間違いない。
以下、その一部を原作「刺客編」と比較する形で紹介していきたい。



※これより先は「チェンソーマン」7~8巻、及び映画「スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい」の一部展開のネタバレが含まれます。




B級殺し屋大バトル映画「スモーキン・エース」

~100万ドルの心臓を狙う者たち~


バディ・“エース”・イズラエル

今回の騒動の中心。「刺客編」のデンジ枠。
マフィアとの繋がりが噂されるベガスの有名マジシャン。
100万ドルの値札がつけられた彼の心臓にはある秘密が…


保釈保証人トリオ

全員が元刑事の保釈保証業者。イズラエルの弁護士の依頼で、保釈中の彼の身柄を保護しようと奔走する。
リーダー格のデュプリー(中央)を演じるベン・アフレックは、比較的B級なメンツの中でも一等著名なキャストとあって、彼を中心に話が進んでいくと思いきや…


情報を集め、いち早くイズラエル(=心臓)の所在を突き止めた彼らは

突然の死

通りすがりの殺し屋に奇襲され、車ごと蜂の巣にされてしまう。


彼らを襲ったのはトレモア三兄弟
見事なまでの世紀末ヒャッハー系殺し屋チームで、兄弟全員が種違いらしい。「BLACK LAGOON」のフォン編にもこんなやつらいた。

本部でゴタゴタやってるFBIに先んじて現場にいた公権力側の人間が壊滅してしまったことで、映画は獲物を巡って争う殺し屋たちによるバトロワムービーの様相を呈していく。

ラズロ・スート

変装の達人であるヒットマン。
殺害した相手のデスマスクから製作した人工顔皮と驚異の声帯模写技術で、T-1000型レベルの変身と偽装潜入を行うトンデモ人間。

シャリス・ワッターズ

対物ライフルを用いた狙撃を得意とする女殺し屋。
同じく女殺し屋のジョージアとコンビを組み、彼女の背後を守護る。
実はレズビアンで、ジョージアのことを密かに想っている。
それが思わぬ局面で自分たちの首を絞めるとも知らずに…


ホリス・エルモア

序盤でトレモア三兄弟に襲撃された保釈保証人トリオの生き残り。
ベン・アフレック
を差し置いて生き延びた。
三人の中で一番のヘタレオーラを放っていた彼も、九死に一生を得たことで覚醒し、仲間の仇へのリベンジを誓うが…


フリーマン・ヘラー

伝説的なFBIの初代潜入捜査官で、整形を繰り返しその正体を知るものは誰もいないとされた。イズラエルの心臓に100万ドルの値札をつけたマフィアのボス、スパラッザとは因縁がある。
今回の事件とは無関係に思える人物だがその正体は…



他にも拷問マスターの傭兵やら、出遅れたが決して無能ではないFBIの面々、イズラエルの愉快な取り巻きたちやホテルの警備部隊、策謀を巡らす外野連中に精力剤を飲みすぎた空手小僧等の面々がごちゃまぜに入り乱れて、一大殺し屋群像バトルを繰り広げるのだ。
「暗殺者がいっぱい」の邦題に偽りなし、どころかいっぱい過ぎて軽くキャパオーバーを起こすレベルだが、この手の群像劇にしてはテンポと情報の整頓が両立された小気味の良い編集とアクションシーンでの巧みなカメラワークもあって、大混戦だが見やすい、質の高いアクション映画に仕上がっている。
「刺客編」の元ネタ探しを抜きにしても一本の娯楽作として十二分に楽しめること請け合いだ。

アキの夜長に「スモーキン・エース」、オススメである。



そして映画を観たオマエは未来で「こじつけ塗れのクソ記事」と抗議する。


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