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数学オリンピック(JMO)の解説②

マロ:前回の続きを解説していくよ

前回↓
数学オリンピック(JMO)予選2024の解説①|マロとミケのブログ (note.com)



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数オリ解説(4~6まで)

受けた感想/全体の印象(マロ)

マロの感想としても、「去年よりはむずいか」って感じ!

まあさすがに去年はボーダーが8点だったし、2年連続で8点なんてないから難しくはなるんだけどね(笑)

今回はガウス記号の問題が出る!って思ってたから予想通りでよっしゃって思ったんだけど、時間内には解けなかった(泣)

後から考えてみれば、普通に範囲絞って等号成立条件を考えればとけるっていう面白い問題だったから悔しい!

7問目と8問目は初見でむずいかもって思ったから後回しにして、6問目と9問目が解けそうな図形問題で考えてたら6問目だけは解けたかな

9問目も後から考えてみたら見えてきた感じだけど、9問目にしては簡単だったんじゃないかな?

第四問の解説

$${n}$$を0以上$${5^5}$$以下の整数とする。黒石$${n}$$個と白石$${5^5-n}$$個を横一列に並べ、次の操作を5回繰り返す。

石の列を左から順に5個ずつ組にする。各組に対して、その組に属する5個の石を、それらの5個の石のうち多い方の石1個に置き換える

最初の石の並べ方によらず、最後の残る1個の石が必ず黒石であるような$${n}$$としてありうる最小の値を求めよ。

第四問

実際にいろいろ書き出して考えてみると…

逆から考えたときに、

黒 → 黒 黒 黒 白 白

ってなるのが最小だよね。その前を考えてみると、

黒 黒 黒 白 白

黒 黒 黒 白 白
黒 黒 黒 白 白
黒 黒 黒 白 白
黒 黒 白 白 白
黒 黒 白 白 白

これが最小っぽいけど、問題の条件に、「最初の石の並べ方によらず」ってあるから、この時点でも、この25個の石がどんなふうに並べられても一回操作すれば黒3個、白2個になるようにしないといけなくて、

25個のうち、黒が13個だと、

黒 黒 黒 黒 黒
黒 黒 黒 黒 黒
黒 白 白 白 白
黒 白 白 白 白
黒 白 白 白 白

って並んじゃったら最後の石が黒石じゃなくなっちゃうんだよね。

それで考えてみると、

黒 黒 黒 黒 黒
黒 黒 黒 黒 黒
黒 黒 黒 白 白
黒 黒 白 白 白
黒 黒 白 白 白

の黒17個を使えば、最後の石が黒石になるよ!

これが本当に最小かって考えると、この5組のうち、
黒 黒 黒 白 白 
の黒の石を1個だけ白に変えると、条件を満たさないね。
だから最小っぽい。

次に、黒17個をどんなふうに並び替えても条件を満たすか確認すると、

  • 5個の組のうち、すべてが黒の石の組が必ず2組以上ある

  • 残り黒が7個、白が8個あり、これらで3組を作ろうとすると、黒が3個以上になる組が必ずある

っていうのが確かめられるから、どんな並べ方をしても条件を満たすってのが分かって、黒17個が最小ってわかるね。

黒 黒 黒 黒 黒  → 黒
黒 黒 黒 黒 黒  → 黒
黒 黒 黒 白 白  → 黒
黒 黒 白 白 白  → 白
黒 黒 白 白 白  → 白

これを眺めてると、
25個の石から5個の石になるとき、
・すべてが黒の組から黒の石になったものが2個
・3個の黒、2個の白の組から黒の石になったものが1個
・2個の黒、3個の白の組から白の石になったものが2個

っていう状態になってるのが分かるね。
5個の石になった時、2個の白はギリギリ白になれて、3個の黒のうち、1個はギリギリ黒になれて、2個の黒は満を持して黒になった感じだね。

ていうことは、この状態が25個の石で起きてたら、条件を満たす黒の最小の個数が分かる!

結局これを$${5^5}$$個まで繰り返せば、その時がこの問題で求める黒の最小の個数ってことになる!

黒の個数は数えづらいから白の個数を数えることにする
白の個数は、白になる組すべてに3個あって、黒になる組1つに2個あるから、

$$
\begin{array}{cc|cl|c}
全体の個数 && 白の個数 && 黒の個数 \\ \hline
1&(=5^0) & 0 && 1 \\ \hline
5&(=5^1) & 2 &( =0\times3 +2) & 3 \\ \hline
25&(=5^2) & 8 & ( =2\times3 +2) & 17 \\ \hline
125&(=5^3) &26 & ( =8\times3 +2) & 99 \\ \hline
625&(=5^4) & 80 & ( =26\times3 +2) & 545 \\ \hline
3125&(=5^5) & 242 & ( =80\times3 +2) & 2883 \\ \hline
\end{array}
$$

よって、答えは2883

第五問の解説

10以上の整数$${n}$$であって、
$${\displaystyle{\left[\frac{n}{1}\right]\left[\frac{n}{2}\right]\cdots\left[\frac{n}{10}\right] = {}_{n}\text{C}_{10}}}$$
をみたすようなもののうち、最小のものを求めよ。ただし、実数$${r}$$に対して$${r}$$以下の最大の整数を[r]で表す。たとえば、[3.14]=3、[5]=5である。

第五問

まず、印象としては、「ガウス記号の積だるそ」だった(笑)

しかもガウス記号とコンビネーションって関係あるっけ?って感じだったかな(笑)

とりあえず、ガウス記号は範囲を絞った方がいいから、$${r-1<[r]\le r}$$を使って、(kは整数)

$${\displaystyle{\frac{n}{k}-1<\left[\frac{n}{k}\right]\le\frac{n}{k}}}$$

$${k}$$が邪魔だから$${k}$$を掛けると、

$${n-k<\displaystyle k\left[\frac{n}{k}\right]\le n}$$

$${\displaystyle k\left[\frac{n}{k}\right]}$$は整数だから、

$${n-k+1\le\displaystyle{k\left[\frac{n}{k}\right]}\le n}$$

両辺を$${k}$$で割れば、

$${\displaystyle{\frac{n-k+1}{k}\le\left[\frac{n}{k}\right]\le\frac{n}{k}}}$$

これを使って与式の左辺を不等号で挟むと、

$${\displaystyle{\frac{n}{1}\cdot\frac{n-1}{2}\cdots\frac{n-9}{10}\le(\text{左辺})\le\frac{n}{1}\cdot\frac{n}{2}\cdots\frac{n}{k}}}$$

すると、不等式の一番左の式がまさに$${{}_{n}\text{C}_{10}}$$なんだよね!

$${\displaystyle{{}_{n}\text{C}_{10}=\frac{n}{1}\cdot\frac{n-1}{2}\cdots\frac{n-9}{10}\le(\text{左辺})}}$$

等号成立条件は、$${\displaystyle{\frac{n-k+1}{k}}}$$が整数の時だから$${k=1,2,\dots,10}$$に対して、

$${n-k+1\equiv n+1\equiv 0\pmod k}$$
$${n\equiv -1\pmod k}$$

よって、$${k=1,2,\dots,10}$$の最小公倍数は2520であるから、

$${n\equiv -1\pmod {2520}}$$

ゆえに、与式を満たす最小の$${n}$$は2519である。

(ミケ:ちなみに僕は直感で1~10の最小公倍数だと思ったよ! あと-1するだけだったのに...!)

第六問の解説

AB=AC=5なる二等辺三角形ABCの辺AB上にAD=3を満たす点Dが、辺BC上(端点を除く)に点Eがある。点Eを通り直線ABに点Bで接する円をωとすると、ωは三角形ADEの外接円に接した。ωと直線AEの交点のうちEでない方をFとすると、CF=10が成り立った。この時、辺BCの長さを求めよ。ただし、XYで線分XYの長さを表すものとする。

第六問

パって読んだ感じ難しそうだね。

問題文を読み込むと、ωは点Eを通っていて、三角形ADEの外接円と接しているということだから、ωと外接円は点Eを通り、接している。つまり、この2円の接点は点Eってことが分かるね!

それを踏まえて図形を描いてみると、

とりあえず、直線ABはωの接線だから、BFを結ぶと、
接弦定理より、∠BFE=∠ABC

次に、点Eを通って三角形ADEの外接円とωの接線になる直線を引いて、辺ABとの交点をGとすると、

接弦定理より、∠GEB=∠BFE=∠ABC、∠DEG=∠DAE
三角形ABEに注目して、内角と外角の関係より、
∠AEC=∠ABE+∠BAE=∠GEB+∠DEG=∠DEB

三角形AECと三角形DEBは∠ACE=∠DBE、∠AEC=∠DEBより相似であるから、AC:DB=EC:EB=5:2より、t>0をつかって、
EC=5t、EB=2tと表せる!

∠BFE=∠ACBだから円周角の定理の逆より、点A、B、F、Cは同一円周上にあるってのが分かる!
また、円周角の定理より∠ABC=∠AFC

すると、線分FEは三角形FBCの∠BFCの二等分線だから、
FC:FB=EC:EB=5:2
よって、FB=4ってわかる!

対頂角だから∠AEC=∠BEF
これと、∠ACE=∠BFEより、三角形ACE∽三角形BFE
よって、AC:BF=EC:EF=AE:BE=5:4より、
EF=4t、AE=$${\displaystyle{\frac{5}{2}}}$$tってわかる!

三角形ABEと三角形AFBは∠BAE=∠FAB、∠ABE=∠AFBだから
三角形ABE∽三角形AFB

よって、
AB:BE=AF:FB
5:2t=$${\displaystyle{\left(\frac{5}{2}t+4t\right)}}$$:4
$${13t^2}$$=20
$${\displaystyle{t=\frac{2\sqrt{65}}{13}}}$$

BC=7tだから、$${BC=\displaystyle{\frac{14\sqrt{65}}{13}}}$$

終わりに

マロ:今回のボーダーは6点だからこれで本選に行けるね!

ミケ:地味に6問目難しいような…?

マロ:その分解けたときは気持ちよかった!

ミケ:まあそれはあるね(笑)

マロ:気が向いたら残りの7問目、8問目、9問目も解説するかも?

ミケ:お、それはいいね!


ここまで読んでいただきありがとうございます!
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