日本の低賃金の真犯人
日本は非正規雇用という名の合法的奴隷制を強いている。
上のリンクに、重大なことが書いてある。
30年前に経団連の元常務理事の成瀬氏が、あるレポートを提出した。
「新時代の日本的経営」だ。
その中には「企業雇用を守るために、3つの雇用クラスを設定した」とある。
>正社員に当たる「長期蓄積能力活用型」
>専門能力を生かす「高度専門能力活用型」
>現在の非正規労働者に当たる「雇用柔軟型」
このレポートを読んだ企業経営者は、最後の「雇用柔軟型」を"いつでも切り捨てできる低コストな捨て駒"と都合よく解釈した。
こうして非正規が激増した。
実際は成瀬氏は、各クラスの賃金設定にあまり差をつけてほしくなかったそうだ。
しかし成瀬氏はそのことをレポート内に明記できず、実際には非正規の賃金が削られた。正社員の賃下げをハッキリ言い出して、既得権益層から批判されるのが怖かったのだろうな。
この発想は、オーストラリアにはなかった。真逆だ。
あちらでは非正規雇用(カジュアルジョブ)と呼ばれる不安定な雇用形態の労働者には、最低賃金×1.25倍の割増賃金が支払われるよう法定されている。ちなみに日曜や祝日に働いたらダブルペイといって、2倍の時給が支払われる(最近は高すぎる倍率が1.75倍に改定されたそうだ)。
…日本人は騙されていると思いませんか?
ちなみに"賞与"という概念も日本の労働文化特有のもので、アメリカだろうがヨーロッパだろうがオセアニアだろうが、海外ではせいぜい1か月分だ(ただしその分月給がやたら高い。ドイツで月50万とか)。
日本の大企業の正社員のように「3か月分や5か月分出ます」なんていうのはガラパゴスジャパン特有。
こういった労働文化もあって日本の非正規雇用は結果的に、「いくら稼いでも正社員(と役員と株主)たちに搾取される奴隷」となってしまった。
30年前のたった一つのレポートからこの奴隷制は始まったのだ。
ここに日本の根強い女性差別が加わり(非正規雇用の6割は女性だ)、低効率な中小企業の延命が図られた結果が、次世代マーケットを縮小させていく自縄自縛の現在だ。
非正規雇用を増やした結果、若年層を中心に貧困階級を生み出し、少子化をより一層悪化させた。
低賃金と長時間労働の劣悪な雇用を放置し続けた結果、日本マーケットはいやおうない緊縮に迫られている。
経団連と与党政権が、非正規雇用の救済を考えなかった当然の帰結なのだった。
日本の低成長の真犯人が誰なのか、お分かりいただけただろうか?
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