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殴り書き - 遅刻待ちの安堵


あ〜、恐ろしい気分だった。

よかった〜〜〜。

今の気持ちはこれ。どっと流れ出るような安堵感。
今日は朝から出掛ける予定で、友人と駅で待ち合わせをしていた。時間ちょうどくらいに駅に到着。普段私よりも先に待ち合わせ場所に来る友人の姿はなく、連絡もない。おや、と思う。もしかしてまだ寝てるかも。昨日は金曜日だし、なにか夜遅くまでの予定があったのかも。社会人になってから遅刻を滅多にしなくなった友人。疲れてたのかなあ。私は素直に「おや、珍しい」と連絡を入れた。暫くすれば起きるだろう。

駅前には少し広々とした空間がある。思ったよりも人の往来がある。土曜日かあ。私はベンチに腰掛けた。今日は一日中友人と歩きまわる予定だったので、荷物にならないように本は持ってきていなかった。いつでも持っておいた方がいいな、と反省。音楽を聴いて待つことにした。最近毎日のように聴いている、柴田聡子さんの「どこへも行かないで」「後悔」。休日感を感じたくてグソクムズを聴き始めたところで、あまりの連絡のなさに落ち着かない気分になってきた。
なにか暇つぶしをしていないとソワソワする。本屋に行こうにも開店前、電機店にフィルムでも見にいこうかと思ったけど開店前。仕方なく、近くのスターバックスに入った。

席に着く。正直、私は大幅な寝坊や遅刻はかなり少ない方だ。5分くらい遅れることはあっても、集合時間以降に起きることなんて人生で一度もなかったかもしれない。我ながら優秀すぎる…!一方で人の遅刻はそんなに気にならない。一人の時間が生まれても考え事できるし、ふらふらして待っている時間も嫌いじゃない。自分との待ち合わせに、相手が全然気張ってないんだな、と思うともはや嬉しくもある。


でも私には、悪い癖がある。それはリスクイメージを過剰にしてしまうこと。悪い方に想像が膨らんでしまう癖である。
友人からの連絡がなかなか来ない間に、嫌なことを想像し始めてしまった。
彼の身に何かあったのかしら、なにか悲しくて家から出られない事情があるのかしら。なにか怖い連絡が来たら、どうしよう。

カフェで暇を潰す方法はいくらでもあるはずだ。音楽を聴いてもいいし、YouTubeという無限時間溶かし機もあるし、映画やアニメやドラマを見てもいいし、ブログを読むのもいい。snsで更新する写真を選ぶのもいい。でも無理だった。何も手をつけられない。あまりに心配になって、心拍数が上がって、私は窓の外を眺めてぼうっとするしかなかった。不安で溢れるため息を、なんとか落ち着かせることに集中するほかなかった。

今日待ち合わせる友人と仲のいい別の友人のsnsを偵察してみたりもした。そしてこれがよくなかった。別の友人の投稿が全て消されていたのだ(これには別の事情があるに違いない)。なにか悪いことがあったのかも…変な憶測が加速していく。関係ないことが、全て関係あるような気がして恐ろしくなる…


カフェで30分ほどたったころ、

「本当に申し訳ない」

と友人から連絡が来た。

よかった〜〜〜!
寝坊だった!

あまりに一気に安心して、ふぅ〜、と大きなため息をついてしまった。朝からなんという感情のジェットコースター。友人に「気をつけて」と伝えて、再び音楽を聴き始めた。身体が拒絶していた音楽が、するすると入ってくる。

物事を悪い方に想像しておくのは、何かが起きた時のショックを最小限にするためだ。これは他人に対することだけではなく、例えば自分が手に持っているスマートフォンが駅のホームに落ちてしまうとか、仕事で作っているお菓子の材料を全部こぼしてしまうとか、これくらいの規模の想像はいつもしている。この行為は自分への注意喚起にもなるのでさほど悪くないと思っている。でもよく考えたら、他人に対する悪い想像は、事実を突きつけられた時のクッションにはならないだろう。恐ろしい想像が現実になってしまった場合、「想像したから起きてしまった」と考えてしまうだろうし、現実は想像の何倍も怖く、予想外の感情になるはずだ。

穏やかな気分でいたいのに。こんなことで感情の起伏を作って疲れたくないのに、心配性というのは自分でコントロールできないのだから、困ったものだ。

今から動物園に行く予定。季節の変化を思うプレイリストを作成してずっと聴いているけれど、外はまだ暑そうだ。
汗拭きシートを携えて、いざ、向かう。

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