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夢日記・「眠るピート・異世界を放浪する俺と猫」

一年と一か月ぶりに「夢日記」。
なお過去の夢日記は現在は非公開中。

以前は「見た夢をそのままつづる」ことにしていたのですが、
今日は多少アレンジして、つづることにしました。

ではまいりましょう。
今朝みた夢を、異世界小説にアレンジしてみたものです。

◇ ◇ ◇ ◇

夢日記・「眠るピート・異世界を放浪する俺と猫」


俺は異世界を旅する冒険者。とある王国で不祥事を起こして逃亡中だ。

最初は一人での旅だったが、立ち寄った村で拾ったやせこけた猫が、今は俺の相棒だ。その猫の名前はピート。今、ピートは俺の左手の平に頭をのせて、すやすやと眠っている。最初はものすごくちっちゃくて、俺の手の平に身体全体がおさまるほどだったけれど、半年の旅で、ここまで大きくなってしまった。まあでも、かわいさに変わりはないのだけれど。

洞窟での野営。雨音が続いている。ピートの頭の重さを左手に感じながら、俺は眠りについた。

そして夢を見た。

その夢の中で俺は、とある村の粗末で暗い家にいた。その床に5匹の子猫がいた。小さくてみいみい鳴く子猫たちの横に、母猫らしき大きな猫が横たわり、俺をじっと見た。

俺はしゃがみ、小さな子猫の一匹を左手の平にのせた。そうだこの重さだ。ピートも最初はこうだったな。なあピート。

振り返ると、ピートも同じくらいの小さな身体の子猫になり、よちよちと母猫に向かって歩き、他の子猫たちと一緒に、母猫のお乳を飲み始めた。

そうだなピート、まだちっちゃかったお前は、草むらでみいみいと鳴いていた。がりがりに痩せて、弱弱しい声で母猫に助けを求めていた。俺は見かねてお前をそっと拾い上げ、俺の相棒にすることに決めたのだった。けど、俺は正しかったのだろうか。実はピートの母猫は、なんらかの理由でピートが待つ場所まで戻れず、心配していたのではなかったろうか?

そうだ、これでいい。ピートは母猫と暮らすべきなのだ。俺は小さくなって母猫に甘えているピートを残し、振り返って暗い部屋から外へ出た。

そこでシーンが変わった。

巨大な部屋、赤と金で装飾された高い天井。豪華な宝石で身を飾った、目つきの鋭い痩せた女が俺を見下ろしている。それはかつて俺が仕えていた、某国の王女だった。

俺は床に片膝をつき、王女の辛辣な言葉に耐えていた。

「あの猫をどこにやったの! 高額な血統書付きの猫なのに!」

俺は目をふせて言った。

「いや......、ピートは雑種、ミックスですが」

「あなたに何がわかるの! あの猫を私に売った商人がそういってるのよ!」

商人? だと? ピートは俺が拾った猫だ。また雑種であることは明らかだ。

「下賤で野蛮で無価値なあなたと違って、あれは大事な子なの」

俺は膝の上に置いた左手を力いっぱい握ろうとした。そこではっとした。俺は左手に、丸いものを握っていた。

(これは! ピート!)

そこで目が醒めた。俺は洞窟で横になっていて、俺の左手に、ピートが頭をのせてすやすやと寝ていた。

そうだった......、危ない、ピートの頭を力いっぱい握る所だった。よかった。今の俺には、お前を失うことは考えられない。

雨はやみ、すっかり陽が昇っていた。少し空気は冷たく、ピートの耳も冷たかった。俺は毛布を引き上げ、ピートの耳までかけてやった。ピートが少し微笑んだ気がした。

目的も終わりもない、逃亡の旅。今日一日くらい、のんびり寝過ごすのもいいな。今日はもう少し、一緒にこうしていよう。おやすみピート。

<おわり>

最近、みる夢がすごくリアルで生々しくて、「これ、昔の同僚が見たら私だと特定されちゃうかもなあ」、というものばかりなので夢日記の執筆を躊躇していた私。今日は、「そうだ異世界小説という形にアレンジすれば、問題なさそうだ」と気付き、ひさびさの夢日記執筆です。まあそこまで心配する必要も、ないのかも知れませんが。

ピートというのは、ロバート・A・ハインラインのSF小説、「夏への扉」に登場する猫ちゃんの名前ですね。もっと異世界風の名前にすることも考えたのですけど、覚えやすく、またより多くの人に共感してもらえそうな「ピート」で即決。


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