異世界商店ベルゼブル 1章03 「アーティファクトと古代妖精」
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異世界商店ベルゼブル 1章03 「アーティファクトと古代妖精」
次の日、二十数人の黒ぎつねの遠征隊は、ゼブル村の外に馬と馬車を移動し、砦への帰還の準備を終えた。
女団長シルフィは、昨夜寝ずの番で馬と町を守っていたケビンとシドには、馬車中での待機を命じ、代わりにヒルダとナディアに、二人の馬に乗っての砦への帰還を命じた。ケビンは赤ん坊のゼブルを抱いて、幌付きの馬車の荷台に乗った。
「準備はできたな。黒ぎつねの砦までは休憩なしだ。では出発!」
うおお、という声とともに遠征隊は走り出した。1台の幌馬車と、その前に十数騎、後ろにも十数騎という中規模の構成の遠征隊であった。団員達は持てる盗賊の能力を最大限生かして馬を操り、馬もそれに応えた。彼らは夜明けのゼブルの森を疾走した。
幌馬車の荷台で、ケビンはゼブルの異変に気付いた。荷台には、遠征のための食料や調理器、回復薬などの薬品やアイテムと、今回の遠征で獲得したドロップアイテムやレアアイテムなどが置かれている。
ゼブルはそのうちの、レアアイテムに興味をひかれたようで、ケビンの手を逃れようともがいたり、レアアイテムに向けて手を伸ばしたりしている。そのレアアイテムとは、奇怪な模様の刻まれた、金属製のペンダントである。
「あー、あー」
「だ、ダメだぞゼブル。あれは今回の遠征の、最大の報酬なんだ。どういう効果があるかわからないけど、きっとすごい魔法のかかった古代のアーティファクトだぞ。傷でも付けたりしたら、後でみんなに何を言われるかわからないぞ」
盗賊団「黒ぎつね」の遠征隊では、大規模ダンジョンや、中規模ダンジョンを攻略し、報酬として最下層に出現するレアアイテムを持ち帰る。そのアイテムは、戦闘力や防御力を上げるものだったり、敵の特殊攻撃から守ってくれる護符であったり、貴重な回復のための薬であったりするので、団の戦闘能力を高めるために使ったり、町の道具屋で高く売って生活費にあてたりという使い道があるのだ。
「まあ、赤ん坊だから何もしないだろう。見せてやるくらいいいのではないか?」シドが言う。
「そ、そうですね。じゃあ、見るだけだぞゼブル」
ごくり、と唾を飲み込み、ケビンはゼブルを左手に抱えてアイテムの置かれた一角ににじり寄り、右手で銀色に光るペンダントを取り上げ、ゼブルに見せた。
「ほら」
「あー、あー」
「お、おい、触るな、あ!」
銀色のペンダントの表面の複雑な模様の中央に、小さな赤い宝石が取り付けられており、そこにゼブルが触れた。その瞬間、宝石がキラキラと輝き始めたのだ。
「こ、これは! ど、どうしましょうシドさん!」
「お、俺は知らんぞ。俺は見せるだけならと言っただけだからな」
「そ、そんなぁ」
「うーー!、うーー!」
ゼブルが光るペンダントを見て興奮している。よく見るとペンダントの表面の模様が、何やらうねうねと動いている。それが何らかの形を作ったように見えた。その瞬間、ペンダントからカチッという小さな音がし、その表面は巨大な蓮の花のように八方に開き始めた。
「な、なんだよこれ!」
ケビンの手の平にのせられていた小さなペンダントは、どういう仕掛けなのかわからないけれど、その手の平をこえる大きさの銀色の花となった。さらにその花の中央が乳白色の光りに包まれ、その中央に、小さな人がたの影が現れた。
「こ、これはまさか古代妖精!」シドがうなった。
「こ、古代妖精? よ、よりによって、そんなレアアイテムだなんて!」ケビンが悲鳴を上げた。
「あーー! あーー!」
ゼブルだけは大喜びだ。
金属の花の上の光は消え、その上の小さな影は、羽の生えた少女の姿となった。少女はケビンの手から空中に飛んだ。すると、開いた花びらは元に戻り始め、うねうねと動き、再び小さなペンダントに戻った。
少女はケビン、シド、そしてゼブルの顔を見回した後、ゼブルに右手を差し出して言った。
「あなたがあたしを封印から解放してくれたのね。ありがとう、あたしはあなたのしもべとなりあなたに尽くします」
少女はゼブルにおじぎをした。ゼブルはうれしそうに微笑んでいる。
「シドさん、ど、どうしましょう、これ」
「ま、まあ、正直に団長に言うしかないな。俺にも少しは責任はあるからな。できるだけ弁護はしてやるよ」
「あ、ありがとうございます」
夜通しの番で眠かった二人であったが、その眠気もふっとぶような朝の出来事であった。
表紙絵の画像生成に使った、Leonardo AIの設定です。
今回は、右上の赤で囲った部分、「Output to Input」の機能を使って、おしい画像があったらそれをInputに変更。必要な修正。という工程を何度も繰り返していったため、私の描いた元絵は残っていないです。手修正の手間はありますが、まあそれでも、ゼロから描いていくよりは、よっぽど高品質な画像が高速に描けますね、AIさまさまありがたやー。
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