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2020年ワダデミー賞

本日は、お日柄もよく


今年一年を振り返ると、やはりコロナの影響が大きかったでしょうか。
僕自身の影響は他に比べれば少ないような気がしますが、「マスクをするようになった」というのはそれだけでも人生においてインパクトのあることだと思います。

映画界においても日本では最大席数を半分にして、間隔を空けての上映にしたり食べ物の制限をしたりと様々な対策を打っております。
アジアよりも欧米が格段に影響は大きく、ハリウッド映画は軒並み延期。
「テネット」もなかなか公開されなかったうえに、思いの外興行収入が伸ばせずに苦労したようです。しかし、映画が公開されずに映画館が次々に潰れていく中で、少しでも映画館に人が戻るよう公開してくれたノーラン(なのか?)には感謝しかありません。

日本では「劇場版鬼滅の刃~無限列車編~」が公開されて日本での興行収入記録をすべて塗り替えそうな勢いですね。息さえしにくい現代社会で呼吸の大切さを見直すきっかけをみんなどこかで探しているのかもしれません。みなさんも山吹色の呼吸でハートをふるわせてください(このネタは「もう古い」って言われてしまうんだろうか)。

さて、今年のワダデミー賞です。
去年はベスト10方式だったようですが、ランキングはあんまり意味がないので今回は勝手に(当たり前だけど)賞を作って、各賞の発表に変えたいと思います。

今年は自粛(してない)期間にそれなりの本数を観れたので、11月30日時点で140本観ることができました。秋から冬にかけてはそもそも劇場公開数が少なかったのですが、なんだかんだ年間の本数の半分程度は映画館で観たのではないでしょうか。

それでは「残念賞」から

「残念賞」
“AS IT WAS”  ギャビン・フィッツジェラルド監督
いきなり「残念賞」ってなんやねんと思う方は多いかと思いますが、「残念賞」の映画のタイトルを観た瞬間に納得してもらえるのではないでしょうか。
マンチェスターでのテロの後に行なわれたコールドプレイとのライブの “Live Forever”が流れれば、それだけでワダデミー賞のあらゆる賞は独占できたでしょうし、ついでにテロが起きたライブ会場の外で、イギリス市民によって歌われた”Don’t look back in anger” の映像が流れただけで、歴史に残る映画になったのは間違いないでしょう。
それだけに残念です。無念。ノエルっぽいし、オアシスっぽいからいいけども。
映画はリアムのドキュメンタリーです。
ハチャメチャな人生を送ってきたリアムが年を重ね、健康に気を遣うようになり、「走るのは心身の健康にとてもいいんだ」というようなことを言っていたのにはほっこりしました。
Live Forever. Fu**in’ Hallelujah.


「アクション賞」
“悪人伝” イ・ウォンテ監督
本家がやらぬので、こっちで勝手にやりましょう。
マーベル・シネマティック・ユニバース『エターナルズ(原題)』にも出演が決まったマブリーことマ・ドンソク主演の映画。マ・ドンソクが出ているだけで賞をあげたくなるくらいですが、今作の肝はおっさんばかりを狙う連続殺人鬼。何を思ったのか、マ・ドンソク演じるヤクザの組長を通り魔的にめった刺し。それにブチ切れたマブリーが復讐のためにやくざな警察と大暴れ。やくざと警察がいかに紙一重の存在なのかを改めて思い知る最高の映画でした。“ラストブラッド”も良かったけど、あっちはスタローンオンリーだったので、ランボーは「スタローンで賞」のみの受賞。

「配信映画大賞」
“ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから” アリス・ウー監督
明らかにアリス・ウー監督自身を描いただろうと思える作品。
自身の半身(ハーフ・オブ・イット)を探す旅である恋愛。
いわゆるマイノリティ映画ではあるのであろうが、こもっていた自分が世界に開いていく様はいつ見ても美しい。手紙を大切に扱う映画にはずれなし。“her/世界でひとつの彼女”にしろ、この映画にしろ、ゆったりとした時が流れる手紙でしか綴れない想いはある。
ん。手紙?

「アニメ大賞」
“劇場版 ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン” 石立太一監督
手紙といえばこの映画を外すわけにはいかないのです。
自動手記人形として手紙の代筆を行うヴァイオレット。戦場で兵器として扱われていたため、感情がわからないが手紙の代筆・人との関わりによって、自身の感情に気づかされていく。根本の部分が通じている“her/世界でひとつの彼女”、“ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから”そして、“劇場版 ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン”は手紙の代筆映画3部作として、是非とも3作ともご覧いただきたいものである。
ちなみに私はアニメ版を全く観ずに映画のみ鑑賞しましたが、十二分に楽しめました。
良かったら、是非。

「特別賞」
“ハスラーズ” ローリーン・スカファリア監督
2020年に観た映画の中では最高の1作のうちの一つといえるでしょう。
ただし、基本的ワダデミー賞はアカデミー賞前に上映された、もしくはアカデミー賞にノミネートされた映画はいれていないので、「特別賞」としました。
正直に言うと、2020年に観た映画としてではなく、今までに観た映画の中でも最高の映画のひとつになる。それくらいのインパクトがある映画でした。なんといってもジェニファー・ロペスが最高。なのに、アカデミー賞にはノミネートもされない。そんな憤りも含めてどうしても賞を送りたかったので無理やり賞を作りました。なぜかダニールセミナーの感想で書いたnoteで触れていますので、今年唯一の日本で行われたマスターセミナー(システマ)となってしまったダニールセミナーの振り返りついでに読んでみてください。
https://note.com/superpan28/n/nd20e3604cea4

「音楽賞」
“WAVES” トレイ・エドワード・シュルツ監督
フランク・オーシャンの楽曲が光る映画。ミュージカル映画と称されるくらい音楽が多彩で、心理描写のほとんどを音楽によって行なっている。「音楽賞」としたものの、“ムーンライト”をつい思い出してしまう映像の美しさと、フレームの大きさによって心が狭くなり、そして開いていく様を巧みに描写した技術、全てが調和し1つの芸術作品となっている。
至極の一品。

「主演賞」
“ミッドナイトスワン” 内田英治監督
まずはなんといっても草薙君でしょう。衝撃的な映像もかなりあり、改めて草彅剛という一人の俳優の恐ろしさを見せつけられました。元アイドルがここまでやるのかと思うくらいに痛々しい場面が印象的でした。目をそむけたくなる場面でも、目を離せない。1本の映画
そして服部樹咲さん。エンドクレジットなどにも(新人)と入っていて、実際に新人なのだとは思いますが、この方なしには成り立たなかった映画でしょう。
しなやかなバレエの動きも素晴らしかったですが、黙って俯いているだけでも伝わってくる「何か」を出せる凄まじい俳優なのだと思いました。
映画としての完成度も高く、色々なことが考えさせられる映画でした。

「ドキュメンタリー賞」
“行き止まりの世界に生まれて” ビン・リュー監督
“The most personal is the most creative.” 20年のアカデミー賞で“パラサイト”にて作品賞を獲得したポン・ジュノ監督が引用した、スコセッシの言葉。
この言葉をこれほど体現した映画もないのではないでしょうか。実を言うと、今回ワダデミー賞を受賞した作品はどれもその匂いを感じますが、その中でも突出して強い匂いを放つ作品でした。自分では意識していなかった部分が人との関わりによって表出する。自分の内面に向かいすぎると見えなかったものも、顔を上げてみると目の前にあったということも往々にしてあり、それによって自身を知る。
そのために監督達は映画を取り続けるのかもしれません。


「作品賞」
“メイキング・オブ・モータウン” ベンジャミン・ターナー監督
スティーヴィー・ワンダー、マーヴィン・ゲイ、ダイアナ・ロス&スプリームス、ジャクソン5、テンプテーションズ等数多くのアーティストを輩出してきた音楽レーベルであるモータウン。創設者ベリー・ゴーディがスターを創り出してきたノウハウを語るドキュメンタリー映画。ひとつのレーベルが歴史にどれだけの影響を与えたかを語り、そのまま分断の深まる現代社会への問題提起へとつながっていく。アート、音楽がもつ力の大きさを感じる傑作。
“The Art is colorless” 
「アートに色は関係ない。音楽も無色だ。感覚や鼓動があるだけだ。」
byベリー・ゴーディ。


さて、以上。ワダデミー賞でした。
21年はどんな年になるでしょうか。
コロナが落ち着くのか、人類が落ち着くのか。
そもそも本家のアカデミー賞授賞式は開催されるのか。
私は相も変わらず、不要不急な我が人生をそれなりに面白く生きていけるようにできたらなぁと望むばかりです。
不要不急でない人生を送る皆さんはさぞ大変かとは思いますが、ご自愛のほどお祈り申し上げます。
では。

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