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コミュニティのあり方の多様性が増すと、社会はもっと楽しいはず

仕事柄、毎日のように街から街へ、移動する生活をしています。
その中で、コミュニティの運営を事業とされている方にお会いして、お話を伺う機会が増えてきました。

先日も、若手エンジニアのためのコミュニティを運営されている企業のマネージメントの方にお会いし、そこでの会話がとても印象深かったので、記憶が色あせないうちに書きとめてみました。

話題は、<コミュニティが掲げている領域・専門性>と<実際に集まった仲間の特性>の掛け合わせで、それぞれのコミュニティの表情が生まれる、というお話。そこから、コミュニティの多様性について話が展開。

そこで、そのマネージメントの方が仰ったのが、こんな一言でした。

暮らす人のテイストが街ごとに異なり、それぞれの街の表情がその街に携わる人々から生まれていくように、「若手エンジニア」という切り口であっても顔つきの異なる様々なコミュニティがあったほうが楽しいよね。

自分が携わっているコミュニティの領域・専門性について、「同じ領域で異なるテイストのコミュニティが数多くあったほうが楽しいはず」というようなことを最近考えていたところに、それとオーバーラップする言葉をいただき、一気にテンションがあがってしまったことを覚えています。

この方の言葉にあるような、「様々な街のようなコミュニティ」が同じテーマ・関心において数多くあれば、人とコミュニティの関わり方にも幅が広がるはずです。

札幌のようなコミュニティ、渋谷のようなコミュニティ、難波のようなコミュニティ、福岡のようなコミュニティ、香港のようなコミュニティ、ロンドンのようなコミュニティ、なんて妄想するだけでも、旅行好きの僕は楽しくて仕方がありません。

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自分に適した街を多様な選択肢の中から選べることが、日々の暮らしをより良いものにしていく方法の1つであるように、「どの街が最強か」ではなく、"自分が関わることができそうなコミュニティ"の選択肢が社会に数多くある事が、重要な気がするのです。

自分が街を変え、街が自分を変えていく

こうしたお話を交わす中で、「人と街の関係は、人とコミュニティの関係に似ているのかも」と感じました。

環境に惹かれて人々が集まり、集まった人々が環境を更新して街を作る。環境が変わることで、街の姿と自分の価値観の間にギャップが生じて街を去る人もいれば、変化した街の姿に刺激を受けて暮らしをアップデートする人もいるはず。

仮に街を去るとした場合、次の街の選択肢が幅広く存在していれば、それだけ一人一人にとってより良い環境を選ぶことができる可能性が増えますよね。

街の姿が絶えず移りかわり、人々の動き・変わりようを環境が促し続けることで、人と社会との関わり方におけるダイナミックレンジが広がるように思うのです。

人と街、人とコミュニティの関係は似ている

そうした、人と街の関係と同じように、人とコミュニティの間を考えてみると、コミュニティのあり方に惹かれて人が参加し、参加する人がコミュニティのあり方を新しくし、コミュニティに触発されて価値観が揺さぶられる、という、関係性があるのかもしれません。

人と街、人とコミュニティには似ている部分がありそうです。

例えば、誰かがあるコミュニティを去るとき、その人が求めるものを持つほかのコミュニティが社会にいくつかあれば、また新たな関わりに自ら身を投じることができる。と考えると、それはある種の安心感に繋がるのかもしれません。

定住する人には定住に適した場を、複数の場を行き来する人には行き来に適した場を、それぞれの人が自然に選ぶことができるだけの選択肢の幅がある社会は楽しいのではないか。お話をするなかで、そんな事を考えていました。

多拠点生活 ≒ 複数のコミュニティを行き来すること

近年、多拠点生活や副業といった、複数の場を行き来する生活のあり方が話題にのぼることが増えてきました。増えた、というよりも、僕自身としてほぼ毎日、何かしらの形でご相談をいただく際のメインテーマになりつつあります。

人と街との関係性が、人とコミュニティ・場の関係性に似ているのだとすると、そうした生活様式は複数のコミュニティを行き来している状態に近しいような気もします。

多拠点生活というと、複数の拠点を行き来する人に目が向きがちですが、各拠点に定住する人に向けても影響を及ぼす側面があると考えています。

僕自身、まちづくりのコミュニティ運営に携わっているなかで感じていることなのですが、鳥が離れた場所へ植物の種子を運ぶように、拠点間を行き来する人が、離れた場所の情報や人を連れて来てくださいます。

そうした軽やかに舞う鳥のような存在の人が直接・間接問わず、それぞれの街に住む人々に影響を与えている。個人的にそう強く実感しています。

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同じことが、やはりコミュニティについても言えるのかもしれません。

複数のコミュニティを行き来する人が、そのコミュニティ固有の考え方・アプローチに対して新しい風を吹いてくださる。
領域・専門性が異なるコミュニティ間であっても、一方のコミュニティでの実践が、他方のコミュニティにも活かせる、という瞬間は意外に多いのかもしれません。

社会全体においてコミュニティの多様性があることが、個々のコミュニティにも、そこへ携わる人にも良い影響をもたらす。冒頭の会話から、そんなイメージを抱いた次第です。

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