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2019/6/13 辻村深月×桜庭一樹「恋の絵本」トークショーレポ@代官山蔦屋

※辻村深月さんのイベント過去のまとめです。時系列ごちゃまぜ。

2019/6/13@代官山蔦屋書店

辻村深月さんと桜庭一樹さんのトークショーのレポです。チケットが数種類あり、トークショーのみorサイン入り(辻村さんor桜庭さんorお二人)が選べたので、私は辻村さんのサイン付きの券で入りました。

元々は「怪談えほん」というシリーズが始まりです。小説家が「怖い絵本」を書く、という企画。

『残穢』の小野不由美さんとか『魍魎の匣』の京極夏彦さんとか本気の作家を集めていて、岩崎書店は気が狂ってるとしか思えない(褒めてる)。


それを今度は「恋」というテーマでやってくれませんか、とライターの瀧井朝世さんが岩崎書店さんに依頼されて、作家さん達に声をかけたのが始まりだそう。現代の感覚にあった”恋”の話。

小さい頃、わたしのまわりには、たくさんの「お姫様が王子様と結婚してめでたしめでたし」という物語がありました。それは遠回しに、女の子は男の子に守られるものだ、富と地位を手に入れることが幸せとなのだ、という価値観を植え付けるものであったのではないかな、という気がしています。
一方、幼稚園や小学校では、「みんな好きな人がいて当然である」「好きな人がいるなんてなんだか恥ずかしい」という、矛盾した空気がありました。
だから私は、「好き」をめぐる悩みや疑問があっても、誰にも打ち明けられませんでした。
そんな時に、自分の気持ちに寄り添ってくれ、自分を肯定する一助になってくれるもの――たとえば絵本――があったらよかったな、と今では思うのです。
恋愛を描いた名作絵本はこれまでにもあります。ただ、恋愛観や結婚観、ジェンダー観が変わりつつある今の世の中で、「好き」という素朴な感情を肯定しつつ、現代の感覚に響く恋の絵本があってもよいのではないか。
そんな思いから、このシリーズは生まれました。
この人ならそんな話を書いてくれると信頼する作家陣、作家の世界観を豊かなイマジネーションで可視化してくれると確信する画家陣が、参加を表明してくれました。
子どもたちの気持ちの傍らにいてくれるものであると同時に、大人にとっても、今も心の中にある痛みや切なさに響くもの、慰めや励まし、ときめきにつながるものが出来上がったと自負しています。ぜひ、ページをめくってみてください。―「恋の絵本」シリーズについて 瀧井朝世 https://www.iwasakishoten.co.jp/special/contents/02241/

以下、トークショーレポです。

※ネタバレがありますので未読の方はご注意ください。あくまでもメモ書きの清書版になります。



✂✂✂

・最初に依頼された時どう思ったか

辻村さん:「え、怪談絵本じゃないの?」って思った。笑 他に誰が書くのか知らなかったけど、作家さんたちが発表されたとき、「絶対桜庭さんはいると思いました!」ってなりました。笑

・どこで話を考えたのか

桜庭さん:熱で休んでいるときにふっと思いついた

・どうしてその物語になったのか

桜庭さん:子どもの頃から「この子はわかってる」って信じてくれて書かれた作品に救われてきた。子どもを舐めないというか。だからそういう風なものを書こうと思った。

辻村さん:最初に「恋の絵本」という依頼を受けた時に、好きな人を作れって言われるのに抵抗がある、そういう子の気持ちを肯定したいと思った。同調圧力と戦う本にしたかった。恋愛の話って、「大事に思っていたい」という気持ちと、でも好きな人がいるって言うと盛り上がれる、っていう2つの狭間の気持ちがあるなあと思っていた。あと、思い込みが無いとおもっていても、思い込みがあるというのを表現したかった。

・お互いにお互いの本を読んだ感想は?

桜庭さん:辻村さんはやっぱりミステリー作家なんだな、と思った。トリックを使ってテーマを伝える。「この子、ずっと俯いているな」と思っていて、最後で”わっ”と救われたみたいになった。

辻村さん:読んでいてすごく嬉しくなった。話としては全然違うのに、似ている所がある。他者と出会うことで自分の内面に向かう、みたいな。最後の文は本当に美しいなと思った。

・提出様式は指定していなかったが、桜庭さんはラフで、辻村さんはワード文書で提出されたが

桜庭さん:絵心は無いんですけれど変にうまい方が想像力の邪魔になると聞いたので、堂々と出しました。笑 最後の洋服の柄が一緒になるとかは画家さんのアイデア。

・お二人は文章を作るときは絵を描く方が伝えられてなかったが

辻村さん:今日マチ子さんしか考えられないと思った。ジェンダー観がすごく大事なので、こちらから教えなきゃいけないという時点で既に危うい。でも今日さんだったから安心してお任せできた。書き終わってから初めてお会いして、そこで「どうしたらいいか全くわからないけれど、よろしくお願いします」っていうオーダーをした。

最後のページのランドセル。今いろんな色のランドセルが選べる中で、明らかに”男の子”用の色。それだけで、主人公がどんな家の子かわかる。「さすが今日マチ子、しびれる!」と思った。笑

その他にも、辻村さんがご家庭のお話をされることは基本的に無いんですが、お子さんの話をされていてそれがすごくかわいかったのでご紹介します。

・辻村さんのお子さんが5歳のときに「怖い絵本」を本棚にしれっと混ぜてみた。恩田陸さんの「かがみのなか」。怖い話は「世界は自分が見えているだけで終わらない」という想像力ができるからいいな~と思って。ある日息子さんが見つけて読んでいる姿を発見して、「よしよし」と思って放っておいたら、読み終わったのかくっついてきて「かがみが・・・」って言ってた。(会場笑い)

✂✂✂

2作品とも素敵な絵本だったので大人の方も是非読んでみてほしいです。お子さんだったら、小学校低学年くらいからが対象だと思います。

辻村ファンは「やっぱ私たちの辻村さん」って思うこと請け合いです。

ちなみに今日マチ子さんだったら『センネン画報』が特に好きなのでおすすめしときます。


読んでいただき、ありがとうございました。

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