マガジンのカバー画像

小説

11
運営しているクリエイター

#短篇小説

二律背反

 その日、僕はお洒落なイタリアンレストランにいた。

 偶然、美咲と休みが一緒になり、以前から美咲が行きたいと行っていたお店に行くことにした。

 その店は地下鉄で20分ほど乗ったところの非常に近い場所にも関わらず、今までなぜだか行く機会に恵まれなかった。楽しみだねと嬉しそうに微笑む美咲に、うんと僕は微笑み返す。吊革に掴まりながら電車に揺られていると、乗客がちらちらと僕の方を見ているのがわかった。

もっとみる