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北海道 鉄道残照~失われた鉄道の遺産あれこれ

その2 殖民軌道の倉庫:道北篇


1.はじめに

ご訪問ありがとうございます。

ことしからnoteをはじめ、「北海道の廃線跡探訪」なる、国鉄地方交通線廃線跡を主にした記事を投稿しています。

ここでは車輌や遺構のことなど、つれづれなるまま、書いていこうと思います。
同世代のかたや先輩諸氏にとっては、ご存じのことが多いでしょうが。

「北海道の廃線跡探訪」より、短編成化、軽量化します。

お気軽に、読みとばしていただければ・・・

今回の殖民軌道の倉庫は、前回の陸別の林鉄客車より、もっとマイナーな話題です。車輌でもありませんし。

2.今井啓輔著「北海道の殖民軌道ー聞き書き集ー」

今井啓輔著「北海道の殖民軌道ー聞き書き集ー」には、地元の人たちへ取材した、貴重な証言や写真がつまっています。

北海道在住ではない今井さんが、道内各地をなんども訪れ、関係者から話を聞き出すのに、ずいぶん苦労されたこともわかります。
殖民軌道関係者存命中に、こうした研究をされたことに、深い敬意を表します。

「聞き書き集」とありますが、公文書をはじめとする一次資料を参照し、引用や出典もきちんと明記された、たいへん優れた研究書です。

この本には、調査研究から得られた成果である、各地の殖民軌道停留場(駅)の図や、今井さんが現地で確かめられた、附属倉庫などの写真も掲載されています。

自分でも、ぜひ見てみたいものと思いました。

3.殖民軌道の倉庫は、いまでもありや?

今井さんが写真を撮られたのは、平成20年代ですから、すでに20年ほど経っています。いざ現地へ行ってみたら、なにもなかったというのは避けたい。

そこで、グーグルの航空写真やストリートビューで、あらかじめ予習をしていきました。

その結果、倉庫は、ほとんどが現存していることがわかりました。

4.幌延の倉庫

幌沼線は、宗谷本線幌延から天北線沼川までの路線です。
幌延駅近くにある倉庫は、狭いところにあり、全景が撮れません。
裏側はヤブになっており、廃線跡でもないのに、ヤブこぎをして、なんとか撮影しました。

幌延駅近くの倉庫 妻板上部の2つの窓が殖民軌道の倉庫の特徴 2022年10月撮影(タイトル写真も同じ)
裏側 右側の十字型の窓桟はオリジナルではなかろうか 2022年10月撮影

5.有明の倉庫

幌沼線の途中、有明にも倉庫があります。
ただし大改造され、面影は屋根くらいです。
今井さんの本がなければ、殖民軌道の倉庫だとはわからないでしょう。

有明の倉庫 改変著しく、面影は屋根くらい 2019年5月撮影

6.問寒別の倉庫

問寒別線宗谷本線問寒別から二十線までの路線でした。
今井さんが撮られた倉庫はなくなっていましたが、問寒別駅前にあった同型?3棟のうち、最後の1棟が残っていました。
こちらはやや大型で、妻面上部の窓の形もちがいます。

問寒別の倉庫(道路側) 2022年5月撮影
裏側 2022年5月撮影
片側の側面に残る窓 2022年5月撮影

7.本幌別の倉庫

本幌別線は、枝幸線の途中停留場、上幌別から出ていました。現存する倉庫があるのは、起点ではなく終点です。

残念ながら、倉庫は屋根だけという状態でした。
それでも、通常、まぢかに観察できない、窓や屋根をじっくり見ることができました。
ストリートビューでは、ちゃんと建っているように見えたのですが。

本幌別の倉庫 2022年10月撮影
裏側 2022年10月撮影

8.おわりに

短編成化、軽量化するといいながら、少し長くなってしまいました。

道東篇は次回にまわします。

今回も、おしまいまでお読みくださり、ありがとうございました。

ご意見・ご感想、そしてご要望など、どうぞお寄せください。

つづきは、こちらです。

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