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#1 わくわく海外への旅 ヨーロッパ音楽研修

#わたしの旅行記

 旅に出ると、日常から切り離され、リラックスでき、しかも自分を見つめることができる。だから私は、ときどき無性に出かけたくなる。
 それに加えて、海外に行くと、「日本人とは」「日本のよさや外国に見習うべきところ」が明確になる。外国ではトラブルはつきもの。でもそれらも含めて、旅の印象が色濃くなる。

 初めての海外旅行のチャンスは突然だった。1994年教育センターでグループ研究をしていた私は、その日の日程を終えて指導担当の先生の話を聞いていた。
その中に、音楽関係の財団の半額助成を受けて、冬のヨーロッパ音楽視察団に参加された話題が出てきた。私はそれを聞いて
「いいですね。私も音楽を教えているので、一度は本場に行ってオペラ等を鑑賞したい」と早々には実現しないだろうと思いながら、答えた。

 すると「確か、夏のヨーロッパ視察旅行の締め切りが明日だ。今年の募集担当はヨーロッパに一緒に行った人で親しくしている。今、17時10分前だから電話するね」とすぐに連絡を取られた。私に今年参加するかと確認することもなく。
 
 運よくすぐ担当者とつながった。
「九州から2人だが、1人はほぼ決まっていると」
そして、財団主催の論作文コンクールについて応募経験の有無を尋ねられた。
 偶然私は、その一年前に音楽鑑賞に関する作文を送っていた。特賞は学校にステレオ等の音響製品が贈呈されると知ったので。
 そのことを伝えると「そういうことならほぼ決まりらしい」という話で
終わった。ヨーロッパの話が出て10分足らずで、まるで奇跡のように
私の初海外旅行が決まった。
~イタリア、チェコ、オーストリア~ 最後はザルツブルク音楽祭での
オペラ鑑賞というまさしく夢のような15日間の旅行である。

イタリア

 歴史ある建築物のすばらしさ。その当時かなりのインフレで生活が厳しいはずの人々。だが明るく笑い、生活を満喫している姿を目の当たりにして、幸せは
自分で見出すものだと思った。
 ベローナ音楽祭で聴いた「アイーダ」夕食を済ませて野外劇場で鑑賞したが、時差ボケのひどいころで第1幕の途中で夢うつつだったのが心残り。
 冒頭のバイオリンの音が、湿気の多い日本で聴くものとは大きく違い驚いた。とても柔らかく儚げでもあり、「かそけき」とはきっとこういう音色かと思った。

チェコ

 まだ共産主義の名残がある時期で、イタリアから入国したので特に空港内の
緊張感を強く感じた。
 歴史あるプラハ城 展示物の数々。時間が足りなかったので、もう一度ゆっくりと訪れてみたい。
 街角には音楽があふれていた。音楽専攻の学生も演奏しているようだ。
 プラハだけでなく、チェコには、あちこちに古城があり、行ってみたいところがたくさんある国の一つだ。

オーストリア

 ウィーンは、馬車の走る想像していた通りの場所。その落ち着きや美しさは私にとって、ほかにない特別なところ。
(これはのちにヨーロッパのほかの都市を訪れて再認識したこと)
ベートーヴェンゆかりの場所もたくさん訪れた。
 
 ザルツブルクは落ちついた佇まい。ミラベル庭園の幾何学模様の造形は
日本庭園の考え方と全く違って、興味深かった。
 最大の楽しみだったオペラ『ドン・ジョバンニ』は最後の場面で主人公が自分の非を悔い改めず、奈落に落ちる。その演出がリアルで私も落ちていきそうで
思わずアッと声が漏れそうになって慌てた。それほど真に迫っていた。


旅を振り返って

 素敵なホテルに泊まり、本場の音楽に触れられた本当に楽しく、贅沢な旅行であった。それに加え参加者がすべて音楽関係者。レストランで歌わせてもらったり、自分でリサイタルを開く参加者の歌を聴いたりと夢のような旅だった。

 のちにヨーロッパに何回か行ったが、本格的な劇場のコンサートチケットは現地エージェントとつながりがないと入手がなかなか困難である。
音楽鑑賞の旅を専門に扱っているところもあるが、旅行代金が高くて
簡単には行けない。

 この初めての旅行があまりにもよかったため、私は『慢性的な海外旅行病?』にかかってしまった。
 その後、友だちや家族と2019年の夏まで、頻繁に外国へ出かけることになる。

 


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