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妄想グルメ 🍋「レモンステーキ」

佐世保のご当地グルメに佐世保バーガーと並び、レモンステーキがある。
私は、その話を10年ほど前に友達から聞いた時から、一体どんな料理だろうと興味を強くひかれていた。

10年前勤めていた学校では、私は6年部に所属していた。学年主任は、かつての生徒会長がそのまま成長したような好感度抜群の人。スポーツ万能で頭脳明晰、見た目も爽やか。

月1グルメの友人とはここで親しくなったのだが、彼女は主任を善男(よしお)さんと呼んでいた。
みんなは、いつもたいした用もないのに職員室に戻ってきて、たわいもないことや彼女の冗談に笑っていた。

秋に修学旅行に行くことになっていたが、私的に下見と称して夏に長崎に行こうと言う話になった。私から見ると何度も6年担任をしている彼らは、目をつぶっても案内ができるレベル。何とか理由をつけて、もう1人の担任が購入した素敵な車に乗って旅行がしたいからかもしれない。
私は参加しなかったので、たぶん両親を連れてどこか旅行に行っていたのだろう。

レモンステーキに関わる話は、次の通り。
土砂降りの雨にあった彼らは、やっと1つのレストランにたどり着き、中に入った。 
そこで見つけたのがレモンステーキ。お昼もかなりすぎて、とてもお腹が空いてた彼らは料理が出てきた途端に、ぱくついたらしい。
店の主人が出てきて食べ方の説明をしようとしたときには、なんと誰のお皿にも料理が残っていなかった。

友達が言うには男性3人ならわかるけど、私のお皿にも何も残ってなかった。
恥ずかしかった………。
「ナイフとフォークが用意されていたのに、それでは、らちがあかないと思って
みんなはしで食べたんだよ」

学校に勤めていると給食を味わって食べることができない。勢い、みんな食べるのが速くなる。今でも『ゆっくり、ゆっくり味わって』と考えていないと、食べているとスピードが他の人に比べて速くなる。

長年1度は食べてみたいと思っていたレモンステーキだったが、先日地元で展開する和食チェーンのチラシに大々的に写真が載っていた。何と期間限定で提供されるメニューの一つになっている。

佐世保のアメリカ海軍の影響で、ステーキを日本人でも食べやすいように考案されたメニューだそうだ。これは行くしかない。

実際、運ばれてきた料理を見ると、ステーキと言うよりは焼肉に近い。あらかじめカットされたお肉を焼きながら食べる。ただ味付けがレモンの風味なので、さっぱりしている。これが地元で食べられている料理と同じかどうかはよくわからなかったが、夏には酸味がほどよく、おいしいと思った。

お勘定を済ませて店を出ようとすると、私より5、6歳上の女性と目があった。
だから、ちょっと会釈をして通り過ぎようとすると、まるで選挙の出口調査のように「何を食べられましたか」と声をかけられた。こんなことは生まれて初めてだ。一体どんな顔で店を出ようとしていたのだろう。『よっぽどおいしい顔?をしてたのかなあ』

「レモンステーキ」だと答えたら、案の定、けげんな顔されたので、簡単に料理の説明をすることになった。それを聞いたその人は
「じゃあ、私も食べてみるかなぁ」と言って、店内に入っていった。

こんな不思議なことが起こるのも、レモンステーキのなせる技なのか。
友達にこの話をすると「【検証レモンステーキ】のため、一緒に食べに行こう」と言われた。ただ彼女と行きたい場所はまだまだいっぱいあるので、3〜4番手に控えているこの計画は、実行できないかもしれない。何しろ期間限定だから…。

もし検証できない場合、レモンステーキの実態は闇に消え、迷宮入りしそうだ。
そうなると残る手段はただ一つ。実際に佐世保に行って、食べてみるしかない。


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