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#聴いてみた Ravelの「ボレロ」

NHKFM[「音楽の泉」のRavelの「ボレロ」を聞き逃し配信で聴いてみた。

曲目

「ボレロ」 ラヴェル:作曲

(管弦楽)ボストン交響楽団、(指揮)小澤征爾 (15分00秒)
<ユニバーサル UCCX1087> 1974/3の録音
🖋曲解説にて

「バイオリン・ソナタ」 ラヴェル:作曲

(バイオリン)ジャン・ジャック・カントロフ、
(ピアノ)ジャック・ルヴィエ (16分44秒)
<コロムビアミュージックエンタテインメント COCO73126> 1927に完成
🖊「ボレロ」初演の1年前、1927年に完成したヴァイオリンソナタをお送りいたします。ラヴェルはスペイン文化そして子供の世界を愛した作曲家ですが、もう1つ ジャズに関心を抱いたことでも知られています。これからお送りするヴァイオリンソナタの第2楽章には「ブルース」と記されています。ジャズ風の奏法や雰囲気が聴こえてきます。ソナタ全体としてはとても明晰な音響を誇り、2つの楽器、ヴァイオリンとピアノの機能、個性、音色の違いを浮き彫りにした作りが魅力になります。 曲は1927年5月にジョルジュ・エネスコのヴァイオリン、ラヴェルのピアノによって初演されました。

「鏡 から 道化師の朝の歌」 ラヴェル:作曲

(管弦楽)ボストン交響楽団、(指揮)小澤征爾 (7分38秒)
<ユニバーサル UCCX1087>
🖊ラヴェルは自作のピアノ曲をオーケストラに編曲することを好んで行っていましたが、その代表作「道化師の朝の歌」をお送りいたします。1905年に作られ、1906年にスペイン人ピアニスト リカルド・ビニェスによって初演された「鏡」の中の1曲です。オーケストラへの編曲は1918年に行われました。「道化師の朝の歌」オリジナルのタイトルはスペイン語。スペイン語のタイトルは「意気で陽気な男性が気分よくお酒を飲んで朝帰ってきた時の歌」です。そう解釈できるかもしれません。

曲解説(奥田佳道先生解説からの抜粋)

今朝はラヴェルの「ボレロ」をお送りいたします。
(♪~)小太鼓スネアドラムが刻むリズムに導かれフルートがテーマを歌いだしたところを聴いていただきました 。

フランスの作曲家モーリス・ラヴェルの「ボレロ」は1928年ラヴェルが53歳の時に作曲されました。ラヴェルに曲を依頼したのはロシア出身のバレエダンサーで舞台俳優でもあった、リダ・ルビンシュタイン。20世紀初頭、パリではディアギレフ 率いるバレエ・リュス(ロシア・バレエ団)がフランスやロシアの作曲家の新作バレエを上演しセンセーションを巻き起こしていましたが、リダ・ルビンシュタインもそのロシアバレエ団で活躍、彼女の妖艶なパントマイム、情感のこもった演技は歴史的な振付師ミヒャエル・ホーキンや美術のレオン・バクスト、更にジャン・コクトーからも称賛されていました。 ホーキンは彼女のバレエの先生でもありました。そのリダ・ルビンシュタインがスペイン人ダンサー、又はスペイン人役を主役としたバレエ音楽をラヴェルに依頼します。ラヴェルはお母さんがフランスとスペインの国境にあるバスク地方の出身で、そのバスク地方の民謡やスペインの民謡に子供の頃から親しんでいました。それで ラヴェルの作品にはスペインを題材としたもの、スペイン趣味を感じさせるものが多くなっています。ラヴェルは当初、ロンドンやパリでも人気のあったスペイン人作曲家アルベニスのピアノ曲をオーケストラに編曲しそれをリダ・ルビンシュタインに提供しようと考えていましたが、そのアルベニスの曲は既に別の作曲家によってオーケストラの編曲が行われていたこともあり、結局新作のバレエ音楽を書くことになりました。

曲名のボレロはスペイン舞曲の名前です。スペイン舞曲「ボレロ」は18C末に3拍子の舞曲セギディーリャから編み出され緩やかなテンポによる宮廷舞踏曲として発展、19Cにフランスに伝わる一方、スペイン各地でも人気 を博しました。管弦楽法、オーケストレーションの魔術師モーリス・ラヴェルは16小節からなる2つの主題を3小節のボレロのリズムに乗せて楽器のソロや楽器の組み合わせを変えながら 反復させるという何とも大胆なバレエ音楽を書きました。メロディは2つ、音を大きくするクレッシェンドは1つ 、リズムは最後の2小節を除き変わりません。調性も最後の最後に転調するまでほとんどハ長調ですが、そこはラヴェル、響きは魔法のように変わります。
(♪~)ピッコロ、ホルン、チェレスタ、この3つの楽器が同時に演奏していますが、何とも摩訶不思議な雰囲気、異なる調性を並列させているのですが、これはパイプオルガンの機能、演奏方法をオーケストラに移し替えたもの、とも言われています。

曲の最後、調性の変わる所、転調の部分も聴いてみましょう。
(♪~)この後曲は最後 崩れ落ちるように終わりますが、ラヴェルはウインナワルツにオマージュを捧げた 「ラ・ヴァルス」でも最後の2小節に劇的なドラマを添えていました。「ボレロ」は1928年11月にパリオペラ座でバレエとして初演、その後、曲を委嘱したリダ・ルビンシュタインが持っていた独占上演権が切れると、オーケストラ曲として演奏され、ラヴェル自身も指揮、録音を行っています。

「ボレロ」はクラシック音楽でも最もポピュラーな作品、人気のある作品になりました。モーリス・ベジャール、ジョルジュ・ドン、シルヴィ・ギエム、ローラン・プティの名前とともに「ボレロ」を思い出す人も多いでしょう。

Ravel「ボレロ」を聴いてみて

2つの主題による反復の最高傑作である「ボレロ」を久しぶりに聴いた。指揮は小澤征爾。ただ反復するのではなく、調性の工夫や楽器の組み合わせによって最後、最大のクライマックスを迎える。今回の小澤征爾×ボストン交響楽団の演奏は高揚感、臨場感に溢れ本当に素晴らしかった。この番組はラジオ番組だが、今回ばかりは指揮の映像も見たかった(小澤征爾の指揮は背中からも音楽が感じられるから)と思った。


 


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