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休職に対する職場の反応(その1)

私がうつ病だったときの勤務先は、正社員7人、パートさん3人の小さな職場でした。

この職場で1人でも休職することは、ほかの方への影響が大きいことは十分に分かっていただけに、休職することを職場に告げるのは勇気と覚悟が必要でした。

上司には事前に説明してありましたが、休職に入る1週間前のミーティングで自分の口から職場の皆さんに報告しました。

それが休職するために果たさなければならない責任、あるいは、最後の試練みたいなものだと勝手に思い込んでいたのかもしれません。
だから、ここでも無理して、出ない気力を振り絞ってしまいました。。。

いま振り返ると、そんなに気負う必要はないし、自分で話すのが辛ければ別の方法をとっても全然構わなかったと思います。

試練のつもりで職場の皆さんに伝えたわけですが、実際の職場の反応は私の予想とは大きく違っていました。

① 後輩社員Aさんの反応

私より10歳ほど若いAさんとは、当時の職場で出会って約1年の付き合い。
プライベートの部分はあまり深く話したことはありませんでした。
やるべきことはしっかりやるけど、自分の仕事の範囲外のことはやらないキッチリした人、という印象でした。

私の休職で少なからず仕事が増えることから、Aさんからはシビアな反応があるだろうなと予想していました。

でも、違いました。

Aさんは、ご自身の奥さんも以前からうつ病に悩まされていることを私に教えてくれました。そして、「無理してはいけない病気なので、しっかり休んでください」と言ってくれたのです。

私はびっくりしました。 

まず、Aさんが自分の奥さんのことを開示してまで、私の病気に理解を示してくれたことに。
そして、AさんにはAさんの事情や抱えている問題があって、私はそのことに全然気づいていなかったことにも驚きました。

Aさんは、私より長くうつと闘っている奥さんをずっと支えていることを、このとき初めて知りました。
その上でのAさんからの励ましは、なんだかとても説得力があって、優しさを感じたのです。

今まで私が勝手に抱いていたAさんの印象とのギャップも手伝って、本当に救われた気持ちになったのを3年以上たった今でも覚えています。

②  パート職員Bさんの反応

Bさんは、転勤で入れ替わりやって来る職員とは違い、地元採用でその職場には長く勤めている同年代の女性でした。
地域に不慣れな私は、おいしいお店などの生活情報などいろいろ教えてもらっていました。

あと、どことなく元ヤンキーの雰囲気を漂わせるBさんは、霊感が強い人でした。
亡くなった人の霊だけでなく、生きている人の内面まで見通すような鋭い感性を持った女性だったので、私はBさんに一目置いていたのです。

Bさんは、あまりおしゃべりではなく、誰とでも明るく社交的に接するタイプの人ではありません。
どちらかというと、面と向かって言葉で伝えるのは苦手な人だったと思います。

そんなBさんは、私が休職に入る前の最後の日に、

「わたし、お地蔵さんが好きなんで、お地蔵さんのポストカード集めてるんです。」

と言って、そっと1枚のポストカードを私にくれて、いつもの終業時刻に帰っていきました。

心療内科の主治医に勧められてつけ始めた日記には、その日のことが次のように書かれています。

2018年7月26日
ミーティングで休職に入ることをみんなに説明した。
厳しい反応も致し方なしと意を決して報告したが、職場のみんなの反応はとても温かかった。
この仕事にやる気を持てなくなり、自分はもうこの仕事に戻れないだろうと思っていたけど、「またこの職場に戻って来たい」と素直に思った。
これから休職して簡単にうつが治るかは分からないけど、今日のミーティングが回復の始発点になると信じたい。
AさんやBさんの優しさは忘れないと思う。
うつ病になったから分かったこと、気付けたことも確かにある。

確かに私はこのとき、職場の仲間に恵まれていました。
たしかに、誰もがこのような温かい人ばかりに囲まれている訳ではないですし、私自身もその少し前までは職場の人間関係で苦労したこともありました。

でも、理解してくれる人は必ずいると信じたほうがよいのではないでしょうか。
冷たい反応をおそれる気持ちを消すことはできませんが、周りの人からの思いもよらない温かい反応にできるだけ目を向けていきたいものです。

私の当時の職場には、ほかにも優しい人がいたので、つづきは次回書きたいと思います。

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