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絵になる美しい街並みを創造する為の粉本/竹富島(たけとみじま)/沖縄県八重山郡竹富町字竹富/風水により醸成された南国の街並み

 

 竹富島は沖縄県の八重山群島の石垣島に近接する小島。人口は343人、形態は珊瑚礁の隆起で出来たからか、丸く平らで、周長が9.2km程度。中央に位置する重要伝統的建造物群保存地区に指定されている集落を核に、同心円上に外側に向かって集落を囲う防風林、農地、海岸の防風林、白砂の浜、更には紺碧に見える珊瑚礁の浅瀬、沖合のバリヤーリーフの順に形成されており、見るからに台風銀座と呼ばれる南の島の風土と呼応する形態だ。
 これらを醸成したのは生活の中で培った風水の島フシン。今で言うデザインガイドだが、この他に村フシン、屋フシン、墓フシンがあり、島全体の秩序を定め、これらが景観をも誘導している。例えば島の中央部にあるンブフルという丘や集落の玄関となる街路の中央に中州のように佇むスンマシャーは村フシンにより、また街路の突き当たりに置いた石敢当(イシビチュル)は屋フシンにより設けたもので何れも魔よけだが、これらも特色ある景観を創出している。また集落内部の街並み景観を形成する要素である珊瑚の白砂を撒いた街路や強風から屋敷を守る石垣、その裾に植えた草花、屋敷内の福木、玄関前に衝立のように立てるヒンプン、赤褐色の瓦と漆喰のコントラストが美しい屋根を抱いた家屋、その屋根に乗るシーサーも、これら風水とこの島の風土に呼応したデザインガイドによって完璧に形成されており、それらが琉球らしさを創出している。

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