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絵になる美しい街並みを創造するための粉本/湯布院(ゆふいん)大分県由布市湯布院町/ルールにより形成された街並み


 今日の宿泊地は湯布院町だ。ここは全国第3位の湧出量を誇る温泉地。町名は湯布院だが、温泉地名や駅名は由布院と書いており、ややっこしい。街は大きな旅館が建ち並ぶ温泉地とは違って、それらが由布岳の山麓に広がる自然林の中にこぢんまりと点在、溶け込んでいる感じだ。街の中心軸はJR由布院駅から由布岳の方向に向かって伸びる湯の坪街道と呼ばれる街路。ご多分に漏れず土産物屋や飲食店等が並ぶものの、ここも自然の中にそれらを溶け込ませようとする意図が感らじれる街並みが形成されていた。

 それを成し得ているのは2008年に街並の乱れに歯止めを掛けるため策定された地域の景観ルール「湯の坪街道周辺地区景観計画・景観協定」。この景観ルールは「人そして自然と言う言葉が似合う最も湯布院らしい通り」を目標に、その景観計画では新築や増築、改築等に際しては壁面後退、建物高さ、屋根の形、建物や工作物の素材、建物の色彩等の規制基準を、また景観協定では商品の陳列や敷地内の植樹、敷地外の照明、更には看板の大きさや色、客引き等の接客に関わる4つの項目、正確には「商い協定」、「看板協定」、「看板色彩協定」、「おもてなし協定」を守るよう定めており、これらの成果は駅から離れるに従って際立ち、特に顕著なのが歩道のない街路に接して設けられた店舗前の緩衝空間や広場空間、Uの字型に設けた路地空間等は安心安全で、気持ちが良い。これらは評判も良く「土木学会デザイン賞2010奨励賞」を受賞、他地域でも規範に出来る取り組みだと言える。


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