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まさしく、『この世にたやすい仕事はない』。どう働くかを自分で選び取る自由を持ち続けたい。

正月休み最終日は、箱根駅伝の復路を横目に見つつ、津村記久子『この世にたやすい仕事はない』を読み終えました。

ストレスに耐えかね、14年続けた仕事を辞めた主人公が、職安で紹介された仕事を転々とする話です。基本的にくすくす笑いながら読めるのですが、主人公が静かな決意に至るラストシーンは、何度読んでも涙が出ます。(新潮社入社2年目・K)

文庫版帯

文庫版の帯の「新潮社入社2年目・K」さんの自筆ポップ風に書かれたコメントです。
簡潔かつ、読みたくなる!
で購入してきました。

読み終えてみて
「そうなんだ…」と

うちの職場にも入社2年目の青年がいますが、彼もラストシーンで涙を流すかな、いや流さないな。(想像です笑)意外に流すのかな…
新潮社2年目のKさんがどんな涙を流すのかが気になってしまいました。

入社2年目の社員からしたら、この小説の主人公の設定である「14年続けた仕事を辞めた」の「14年」ってめちゃくちゃ長いですよね。
しかも「ストレスに耐えかねて辞めた」って設定は、
若者にとっては、なんだか漠然とした不安に輪郭を与えるような感じなのだろうな…
帯のKさんから新たな気づきをいただきました。

若手の気持ち、考えるのって難しいです。

また、お仕事を辞めていく人の気持ちを考えるのも難しいです。

「くすくす笑いながら」読んだところ

・ネーミングセンス
バスの路線名、おかきの製品名、あやしい団体の名前、サッカーチームの名前など
・食べ物がリアルでおいしそう
おかきはもちろんですが、森林公園で自生しているしいたけにめんつゆをかけて焼いているのを想像するだけで(笑)
・主人公と「お仕事」の距離感の危うさ
14年間よく勤めたものだ!

30代は「感情労働」にもまれ…

わたしも仕事で、なかなかしんどいことたくさんありました。

主人公も、公園在住の菅井さんも36歳、「感情労働」にくたびれ果てて仕事を投げ出したという設定。

現代日本においては、30代って、長い青年期が終わり、ようやくアイデンティティ問題に片が付くころで、人生の本線に合流したばかりで一番きついころかもしれません。

主人公とは異なりますが、子育てしながらの、キャリア形成、
職場でも家庭でも、未熟者同士が情熱と理想とで感情的にぶつかって、
絶対に負けられない!と思っていたあのころ。
切迫早産、片頭痛、下痢…なかなか頑張っていたのだと
ずっと後になって気づくくらい、毎日が真剣勝負だった。

でも、逃げようと思わなかったのは、苦しいけれど、自分自身で選んだことだと納得していたからだと思う。
わたしに、それだけの体力や余力があったことが幸いでした。

小説なので、面白いし、そのおかげで「アホアナ」や「藤子さん」や「vs.さびしくない」や「カングレーホ(タカアシガニのエンブレムって!)の謎」に挑む、登場人物のキャラクターの絶妙な設定ににやにやしたけれど、

共感はしないです。
若者は、いま叱られないし、いくらでも権利を主張できる。

環境を乗り越える、または変えるためのアクションを起こすか、
くたびれ果てておかしくなってしまう前に余力を残して転職しましょう!
という、常識的な感想を持ってしまったのでした(クソババアです笑)






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