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書くことに困ったシリーズ「ふ」

書きたい気持ちはあるけれど、何をテーマにすればよいか悩んだときのシリーズ。五十音順に進めております。

「舟和の芋ようかん」

関東の方はよくご存じなのかな。東京に縁がない私は、初めてこの商品を知った時に世の中にはこんなにおいしいものがあるのかと感動したことを覚えている。でもそれはかれこれ15年以上もむかしの話。

当時職場に、東京で勤務をされたことがある滋賀県出身の上司がおり、その上司はその職場から定年を前にうちの会社に出向してきた方だった。
とても個性的で声がやたらとデカいおじさんだったのだが、「○○なんだよ~」とか「△△しちゃったよ~」など、似非標準語で話す方だった。

だって大学まで関西にいたんだよ。根っから標準語になんてなるワケないじゃん♪

東京勤務で憧れが爆発したのか、おじさんが言うには、東京の端っこに家を買ったらしい。なのに自分はずっと単身赴任で関西住みだったようだ。

怪しいおっさんだったのだが、気前がいいところもあり、たまに東京の家に戻ったらお土産を買ってきてくれた。
東京ばななに始まり、ベルンのミルフィーユ、銀座ウエストのパイ。それはそれは東京のメジャーなお菓子をたくさん教えていただいた。

そして舟和の芋ようかんもこのおじさんに買ってもらったのだ。
焼き芋より焼き芋味というか、ようかんと言いながら私の知っているようかんではないところがなんとも言えず興味深かった。
調子に乗ったら人のことをちゃん付けで呼ぶ癖のあるその上司は「てっぺいちゃんが芋ようかん好きだから買ってきたよぉ~」などと人を喜ばせることを言って楽しい職場にしてくださっていた。

もう退職されて随分経つが、今は念願の東京人となって元気に過ごされているのだろう。
そういえば、職場のアルバイトさんでひとり、このおじさんと電車で遭遇し、車両の端っこから大声で名前を呼びながら近づいてこられた挙句、降りるまでの間ずっと大声で一方的に話しかけられたらしい。
翌日彼女が「私の個人情報があの車両の人全員にバレました」と笑うに笑えないことを言っていたのを思い出した。

良いのか悪いのか、まだまだユルい時代だった。

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