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映画を観た「エスター ファースト・キル」

過去に観た「エスター」がとんでもなく怖くて、でも期間を置くとまた観たくなって、と繰り返し観た映画なのだが、その新作が作られたということで楽しみにしていた。

「エスター」は2009年公開。原題は「Orphan(孤児)」。そして、それより遡った過去の話を題材にした映画が本作で、2022年の公開。
いやー、やっぱり「エスター」はコワイ。ちなみにエスターとは主人公の名前。


※以下、ネタバレ含みます

前作「エスター」で、主人公の少女エスターが実は極悪サイコパスで、名前も年齢も詐称していることが明かされる。
少女の年齢詐称???と思うでしょ。
成人女性だったんだな、実は。

年齢詐称については本人にしたら不本意なものなので、この点だけは気の毒に思うけど、それ以外がワルすぎる。気の毒と言ったが、子供の見た目と習性を存分に利用しているのだから、タチが悪い。

さて、今回の「エスター ファースト・キル」だが、結論から言うとこちらも怖かった。前作とは作品のテイストは若干違うように思うが、よほど前作がトラウマになっているのか、観終わった後、侑さんも私もビビりながらの単独行動になった(トイレに行く、とか歯を磨きに行く、とか(笑))。

前作は怖いシチュエーションばかりだったが、本作は所々(私たちは)笑ってしまう箇所があった。
たぶん、この人やられちゃうな、とか、この後こういうことするんじゃない?とか、ある程度想像もついたが、その期待を裏切らない感じも良かった。やっぱりね、エスターならそうしなくちゃ、みたいな変にダークヒーローと勘違いしてしまう場面もあった。

本作では、どのようにして「エスター」になったのかや精神病院から孤児院に行くことになった経緯などが描かれている。さらに彼女のトレードマークでもある、首と手首に巻かれたリボンの理由もはっきりする。
前作でもこれには触れられていたが、よりはっきり理解した。

ところが、彼女がエスターに成り代わって潜り込んだ家が予想外に普通じゃなかった!
でもこの一家のおかげで彼女は前作で描かれたとおりの、より完全に近い悪のカタマリになるのだ。

それにしてもこの一家(ママとぼっちゃん)の極悪ぶりもなかなかのものなのだ。
奇しくも悪VS悪の戦いとなるのだが、本作で失敗するところや反撃をくらうところは彼女にとって学習素材にしかなっていない。
失敗したら激しく反省し次に確実に活かしている。自分にも厳しいのだ。
やられたらやり返す、の精神だが、完全に成功しない。まだ少し「鈍くさい」ところがある。
但し、すばしっこさには驚嘆する。気づいた時にはエスターはもうすぐそばにいるのだ。
だから怖い。鑑賞後にビビる原因なのだ。

彼女の何が怖いかって、人と接するときに彼女の小さな体に嫉妬や憎悪が渦巻いているのが見えるのだ。
残虐な行為にも恐れを感じるが、理不尽な嫉妬に基づく攻撃は恐怖でしかない。

「エスター」の後にエスターの過去の話を公開することによってこの連作は成功したと思う。
順番が逆だったらここまでの怖さは、ない。

#エスター
#WOWOW

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