【裁判傍聴】時間はあったが、病院には行かなかった/覚醒剤取締法違反/53歳男性

23/8/23 10:00開廷

令和5年(わ)第493号 覚醒剤取締法違反 新件

起訴状

23年7月10日覚せい剤取締法違反で逮捕。6月8日までに札幌周辺で接種。
被告人「間違いありません」、弁護人「同意見です」

証拠調べ手続き

被告人は無職で生活保護を受給して生活していた。婚姻2回で妻と同居していた。被告人は5月~6/8までの間に知人から覚醒剤を入手、使用した。知人の調査時に被告人のカードケースから覚醒剤が見つかる。

捜査報告書

別件の被疑者の取り調べ時に居合わせた被告人が覚醒剤を持っているのを見つけた。被告人の尿から覚醒剤成分。知人から5年4月中旬ごろからもらい、使用は6月1~8日の間に注射した。イライラした気持ちを抑えるために使った。

姉の陳述書

中3まで一緒に住んでいた。今でも交流があり、年に1回くらいは会っていた。人懐こく、いいところもあるので更生してほしい。妻の実家の埼玉に行くと聞いている。知り合いがいる方がいいし、自分のいる長野に近いのもいい。今後は月1回くらい会う。私が埼玉に行く。行けなければ電話をする。治療を望んでいるので協力する。寛大な処分をお願いします。

被告人質問

弁護人

前科があり、刑務所にも3回入ったことがある。最後は令和4年2月に出たばかりで執行猶予中だった。知人にもらった。名前も連絡先も知らない。出所してからお金を出して買ったことはない。4月の終わりくらいにもらって6月に使った。使ってはいけないとは思った。自分の弱さだと思う。逮捕された後、素直に認めたのは自分がやったことだから。知人は連絡先も知らないので今後連絡することはない。出所後は嫁がいる埼玉に行きたい。医療センターに行く。今は腰痛と糖尿で体がよくないが、治ったら働きたい。出所後は病院で治療をしたい。拘留中は人間関係や薬物の体への影響について考えた。病院やミーティングに参加したい。今回の判決は一部執行猶予をお願いしたい。協力してくれる人がいたら頼みたい。みんなの力を借りて治したい。一部執行猶予で依存症の治療やミーティングに参加したい。
姉へはこういうことをしてくれてありがたいと思っている。言うことを聞いて構成したい。もう使用しないと誓います。

検察官

4月下旬くらいから入手。知らない人にもらった。〇区の保護施設で出会った。売人ではなかった。我慢はしたけど気持ちの弱さがあり我慢できなかった。
検察官「前回の裁判では我慢できなくなったら周囲に相談すると言っていたが?」
被告人「今回は相談したが駄目だった」
検察官「今後は病院で治療したいと言っていたが、前回出所してからは?」
被告人「前回出所してからは行ってない。仕事が忙しかった。」
検察官「時間は全くなかった?娯楽の時間とかは?」
被告人「娯楽の時間はあったが、病院には行かなかった
検察官「それなのに一部執行猶予を希望されるんですか?
今後は姉の監督に従う。埼玉から長野に行く。出来なければ電話をする。病院にも自助グループにも行く。前回も反省しているといったが、今回は家族もできたので強く変わりたいと思っている。

裁判長

尿を出すきっかけのマンションが被告人名義なのは、人に頼まれて。「名義を貸してくれないか?」と頼まれた。そこに捜査が入ったのがなぜかはわからない。その場に居合わせて採尿された。

弁論

検察側意見

被告人は前科があり、わずか1年で再逮捕。薬効を求めて安易に薬物を使用し、常習性がある。再犯の可能性が大きい。出所後病院にもいかず更生への意欲が乏しい。
執行猶予なしの懲役3年を求刑。

弁護側意見

被告人は罪を素直に認めている。前科3犯だが、約1年3か月空いているので薬物との親和性は高くない。姉が監督をし、必要なら病院にも付き添うと言っている。行為を振り返り反省を深めている。だから素直に罪を認めている。知人とも縁を切り自分でやめる方法を考え、病院を探すなど更生の意欲がある。執行猶予の理由は、もう薬物を使用しないと強く誓っている。自分だけでは難しく必要な環境を強くつくろうとしている。自助プログラムにも参加を考えている。社会とのつながりを守りながら社会の中で更生することで刑務所よりも社会復帰が期待できる。

被告人

ご迷惑をおかけし、申し訳ありませんでした。

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